会社を辞めようと決めた日

前職の時の話です。

「何で会社辞めようと思ったんですか?」って、もう飽きるほど言われました、前職辞めますと言った当時。辞めるとは思ってなかった、とか。ずいぶん急ですね、とか。

当然の質問なので答えてきましたが、全員に同じ回答が出来ていた自信はありません。

「これ」という決定的な理由があったというよりは

ずーーーーっと我慢して我慢して我慢して長年蓄積されてきたものが

ある日プツっと切れたから、ということです。

多分その時、前職の仕事の「楽しい」の割合を「不満」の割合が上回ったんだと思います。

あ、辞めよう…。。と決めた日のことは、今でもよく覚えています。

3月、地方の某空港のラウンジにて。日曜日の夕方だったな。羽田便を待っている時でした。

その週末は取材をしていた。別に取材といっても、私は立ち会うだけです。事故がないか、見張るだけ。インタビューも撮影も編集も、ましてや取材場所への移動さえも何もしていない。「何も起きなければ」私の仕事はないに等しい状況。

取材は順調に進んで、取材先の人たちも、制作スタッフさんも、広告代理店の人とも、楽しく終わった。事故もなく、大きな問題もなく。スケジュール通りに済んだ。

予定の飛行機まではまだ時間があったけど、空港に送ってもらい、ラウンジで飛行機搭乗までの時間を待っていた。

でも確か、3時間か、4時間あったかな。

あ~無事に終わった。みんな、楽しそうだったし、本当に色んな人が協力してくれたおかげで、今回もきっと、いいものできたな。

そんな達成感でいっぱいだったけど、緊張感が取れて一気に週末の疲れが出た。一刻も早く飛行機に乗って家に帰ってお風呂に浸かって、自宅のベッドで眠りたい。その思いとは裏腹に、飛行機搭乗までの時間は長かった。

羽田到着予定時刻から家に着く時間を考えて、更に日曜日ということもあり、翌日また仕事に行くために起きる時間を逆算し、げっそりした。

そして、だんだん泣けてきた

こんなに疲れてるのに、明日からまた一週間出勤か…

今、他のみんなは休みなのか。あー、明日からの仕事嫌だな…と、夕方になるにつれて考え始めているのだろうか。

あの何も判断しない責任を取りたがらない部長も

面倒なことは全部下に押し付けて役員の前でだけ媚を売ってさっさと時短で帰るあの使えないババアも

偉そうな説教だけはするくせに自分は何もせず、勤務中は自席で寝ているあのおじさんも

今頃休んでいて、それでも私よりたくさん給料貰っているのか。

そして私が情熱をかけて準備をしてきたその取材は、

そもそも他のチームの人の業績アップのためにやっているのに、肝心の担当者は「面倒くさいから巻き込まないでくれ」のスタンス。

そんな奴も今日は休んでいて、私がどんな思いでこの取材に取り組んできたのか

現場がどんな思いで、この取材をしているのか

全く知ることなく「そういえば、どうなっただろうか」なんて気にすることもなく

普通に休んで、それでも私より給料をたくさん貰っている。

せめて私がやった仕事が、今後会社の集客につながるように使ってくれる人がいて、なんとか評価しようとしてくれる人がいて

それならまだ良かったけど、誰も私のやってる仕事に興味はなかった。

「なんか、休日も遠くまで走り回ってすごいね!」

で終わり。何のためにやってると思ってるんだ。

すごい熱量をかけても、達成感がまったくない。疲労感と虚しさが増していくだけ。

わたし、なんでこんなに労力かけて、何年もこの仕事やってきたんだっけ。

お金だって経費だって、かかってるのに。

楽しい、それだけでやってこれた。だけど、もうそのフェーズじゃなくなっていた。楽しい、だけじゃ、仕事にはならない。結果につながらないと。売上につながっている、会社の利益につながっているという実感がないと。

誰も興味ないなら、こんな企画、もう辞めてしまえばいいじゃない。

だけど、それを判断する人さえ、もう会社にはいない。

必要なのか不要なのか何でやっているのか。それを答えられる人はもう誰もいない。

ああもう、辞めよう。

ラウンジの窓から外を見ながら、そう決めたのを、今でも忘れない。

あの日の選択は、絶対に間違っていなかったと思う。

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