#9 本紹介その4『薬指の標本』
おはようございます。
更新が遅くなりました。すみません。
今日は小川洋子さんの小説を紹介します。
小川洋子さんと言えば『博士の愛した数式』が一番有名ですかね?でも今日は違うおはなしです。
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紹介するのは『薬指の標本』という小説です。
ご存知の方少ないんじゃないかなぁ…。
こちらも昨日に引き続き短編の小説になります。
あらすじはこんな感じ↓
楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは…。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。
標本室には、さまざまな人々がやってきます。みんな、なにかを「標本」にして欲しくてやってくるんです。その応対をする「私」と標本技術者である「弟子丸氏」の奇妙な関係を軸に話は展開していきます。
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どうして「薬指の標本」という題なのか。
「私」は元々サイダー工場で働いていました。しかしある日、機械に指を挟んでしまい左手の薬指の先をなくしてしまいます。「私」はそれをきっかけに工場をやめ、標本室で働くことになるのです。
この薬指が後々のおはなしにどのように繋がっていくのかは、ぜひ小説を読んで確かめて欲しいです。
ちなみに小説の中にグロテスクなシーンはありません。確かに機械に指を挟むシーンは描かれていますが、グロテスクでは有りません。多少描写されていることを頭のなかで想像すると、若干気持ち悪く感じる方もいるかもしれないけど。でも、なんだろうなぁ…この気持ち悪さって、ホラーゲームの気持ち悪さとは全然違うんですよね。小川洋子さんの作品ならではというかなんというか…。気になる人は読んでみるのがいいと思います。
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特徴的なのが浴場でのシーン。標本室は、昔女子専用アパートだったので浴場があります。そこで「私」と技術士の関係性は深まっていく。ある日、技術士は「私」に靴をプレゼントし、「この靴をずっと履いていてくれ」と頼みます。その靴を履かせるシーンの描写がすごいです。決して強くはないのに、技術者のお願いを「私」は断れない。日が経つにつれて、靴はだんだん彼女を侵食していきます。薬指の先の次は足をも彼女は失い始めるのです。(ここでの失うは物理的なものではありません。)
もう技術士の彼からは逃れられなくなってしまう。いや、「私」はそもそも逃れたいとは思っていないのだけれど。
僕は小川洋子さんの小説を読むと、文章から「青色」を想像します。これ、私が好む小説に多いんですけど、読むと「青いな」って感じるんですよね。
話が「青春」「青臭い」とかそういう意味ではなくて、本当に「青」って感じるんですよね、不思議なんですけど。
小川洋子さんの小説で『猫を抱いて象と泳ぐ』っていうものがあって、こちらも僕は大好きな小説なんですけど、やっぱり「青い」って感じます。この表現、基本理解してもらえないので上手く伝えられるようになりたいです…(泣)
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余談なんですけど、この小説、フランス映画になってるんです。僕は大学のレポート書くためにTSUTAYAで借りて観たんですけど、映画の中に小説の雰囲気が落とし込まれていてとても良かったです。こちらもぜひ観てみてください。
https://www.amazon.co.jp/薬指の標本-新潮文庫-小川-洋子/dp/4101215219
https://www.amazon.co.jp/薬指の標本-SPECIAL-DVD-オルガ・キュリレンコ/dp/B000LXIRIS
今日は短めだけど許して欲しい…。
明日一限だから早めに寝ます…。
それでは、今日はこの辺で。
明日は佐々木倫子先生の『動物のお医者さん』の紹介です。
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