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【終ヴィル】終遠のヴィルシュ シアンルート感想

【ネタバレを含みます】















突然「俺の部屋を掃除しろ」と呼びつけられた上に、子どもに調度品を壊され謝る運びになっていて、セレスちゃんの不憫さに笑っちゃった。
死神の力関係なくナチュラルに不運なんだな、この子…
アドルフが「言われるがままに従うのはやめた方がいい」とセレスちゃんをたしなめていて好感度が爆あがりした。
やっぱり常識人だよアドルフさん。好き。

セレスは掃除係として雇われたはずだったが、掃除のみならず食事や着がえに至るまで甲斐甲斐しくシアンの世話を焼いていた。
アドルフが「仕事とはいえ尽くしすぎだ。あいつのメイドか、お前は」と言っていて「ほんとそれな…」と思った。
大事な妹がこき使われている姿に悶々としつつも、セレスの意思を尊重してくれるアドルフを見て、私はやっぱりアドルフが好きだな、と思った。

誠心誠意善意で尽くすセレスに対しシアンは「他者の領域を踏み荒らすような度胸をもち合わせていないお前は、俺にとって実に都合のいい存在だ。せいぜい今後も失望させてくれるなよ」と言っていてあまりの尊大さに笑っちゃった。
色々とハラスメントに抵触してる気がしますよ!!!ブラックな職場だ!!!

ブラックなのはシアンさんの言動だけでなく環境もだった。
セレスは研究所内の派閥争いのどさくさに巻きこまれ人質になってしまう。
「私の命はシアンさんにとって価値がないので、人質にしても無駄です(意訳)」と言い窮地を切りぬけたセレスに対し、シアンさんが「及第点の対応だ。よく身の程をわきまえたな」と言っていて私は困惑した。

「攻略対象にとって自分は大切な存在じゃない」と示すことが正解、だと…??
そんな乙女ゲームがあってたまるか!!!!

シアンの発言を受けてセレスは「身の程をわきまえたって…褒められてうれしい…(照)」と赤面していて私は唖然とした。
お…乙女ゲームだった…!!!!!

いやいや、セレスちゃんは絆されても私は絆されませんよ???
自分を雑に扱う人間に対してもっと牙を向けて!!セレス!!お願い、もっと自分を大事にして!!!
まだ間に合う、今からでもアドルフに乗り換えよ…??

劣悪な環境にもめげず仕え続けるセレスの姿を見て、シアンさんは「俺を善人などと勘違いするな」と非道な人体実験の様子を見せつける。

シアンさんはマッドサイエンティストであったか…と思うと同時に「感情は研究の邪魔だ」と言う意味が少しわかった気がした。

被験者に対して「かわいそう」「申し訳ない」みたいな情が沸いてしまったら手が止まるよな。普通の人が抱いて当然の感情を「無駄」と切り捨てる非情さも、神と呼ばれる所以のひとつなのかもしれないと思った。

この国のトップに近い立ち位置にいたシアンだったが、王族に陥れられ孤立する。
「危険だとわかっていながらどうして俺のもとに残ろうと思った?」と尋ねるシアンさんにセレスは「シアンさんに憧れているし、一人にしたくなかった」と答える。

セレスの好意を察したシアンさんが「シンプルに俺と共にいたいから、と言えばいい。俺に情を抱いているのだろう?」と急接近してきたので私は慌てふためいた。

やっと…やっと乙女ゲームが始まったぞ!!!!

私は大興奮したがシアンさんは「お前の感情は忌避しないが、見返りは求めるな。俺はお前に返す感情は絶対にもたない。無駄だからな」と言い切っていて、私は喜んでいいのか悲しんでいいのかわからなかった。
拒否はしないが、想いを向けられることはない、か。不毛だねぇ…

状況が悪化し、シアンは研究所から追放される。養護施設に戻るとそこには血まみれの子供たちと、今まさに死の刻を迎えようとするアドルフの姿が…



うそやろ…



アドルフーーーー!!!!!!




よりにもよってお前が逝ってしまうなんて!!!!


どうしてこんなひどいことを!!!!どうしてこんなひどいことを!!!!😭😭😭😭😭😭😭




背景の血のりえっぐいし子供バタバタ死んでるしマムは錯乱しているしで、これ以上ない地獄絵図だった…

こんな容赦ない暴力で家族とふるさと奪われることある??しんど…

外は敵だらけなので、イヴ、ヒューゴ、マムとともに隠れ家に潜むことに。
逃亡生活してるわりに大所帯だな…自警団も動いてるし。味方陣営が多くて心強かった。

隠れ家生活の中でシアンさんは自分のことを色々と話してくれた。
シアンさんは「周囲の人間などどうでもいい」という態度をとりながらも「人を生かしたいという気持ちは俺のエゴだ」と真っ先に自分を実験体にしているようだった。

うーーん。この人のこと、わかりそうでわからない。
人の生き死にに真摯に向き合っているがゆえに残酷な実験もやってのけるけど、払える代償は自分の身で払うってこと、かな?

「人を無闇に傷つけるのがかわいそうだから」ではなく「俺のエゴだから」と言うあたりがシアンさんらしい。
自分を傷つけることに躊躇がなく、すべてを理性で判断するシアンの思考は、やはり通常の人間とは違うんだろうな、と思う。

そんなシアンさんが「研究はあきらめない。いつかくるお前に死に対して何の対策もできなくなる…それだけはごめんだ」と言っていて私は心底びっくりした。
あの「感情は無駄だ」って言ってるシアンさんの言葉とは思えない。

「お前はお前を独占したいと思う程度には気に入っている。…あくまで雑用係としてだがな」と言っていてちょっと笑った。
独占したい雑用係ってなんだよ。
その後「泣きたければ泣け。そのくらい受け入れてやる。世界中の誰が許さなくても、俺が許す」と言い抱き寄せられて
!!!!!??????
となった。

この人、人間性を研究のために犠牲にしているけど、他人の感情を理解する心はもってるんだよな。
想いを向けることはないのに、こんなイケメン所作で慰めてくるのずるいですよ…

翌日、セレスが「耐久度の高いリライバーを作ることは呪いに打ち勝つ手段ではない。目的と手段が入れ替わっていませんか?」などと恐ろしいことをシアンさんに切り込んでいてビビった。

いやいや流石に調子に乗りすぎでは…と思っていたらシアンさんは「お前の言う通りだった!!!ハハハハハハハハ」などと言いだし、人が変わったかのような狂い笑いに恐怖した。
その後セレスのことを「未来の伴侶」呼ばわりしていて本当にびっくりした…!
恋愛感情を毛嫌いしていたシアンさんが、セレスに落ちかけている!!!!!!!

シアンさんに意見できる豪胆さと有能さ、そして研究の本分を思い出させてくれたことで、セレスはパートナーとしての地位を手に入れたようだった。

呼び名の変遷面白いな…
掃除係→小間使い→雑用係→全自動サンドイッチ供給機→未来の伴侶

最後、急にランク上がりすぎでしょww
感情は要らないだのなんだの言ってたけど、家族と居場所を失ってなお献身的に尽くすセレスの姿を見て、急激に情が沸いたのかな、と感じた。

初見プレイ時は絶望エンド2に分岐したんですけど、培養器に入る前のやりとり、めちゃめちゃよかったですね…

口づけを交わした後に「最初に恋をするならお前がいい。ほんの少しの特別が一体どんな感情に昇華するのか、楽しみにしている」と言っていて、今のシアンは恋愛感情を肯定的に捉えることができるんだ、人間性を持つことを受け入れたんだな、と思った。

そんな会話も失うためのフラグにしかならなくて。
目の前でセレスが害されるのを見ていることしかできないシアンさんがかわいそうだった。

セレスが生きていることに気づき、必死に助けようとするも助からず、セレスの記憶を自分にダウンロードするシアンさん…

感情も倫理観もかなぐり捨てて研究に勤しんでいたシアンさんが完全に人間になっちゃってて切なかった。
セレスの言葉で研究の本分を思い出したシアンさんだったけど、感情を有してしまったがゆえに研究ができなくなってしまうっていうね…
「感情はバグで研究の妨げにしかならない」って言ってたの体現しちゃってるじゃないですか…
「死の真相を突き止めて誰かを救いたい」と動いたセレスにとって最高に皮肉なBADエンドだなぁと思う。

でもまあ、想いは通じあっているからメリバと捉えることもできなくはない、のかな…?
感情を引き継ぐことに失敗したシアンさんに解剖される展開だけはマジで勘弁願いたい…と思ってたので、恋愛要素を含んだ良心あるエンディングで少しほっとしました。

過酷な世界でちょこっっっっっとだけ見える光に尊さを見出すゲームなのかな、終ヴィルって。






【救済エンド】
元々無敵感が強い人だったけど、感情を引き継いだシアンさんは更に万能感マシマシになっていた。
セレスが死ぬまでに呪いを解明するって!リライバー化しても感情が引き継げるようにするって!すごい!!
「セレスがいないと俺が困る」ってはっきり言っちゃうとこがシアンさんだわーと思ってたら大勢の前で「子供は最低でも二人作るつもりでいる」と高らかに宣言していて声出して笑ったwまじでなんの話??wwおもしれー男!!

これで終幕だね★と思っていたらサロメがダハトにナイフを突き立てていて愕然とした。共に求めあっていた二人なのになんて残酷なすれ違いなんだ…

セレスを人質に取られてちょっと焦燥してるシアンさんよすぎ…
というかセレスへの寄り添いの姿勢がすごいんですが!!!
あの酷薄なシアンさんが労りの言葉をかけてくれたり抱き寄せたりほほに触れたりしてくれる!!!!
すごい!!!感情を得たシアンさんの破壊力がすごい!!!!!!
以前セレスが人質になったときは「殺してくれても一向に構わんよ」って感じだったから、積み重ねてきた時の重みを感じるわ。関係性180度変わったなあ。

ED後、アンクゥがリコリスの花畑で「……」ってたたずんでてなんか笑った。
そうよな、お前は釈然としないよな、セレスが救われたのだとしてもさ。
ものすごい寂しそうに「複雑ではあるが…彼女がこの道を選んだというのなら私も受け入れるしかないね」
って言っててかわいそうになっちゃった。このルートのアンクゥ、すっっっごい蚊帳の外だったね…

一連の事件の後、シアンさんは「セレスの死神の異名を解く」と全国民に向けて宣言したらしい。
気持ちはうれしいけどこの人急にエンジンかかりすぎじゃね?ウケるんだけどwと思ってたら、シアンさんが何食わぬ顔でセレスの自室に入ってきてベッドに座りだしたから、私は「これは…」と生唾を飲んだ

そんでもってさあ、ベッドに二人並んで座って見つめあって「お前に見惚れていた」とかこっぱずかしいことを恥じらいもなしに伝えてくるからさ、びっくりするよね。
シアンさんのLOVEの伝え方、傲慢かつ直球ゆえに心臓に悪くてかなり好き。

「俺はお前の横でメモリーが奏でる音に耳を傾けることで感情を得たのか観察していた」ですって?
それって「すごくドキドキしています」って意味じゃないですか???違いますか!!!!???
とか思ってたらベッドに押し倒されて「俺はお前のことが好きらしい」とか「お前の表情をみているとかなりそそられる」とか言い出しキスしはじめたたから私の心臓までおかしくなった
うっわあああああああああああシアンさんって恋人に対してこんなかんじなの!!??
こいつ、初恋のくせに手慣れてやがる…その優秀な脳みそ恋愛領域もカバー済みなのかよ…敗北を感じるぜ…いい…

「この国の呪いもお前の死神の力も、俺は神として必ず解き明かしてみせる。だが、お前の前では地に足つけてただの男であるとしよう」ってすごい殺し文句だな!!??めちゃくちゃいい!!!!
本質は変わらないままにしっかりとセレスちゃんに愛を捧げていて、スタンディングオベーションをかました深夜2時でした


おわり。

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