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【終ヴィル】終遠のヴィルシュ イヴルート感想

【ネタバレを含みます】














好きだからこそ「近づいてはいけない」と思ってしまうセレスと「普通の女の子として自分のそばで幸せになってほしい」と頑張るイヴの関係性に悶えまくった…

とにかくイヴくんが光の男すぎて!!最初はいきすぎた博愛精神に恐怖を感じていたけど、気づいたら好きになってた。
セレスに否定されても言葉を尽くしてセレスの生を肯定し続ける、イヴのまっすぐなところが大好きだ!!

冒頭でイヴはセレスに「一緒に働こうよ」と持ちかけ人々の輪に入れるよう働きかけるが、セレスはイヴの人生をめちゃくちゃにした張本人なので戸惑いを隠せない様子。無理もない。
困惑するセレスに対しイヴが「当時の俺はたくさんの人にあいされて生きていたから、今度は自分が誰かをあいし、助ける番だって自分で決めて手を伸ばしたんだ。俺は君を助けたことを後悔していない」と言っていて、ただ純粋に驚いた。セレスを助けた結果、何もかもを失ったのに後悔していないなんて。どこまで高潔なの、この人…

イヴは誰に対しても優しいので街の人からもめちゃくちゃ慕われていた。
迫害された過去をもちながらも「いろんな人と関わって同郷の人間のことを知り、少しでも故郷を愛せるようになりたい」と行動するイヴくんがまぶしい。ものすごく物事を前向きにとらえられる人なんだな。

そんなイヴもしっかりと闇を抱えていて。
「すべてをあいするのは、見返りとしてあいされることを求めているから。俺の優しさの正体は偽善とすらいえない愚かな私欲だ」と言っていて辛かった。

イヴは自分が歪んでるって自覚あったんだ…
そこまでの自己分析ができるのなら愛情を武器に賢く立ち回って人並みに幸せな人生をつかむこともできるだろうに、生き方を変えず人々に献身を捧げ続ける彼は、やはり芯から優しい人なんだろうなと思う。
あいされたいと思う気持ちが博愛をばらまくきっかけだったとしてもさ、「誰にもあいされない虚しさと救いのない苦痛を味わってほしくない」って気持ちがあって人に優しくできるなら、それはもう偽善じゃないと私は思うよ。

自分の行いを自嘲するイヴに対しセレスが「私はイヴに救われた、あなたのあいはあなたが思っている以上に必要とされています。私以外にもイヴの優しさに救われている人はたくさんいるはずです」と言っていて菩薩かと思った。
「自分の博愛精神は偽善だ」と言うイヴに対して「そんなことないよ、ちゃんと救われてる人がいるよ」って言ってくれるの、寄り添い方が100点満点すぎる。なんだこの闇から生まれた光のカップルは…尊い…

イヴは自分がリコリス・ノワージュを守り育てている一族の末裔だということをセレスに明かす。
花を守る使命に邁進しつつも「愛されないとわかっている命をわざわざ生かし育むことは、花にとっても不幸なのでは」と感じていたイヴだったが、セレスの「自分とどこか似ているこの花のことを家族のように思っていたから、リコリスが咲いていてよかった」という言葉に救われる。
この出来事がイヴのターニングポイントになったようで「永く虚しい使命を愛しい感情に変えてくれた彼女の居場所になる」とイヴは決意を新たにするのであった。

だがいつまでも平和が続くはずがなく。
イヴとセレスはスケープゴートとして無実の罪を着せられ、街中の人から迫害を受けることになる。

セレスを庇うことでイヴの居場所がなくなるのが辛い…
クソすぎる王族と薄情な国民たちに驚きだよ。狭い島国だから空気を読んで環境に順応する必要があって、上の言うことに従わざるを得ないってことなんだろうけどさ…それにしてもひどい。
リライバー化したらすべての感情は記録になってしまうから、恩義を大事にしない国民性らしいけど、感情を蔑ろにして停滞した生にしがみつくのは生きてるっていえるの…?

これまでイヴを支え続けていたヒューゴもセレスを庇いつづけるイヴに業を煮やし、便利屋を出て行ってしまう。
セレスは責任を感じて出ていこうとするが、イヴに優しく引き留められる。

「この国みんなが君を死神だと呼び続けても。俺だけは、君をあい―…し、て…」って言葉に詰まるイヴくん。
セレスちゃんのことが本当に好きだからこそ「あいしてる」が言えないの、めちゃめちゃよくないですかっ…!!!
セレスも私に軽々しく"あいしてる"が言えないのはあなたの誠実さのあらわれです」とか言ってさ!もう両想いですって言ってるようなもんじゃん!!!はぁ!!!!!なにこれ!!!! はぁ!!!!

あいを振りまいてばかりだったイヴがセレス一人の愛を欲しているのエモだねぇ…
イヴくんは「普通の女の子だと証明してみせる」って言ってくれるけど、残念ながらセレスは普通の女の子じゃないんだな。
これだけ誠実に向き合ってくれてるんだから、セレスも死神との契約のことイヴくんに話せばいいのにね。

イヴとセレスの絆が深まる一方で、二人を取り巻く環境はどんどん悪化。
家に火をつけたり斧で殺しにかかってきたりとやりたい放題。民度が世紀末すぎる。

このへん、自死エンド引きまくっちゃったな。
イヴはセレスが生きて幸せになることを願っているけど、一緒にいると不幸になってしまう未来しか見えないんだもん。
セレスには非がないけど、ヒューゴが怒り狂うのもわかる気がするわ。

これまでのイヴくん、何があろうとずーーっと穏やかで優しかったのに、仮面をとられた途端信じられないくらい怯えて錯乱していて本当にかわいそうだった。
イヴの火傷痕に対しセレスは「あなたの傷跡はリコリスノワージュみたいで綺麗、見ているとあなたとの思い出がよみがえって愛おしい」などと言っていて、それはさすがに無理があるのでは…と思った。

イヴはセレスの言葉を受けて「この傷は俺が生きてきた証だから、なかったことにはしたくなかった」と言っていて強いなと思った。
傷を疎みつつもあいされるために奔走してきた自分の生を受け入れているんだな。

その後、リライバーになるから打ち明けるつもりはなかった、と前置きしたうえで、セレスに誠心誠意心のこもった「愛してる」を伝えていて、私は全身全霊のガッツポーズをした。状況は最悪なのに愛が最高潮を迎えるの、めちゃめちゃいい!!

しかし、このゲームは終ヴィルなので、容赦というものを知らない。
ヒューゴが死体で発見され「喧嘩別れのまま孤独に死なせてしまった…」と悲嘆に暮れるイヴ。
追い討ちをかけるように呪いに身体が蝕まれ、起き上がることすらままならなくなる。
セレスはイヴの命を守るため、危険を承知でシアンさんの研究に身を投じることになるのだった。

ここからはいろんな問題がすごい早さで解決していく。
イヴの祖先が残した秘蔵のメモとシアンさんの超推理でセレスまわりの不審死、呪いの正体などの謎が一気に解明。この国のかかえる寿命問題にも解決の目処がたつ。
が、なかなかに突拍子もない案だったからびっくりしちゃったよね。

セレスのアレロパシー効果を引き上げた上でクローン体を作成し、国中に生き埋めにする、だと…????

いやいや、生き埋めにしたら死ぬだろ…
クローン体とはいえ人間には変わりないよね?もしかしてリコリスと人間の中間のような生態だから「埋めても死なんやろ」って言ってる?土の中で毒素を集めるためだけの生命体として生き続けろってこと?こわ…

特効薬を作るためにシアンさんの寿命を伸ばす必要があるなら、セレスのクローン体いっぱい作ってシアンさんの周りに侍らせとくのが一番手っ取り早くて確実じゃない?それはそれで面白すぎる絵面にはなるけど…w

話を戻そう。
シアンさんはセレスに対して人柱になる要求をしたわけだけど、セレスは「多くの命を奪い続けてきた私が誰かを救うことができる、うれしい」と芯から喜び受けいれていた。
イヴも「軽々しく生きろ、とは言えない…」と気落ちした様子でうなだれていた。

そこに颯爽と現れるアドルフ!!
最愛の妹が死に瀕していて、本当はすぐにでも助けにいきたいはずなのに、イヴに「休め」って言ってあげられるアドルフが私は大好きだ…!!
その後アドルフに発破をかけられたイヴは「この国のすべての命より、俺は彼女の命と愛をとる!!」と決意新たにセレスの救出に向かうのだった。

シアンさんも強気な姿勢でイヴたちを迎え撃つ。
このへんのヒールやってるシアンさん、ムダに悪役が似合ってたし妙に生き生きしていて見ていて楽しかった!
リュカのクローンが大量に出てきたあたりは笑ったね。「絶対に殺る!!!」ってものすごい殺意が滲み出ていて、なりふりかまわなさにフフッてなった。

そんなこんなで私は余裕の表情で高みの見物きめてたんだけど、だんだん雲行きがあやしくなってきて…

え??
アドルフ…????

死ぬなーーー!!!!ギャーーーー!!!!



完全に油断していた。

絵にかいたような美しい犠牲だったね…泣
アドルフの死にセレスは半狂乱になっていたけど私も半狂乱になったわ…

多大な犠牲を払いながらもイヴはセレスの元へたどり着くがシアンさんが立ちはだかる。
二人の戦いはなかなかに激しく見応えがあった。凄まじい意地と意地のぶつかり合い!
普段は理性的に振るまう二人がむき出しの感情をぶつけあっている様は新鮮で、すごくわくわくした!

最終的にイヴが勝利をおさめ、セレスに手を差しのべる。
ここの「共に苦しんでいこう、セレス」ってセリフ、すっごい痺れた。
世界中に恨まれても自分だけはセレスの生を肯定するっていう気概と咎を背負う覚悟が見えたよね。めちゃくちゃかっこいい。
シアンさん、リュカ先生、マティスくんと人を救いを与え続けてきたセレスが、ここにきて救われる側にまわるのすごくいい。さすがはメインヒーロー。光の男。

だがこれで終わらないのがこのゲームの残酷なところ。
セレスはイヴくんに手をのばすがシステムが暴走。セレスは強烈な毒素を振りまく死神になってしまう。
この局面でマムが現れるの超怪しい。あんなに研究所に行くのを嫌がっていたのに。
まさかあなたがシステムを暴走させたんじゃないでしょうね…?

「もはや死ぬしかない」と一心不乱に研究所から逃げたセレスがたどり着いたのはリコリスの花畑。そしてなぜか待ち受ける町人たち。なぜそこに湧いて出てきた。

町人たちは殺意をみなぎらせ襲いかかってくるがセレスが放出する毒素にやられ倒れ伏す。リコリスの花畑も燃えあがる。
なんだこの地獄絵図は…イヴとセレスが守りたかったものが全部なくなっていく…

セレスは絶望のあまりパニックになりつつ「早く死ななければならない!」と自死を試みるがうまくいかない。
イヴが与えてくれた生を渇望する心のせいで悲劇を重ねることになるとは…なんという皮肉…

近づいてくるイヴくんに対しセレスは「来ないで!!好きだからこそあなただけは殺したくない!!」と叫ぶが、イヴくんは優しく安心させるようにセレスに語りかけ手を差しのべる。炎に対する本能的な恐怖を感じながらも、懸命にセレスを救おうと働きかけるイヴくんのひたむきさに胸が熱くなった。とてつもなく強い男だ…

その先に待ち受けていた容赦ない展開に私は崩れ落ちた。

イヴくんが目の前で炭になってしまった…
セレスがいちばん望んでいなかった景色が目の前に…残酷すぎる…
もうね、業火に身を焼かれながらも最後の最後まで諦めずに手を差しのべ続けたイヴくんの健気さに私はボロボロになってガチ泣きしたよ…
必死に手を伸ばしたけど届かなかったイヴくんと「イヴを殺してしまった!」と泣き叫ぶセレスちゃんがかわいそうすぎて本当にだめだった。どうしてこんなことに…

そしたら突然セレスが「あははははは!!」って狂い笑いを見せるもんだからさ、一瞬で涙が引いた。私の心も引いた。

「イヴは死んでなんかいない、死を超越した存在に生まれ変わっただけ」などと言い出し黒焦げの手にキスをしている姿を見て寒気がしたよ…
リュカ先生のルートで白骨化エンドを迎えた時にも思ったけど、変わり果てた遺体と添い遂げようとするのまじで薄気味悪くて怖すぎる。
はあああああ…恐ろしいゲームだよ、終ヴィル…イヴくんの死で終わっていたら、悲しくも美しい物語で終われていたのにどうして狂ってしまうん?どうして…





【救済エンド】

すごかった…
絵もシナリオもイヴもセレスも何もかもが強くて圧倒されちゃった。

終ヴィルって基本的に悪意に殴られ続ける理不尽を攻略対象と共に耐え忍ぶ物語だと思ってるんだけど、イヴとセレスはそのすべてを振り切り「自分たちのために生きる」ってエゴを貫く選択をしたのが印象的だったな。
自己犠牲精神強めの二人がこうなったかあ…意外だけど結構好き。

あの結末に至るまでにイヴくんがめちゃめちゃ葛藤してるのがよかったです。
「セレスに生を望むことは残酷だ」って助けにいくのを躊躇したり、燃え盛る炎に恐怖しつつも無理にセレスに明るく語りかけたり。
イヴくんは強い強い光の男だけど、人間らしさもきちんともってるんだよね。ただ強いだけじゃなくて共感できる部分がたくさんあるからこそ彼のシナリオは心に響くんだと思う。

「どんな絶望の中でもあなたの傍に」
「君が生む死も不幸も絶望もそのすべては、俺のものだ」
ってセリフ、背負ってる業ごと愛してるかんじが出てて好き。
すべてが円満解決とはいかなかったけど、愛を得たイヴくんと生きる理由を得たセレスを阻むものはもうなにもないでしょう。
死ですら分かつことのできない二人の強い絆に拍手でした!







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