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4BA+1DD イヤモニ 比較レビュー


はじめに

  • 去年Head-Fiに投稿した 4BA+1DD(+α)の比較レビューを日本語で再掲載します

  • 原文は英語で英語ユーザの方はこちらから

  • 機械翻訳にかけているので表現ブレはご愛嬌

比較レビューの手法について

一つのイヤホンに関して絶対的な評価を行うのはその道数十年の熟練者や共感覚者、絶対音感持ちでも困難です。

人間の感覚に頼る評価は「水物」で流動的なため、比較対象がある科学的な定量化でも採用されているABテストのアプローチにてレビューを行いました。

今回は比較対象を以下の考えで評価を実施:
様々な音質に関わる要素
各要素の判定に最適なテスト曲にて
比較的ドライバ構成が近い機種同士
相対評価を行い順番に並べ替えています

  • 比較はフレッチャーマンソン効果を考慮し、各イヤホンの音圧バランスを均一化しています

  • 聴覚のみに集中するため、真っ暗な防音室にて擬似二重盲目試験形式で比較しました 

  • =平たく表現すると「私がどのイヤホンを聴いてるのか暗闇で識別し難くして、思い込みの力“色眼鏡/バイアス”を排除した環境で、AはBより音が細くCより太いといった単純比較」

  • サンプル曲は便宜的にYoutubeリンクを貼っていますが、TidalやApple Music / Amazon Music HDのハイレゾ版がオススメ


比較対象

左から

  1. AKG N5005 (4BA+1DD) : ゲイン補償型ニュートラルU字

  2. Moondrop Blessing 2 (4BA+1DD) :VDSF-ハーマン-ニュートラル

  3. DUNU SA6 ( 4BA+2x低音BA) : ミッド・フラット・ニュートラルU (qdc) 

  4. Sound Rhyme SR5 (4BA+1DD) : ミッド・フォーカス・ニュートラルU

  5. AFUL Performer 5(4BA+1DD): サブベース型モニターニュートラル

  6. Truthear HEXA (3BA+1DD) : ディフュージョン・ニュートラル

  7. Moondrop Variations(2EST+2BA+1DD): サブベース型VDSFハーマン

  8. See Audio Bravery(4BA): ミッドフォーカス・ニュートラルU字

↓の黒背景部分は左右↔️にスワイプで横スクロール


⭕️️音色 (ドライ - 寒色 < リッチ - 暖色)

Bravery < N5005 < HEXA < B2 < SR5 <Variation< P5 < SA6 (off)
⭕️音の彩度バランス : (無色透明 >  脚色)


HEXA > SA6 (Off) > B2 > P5 > Variations > N5005 > SR5 > Bravery
⭕️️低音の存在感 :  (顕著 > 希薄)

  ▶︎ 低音域全般の質量感 x 響きの濃さ

Variations > SR5 > Bravery > SA6 (on) > P5 > N5005 > HEXA > B2   

▶︎モダンムンベ( Drum N’ Bass)にピアノと空間的表現がスパイス程度にまぶされた曲 、低音の存在感はマスト事項

⭕️低音の迫力 : (ヘビー級 > 軽量級) 

▶︎レスポンス速度 x 重低音(サブベース)の質量 x 慣性

Variations > P5 > SR5 > Bravery > N5005 > SA6(On) > B2 > HEXA

▶︎イントロからズッシリと重く沈み込むフロアタム、低音の迫力が物を言います

⭕️️低音の質感 : (有機的 > 人工的) 
▶︎個人的に低音で最も重要な要素
▶︎Not 量🙅‍♂️
▶︎Yes 音像のテクスチャー x 音色のダイナミズム(インパルス応答特性 & 緩慢さ) x 低音域空間共鳴

Variations > SR5 > P5 > HEXA > SA6(ON) >Bravery > N5005 > B2 (イマイチ) 


▶︎ヨーヨー・マ(チェロ) x ニューヨークフィル x 収録環境◎、 低音質感の差が如実に顕れる一曲

️
⭕️ミッドベースの量 : (謙虚 < 支配的)

Bravery <HEXA <N5005 <Variations < SA6(Off) < B2 < P5< SR5

▶︎J-POPジャンルではミッドベースが支配的な曲はあまり見られず、基本的に控えめに鳴っている程度のミックスです。ベースやその他ミッドベース基調の音がボーカルに被さらずに5mほど後方で鳴っていればOK。逆にミックス時点で意図的で無い限りはボーカルの邪魔になるレベルでスポットライトが当たっている様な鳴り方は「ブリード」、横文字を使わずに表現すれば「ベースが突出しすぎ」となります。
🛑この要素で音作りの「好き/嫌い」が結構分かれます


⭕️️中音調和性 : (調和 > 歪み/もつれ)

SA6(Off) >N5005>P5>SR5>Variations>HEXA>B2>Bravery(中音域BAが和音に耐え切れずに歪が発生)

▶︎ハーモニクスの巨匠、ブライアン・イーノとロジャー・イーノは、英語の代わりに和音で会話します(本当)。 このアルバム全体が一つの芸術作品で、シンプルさと複雑さが共存し、一曲一曲が共感覚的な色彩を奏出ているのが非常に魅力的


⭕️女性ボーカルの存在感(アジア圏) : (顕著 > 希薄)

Bravery > SR5 > HEXA > B2 > SA6 (Off) > Variations > P5 > N5005

▶︎儚げで透明感がある美声の持ち主、韓国の歌姫「ダズビー」によるもののけ姫主題歌のカバー曲。
▶︎特定の周波数帯域のエネルギーではなく包括的な存在感。ミクロで分析的な響きを重視する層が好む表現手法での評価です。


⭕️女性ボーカルの存在感(西洋圏) : (顕著 > 希薄)

️HEXA > Variations > SR5 > Bravery > P5 > SA6 (Off) > B2 > N5005

▶︎ケルト音楽の女性ボーカル
同じ女性ボーカルでもよりダイナミックで幅広い帯域に渡る旋律が多い。

▶︎米パット・メセニーと露女性歌手のコラボアルバムより
非常にダイナミックレンジの広いボーカルで特に西洋文化圏ではこのタイプの表現能力が求められる

▶︎ヘンデル歌劇「リナルド」HMV 7 - 第2幕より
声を楽器として使い、歌声の基音にエネルギーが集中、マクロダイナミズム重視のオーディエンス向け評価項目。


⭕️ 6kHz [サ行/歯擦音感度]の刺さり具合 : (ゆるめ < キツめ)

N5005 < SR5 < SA6(Off) < Variations < HEXA < P5 < Bravery < B2

▶︎刺さりやすいミックスでサ行多めな歌詞に6kHzが良く出る美声のReonaでテスト。刺さり具合に敏感なオーディエンスにとっては何より重要な評価項目。


⭕️高音ディテール描写能力 : (高め >  低め)

Variations>SR5>SA6(Off)>N5005(treble)>Bravery>P5>B2>HEXA

▶︎このカラヤン指揮 x ベルリンフィル x ムソルグスキー@ハイレゾの曲は金管楽器で特に高音域のディテール描写能力のテストで性能差が顕著に出やすいです
▶︎特にイヤホンをA-B比較すると差が歴然となります
▶︎この様な高度なディテール表現を求められる楽曲では10BAやESTが適切に実装されたイヤホンと2BA、単発BA, DDでは全く持ってディテールの情報量が変わってくるので分かりやすい


⭕️️明度/澄み渡り度合い/空気感/見通しの良さ/天井の明るさ: (明るめ > 暗め)

Bravery > SR5> N5005(treble)> Variations > HEXA > SA6(Off) > P5> B2

▶︎幾重にも折り重なった重厚な管弦楽器の多次元音色複合ピッチは特に10kHz以上でのハード性能の差が出やすい、ESTドライバであっても程よいピークは明瞭感で擬似的な空気感を演出するため、知覚的にBAの方が勝る場合もあり


⭕️音像への焦点/ピント合わせ : (合わせやすい > 合わせにくい)

Variations>SA6(Off)>SR5>Bravery>P5>HEXA>B2>N5005 

▶︎Head-fiメンバー(@FranQL)へこの曲を紹介してくれた事に謝辞を。曲の7:00から始まるパートは特に音像へのピント合わせ向き。音素が少なめながらもしっかり際立った音像があり、意図的に分析的に音を知覚できるか=音像へ焦点を合わせやすいかのテストができます。


⭕️️音圧生成: (高圧 >  低圧)

SR5>P5>Variations>HEXA>B2>SA6(On) >N5005>Bravery 

▶︎音圧をチェックリストの上位に位置付けている方にとっては、この項目はやはり見逃せません。久石譲氏のもののけ姫アシタカの伝説は低音から高音まで広域に渡って様々な音圧を感じる演奏が多く、音圧テストに最適です。特にライブ音源でもある故の空気圧も注目ポイントです。


⭕️拡散力場-性質 : (人工的 > 自然)

Bravery>SR5>N5005(treble)> SA6 (Off > Variations>HEXA>B2>P5

️⭕️拡散力場-座標一貫性 : (安定的 > 不安定)

SA6(Off)>Variations>HEXA>P5>SR5>B2>N5005>Bravery

⭕️️全帯域解像度: (きめ細かい > 荒々しい)

Variations > SR5 > Bravery > HEXA > SA6 > P5 > N5005 > B2


▶︎解像度に関して: 音の粒がどれだけきめ細かいか、もっと専門的な表現をすると「あるべき音波の形にどれだけ近似できるか」
▶︎音の実態(楽器等の輪郭、内包しているエネルギー、その3次元的な動き)を連続的に一貫して伝える能力も解像度が関与

解像度は再生音源/再生機器双方の水面のきめ細かさ、時間軸の滑らかな応答性能も

▶︎上図の様な音波の場において、水面の荒さが音のきめ細かさの一つです。ここに時間軸も視野にいれて、音波が時間単位で綺麗に繋がるのも解像度の一側面

▶︎このテスト曲は再生音源としてかなりきめ細かな水面です。時には荒々しく、時には静寂に、そんな出力をアクチュエータとしての再生機器側で求められる時間軸含む再現性能のマス目が解像度です。サブベースから可聴域上限以上のトップエンドまで解像度の高い音源を再現できる能力差の評価です


個人的な好み (2023年評価時)

SR5>SA6>Bravery>Variations>HEXA>N5005>P5>B2
(すみません英語から機械翻訳かけてます↓)

SR5 (A+ ) 希望小売価格$139は、その非常に解像度の高い空気感と上記のチャートでの総合的な上位ランクにより1位を獲得。SA6(S-)、RSV(S-)、Variations(S-)のようなS級ほどではないかもしれないが、気分によっては危険なほど近い。それほど近い。私は、実際の性能よりも、性能に対するコストを重視して好きなものを選びます。そうすることで、公正な市場競争を促し、手頃な価格で「素晴らしい音」を手に入れることができるのですから。Truthear、Moondrop、気を抜くと虎は後ろにいますよ!

SA6(S-)メーカー希望小売価格560ドルは、総合的な性能の高さとニュートラルなチューニングにより2位を獲得。何を鳴らしても優秀なチューニングなため、秀才という言葉が相応しい。Sonion社製の開放型AcuPass低音サブウーファーBAはハイエンド級のフラグシップ機種には珍しくは無しともSA6登場時はかなり珍しく嬉しいオプション。AcuPassを綺麗に鳴らせるイヤピはSoftears UC、Feaulle H570が特にオススメです。

Bravery(A)希望小売価格$279は、脚色されたIEMでありながら良い意味で3位を獲得。ただし付属のHakugeiケーブル&AZLA Xelastecとの相性は個人的にはドライ&シャリつきすぎてNG❌。私は音の角をもう少し削り、低音が程よく共鳴するPW Audio Legend IIケーブルとTRI角笛との組み合わせがオススメ。透明感/刹那の中に垣間見える美麗さ。低音も存在感があり◯ 4BAでしか出せない軽快な鳴りは多くのファンを虜にする事疑い無し。

Variations (S-) MSRP$520は4位で、他と比較したときのコストパフォーマンスの高さから、まだSランクですが、他の製品が$70-300でVariationsにかなり近い性能を発揮するのに対し、$500以上するため、疑問の残る逓減リターンとなるでしょう。


Hexa (A) MSRP$79は5位で、最安値のAランクIEMでありながら、極端な低音の質量を必要とするものを除き、すべてのカテゴリーを力む事なくスッとこなします。とあるロシアの方は「ブルスリー」とセンスの良い喩えをしたが、かなり的確。Variationsと直接A-Bテストした場合、HEXAは大きくはVariationsに負けていませんが、非常に近いパフォーマンスを持っています。

N5005 (A-) 希望小売価格$1,000は6位、アメリカではかなり値引きされていて手頃なフラグシップ機です。AKGやharmanの公式サイトで$1000から80%引きの$199で購入できる。名機64audio U12tのようなアッパーミッドのチューニングが特徴的で、非常に柔らかく丸みを帯びたエッジの効いた音像が非常に美しい。

P5(A)希望小売価格219ドルは7位で、ユニークな共振する低音用アコースティックチャンバーとモニターフラット4BAを備え、アカデミックでユニークなサウンドのIEMです。しかし、低音の存在感が前面に出過ぎると感じることがあり、より広いステージングを表現するために人工的でも良いのでもう少し空気感の必要性を感じる時もあります。

Blessing 2 (A-) 希望小売価格$320が最後の選択。特にこれと言った致命的な問題はありません。反応速度が滅法遅い低音DDの脚が遅く、BAが速いというハイブリッド症候群を引き起こしているという唯一の弱点はあります。昔は、このハイブリッド症候群がスタンダードだったので、「ハイブリッドはこういう物」と慣れていましたが、2023年のスタンダードでは、なかなか厳しい戦いになります。


以上、ここまでご覧くださってありがとうございました😊


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