【毎週ショートショートnote】絶望しないための予防線
西暦5XXX年。
地球温暖化が急激に進み、私たちがいる地球の平均気温が上昇したことで、人口は瞬く間に減ってしまった。
「自分たちが死ぬのも、最早時間の問題だ…」
先輩がそう、呟いていたことを私は今でも覚えている。
将来に希望も何もあったもんじゃない。
父も母もとっくの昔に死んでしまった。
どうせ先は見えている。
せっかく最期を迎えるのならば、最後くらい絶望しない未来を迎えたい。
そう思って、私は考えていた事を実行することにした。
人は何に絶望するのか?
それは未来が無いと思うからだと、私は思う。
だったら最初から無くしていけばいい。
先輩から、こんなことを聞いたことがある。
はるか昔、「断捨離」という言葉が流行ったのらしい。
それはいらないものを捨てて、執着から離れる事。
まさしく、私の考えにピッタリだ。
これを未来断捨離と名付けたい。
私の未来?
それは敬愛する先輩と一緒にいられること。
だから私は、その大きな背中に思いっきりナイフを突き刺した。
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