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商業登記ーT社で学習

しばらくの間、介護の記事から方向転換したいと思います。
今まで、読んでくださった皆様、励まして下さった方々、本当にありがとうございました。これからも、陰ながら応援し続けます。

しばらくは目指す司法書士受験生に徹したいと思います。

司法書士試験の商業登記の記述が苦手です。
基準点を超えた2回の試験とも、商業登記記述は1ケタ台の点数しか取れませんでした。今年から、記述の配点が2倍になり、苦手だなんて泣き言を言っていられなくなりました。

今日は、ずっと気になっていた実際の会社の例で学習しようと思います。
昨年末の上場廃止、非公開会社へと移行したT社(指名委員会等設置会社)です。(以下イニシャルで会社名を表示します)
公告等はT社の投資家情報から引用しています。
2013年の組織再編から上場廃止まで追ってみたいと思いますが、今日は2013年の吸収合併について考えてみます。以下のT社の合併公告で検討してみます。
なお、私が勝手に考えていることなので、間違っていることも多々あると思いますのでご容赦下さい。

2013年にT社は完全子会社TCE株式会社を吸収合併しています。
下記の公告記事の条文番号は現在の会社法の条文番号とは異なっているのではと思いますが、2013年の六法がないので確かめようがありません。


2013年10月15日       合併公告
株主及び債権者各位
当会社は、2013年9月19日、2014年1月1日を効力発生日として、当社の100%子会社であるTCE株式会社と合併することを決定いたしました。本合併により、当社はTCE株式会社の権利義務全部を承継して存続し、TCE株式会社は解散することとなりますので、下記の通り公告いたします。なお、当社は、会社法第796条第3項及び第416条第4項第16号に基づき、株主総会及び取締役会の承認決議を経ずに本合併を決定しております。また、当社は、TCE株式会社の全株式を所有しておりますので、この合併による当社の新株式の発行及び資本金の増加はいたしません。
            記
1 この合併に対し反対の株主は、本公告掲載の日から2週間以内に、書面によりその旨をご通知下さい。
2 この合併に反対で、会社法第797条第1項に基づき株式買取請求をされる 株主は、本合併の効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間 に、書面によりその旨及び株式買取請求に係る株式の数をご通知下さい。
3 この合併に対し異議ある債権者は、本公告掲載の翌日から1が月以内にお 申し出ください。
4 当社とTCE株式会社の最終貸借対照表の開示状況は次の通りです。
   掲載紙 官報
   掲載日 2013年7月1日
   掲載頁 214頁


今回の吸収合併の手続きで必要なこと
 ① 吸収合併契約に関する書面等の事前及び事後の備置き
 ② 株主総会における吸収合併契約の承認
 ③ 株主への通知等及び買取請求
 ④ 新株予約権者への通知等及び新株予約権買取請求
 ⑤ 債権者保護手続き
 ⑥ 株券提供公告・新株予約権証券提供公告

①は 登記申請に関係なし、添付書面として吸収合併契約書
②の 株主総会における吸収合併契約の承認手続きについて
  会社法第796条第3項及び第416条第4項第16号に基づきと記載がある
  が、現在の条文だと第796条第2項及び第416条第4項第19号と思われ
  る。
 T社存続会社では・・・第796条第2項簡易組織再編にあたると思われる。
 (TCE社消滅会社では・・・第784条第1項略式組織再編に当たる) 
    第416条第4項第19号指名委員会等設置会社は、株主総会の決議に
    よる承認を要しない吸収合併契約の内容の決定は、取締役会の決議
    によって執行役に委任することができる。
  いとう事で、簡易手続きの為、株主総会の承認決議は経ないで、執行役
  が吸収合併契約の内容を決定しましたということだと思われる。
  TCE社はT社の完全子会社、TCE社の株式全部はすべてT社が保有している
  自己株式を対価として、自社に交付することはできないので、新株も発
  行しないし、株式の発行がなければ資本金も増加しないと記載されてい
  る。
 登記申請の添付書面として、T社の簡易合併に該当することを証する書面
             TCE社の略式合併に該当することを証する書面
③の 株主への通知等及び買取請求について
  登記申請に関係なし
  T社の株主に対して効力発生日の20日前までに吸収合併をする旨、消滅
  会社(TCE社)の商号、住所を通知する。株主に合併が進行中であることを
  知らせるとともに、合併に反対する株主に株式買取請求の機会を与える
  ため。・・・T社は公開会社の為、株主に個別に通知する代わりに、こ
  の合併公告をもって通知に代えることができる。
  株式買取請求をする株主は、本合併の効力発生日の20日前の日から効
  力発生日の前日までの間に株式買取請求に係る株式の数を明らかにしな
  ければならない。
  TCE社(消滅会社)においては③は全く関係なし
④の 新株予約権者への通知等及び新株予約権買取請求について
  登記申請に関係なし  
  新株予約権のことについては消滅会社側の問題となるが、100%子会社
  なので関係ないのであろう。
⑤の 債権者保護手続きについて
  T社の債権者も、TCE社の債権者もそれぞれ、1か月を下らない期間内に
  合併に対して異議を述べることが出来るので両社でそれぞれ債権者保護
  手続きが必要である。
  合併に関する所定事項(両社の貸借対照表等の計算書類含む)を官報に公
  告し、かつ、知れている債権者には各別に催告するか、または、公告を
  官報のほか、定款に定めた官報以外の公告方法の二重公告によってす
  る。この合併公告は債権者保護手続きも兼ねているのだろう。
登記申請の添付書面として、T社では官報及び電子公告にて公告をしたこと
             を証する書面
             TCE社では官報及び電子公告又は日刊新聞紙に
             てしたことを証する書面 あるいは、
             官報及び催告をしたことを証する書面
  もし、異議を述べた債権者がいる場合は、弁済し、もしくは相当の担保
  を提供し、もしくは相当の財産を信託したこと、または、債権者を害す
  るおそれがない事を証する書面
⑥の 株券提供公告・新株予約権証券提供公告について
  今回は登記申請に関係なし
  TCE社(消滅会社)で株券や、新株予約権証券が発行されていたとしても、
  持っているのは完全親会社のT社だから、提供公告する必要はない。
以下その他の添付書面として
⑦ 資本金の額の計上を証する書面
  ・・・資本金が増加しないので不要
⑧ 登録免許税法施行規則12条5項の規定に関する証明書
  ・・・資本金が増加しないので不要
⑨ 登記事項証明書(消滅会社TCE社のもの)
  ・・・T社とTCE社の本店が同じ登記所の管轄内にあれば不要
⑩ 委任状

  

合併については以上です。今後は、T社の会社分割、株式併合等を検討したいと思います。

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