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イソップ寓話『卑怯なコウモリ』は卑怯なのか?

イソップ寓話に「卑怯なコウモリ」という話がある。

昔、地上の動物達は皆仲良しだったが、ある時から獣と鳥に分かれ、どちらが強いかで戦争になった。身体が小さい鳥はいつも劣勢で、その様子を見ていたずる賢い一羽のコウモリは、鳥の仲間でありながら、獣が有利になると獣たちの前に姿を現し、「私は全身に毛が生えているから、獣の仲間です」と言った。そして、鳥が有利になると鳥たちの前に姿を現し、「私は羽があるから、鳥の仲間です」と言った。

その後、鳥と獣が和睦し戦争が終結する日がやってくる。しかし幾度もの背信行為を重ね、双方にいい顔をしたコウモリは、「お前のような卑怯者は二度と出てくるな」と皆に嫌われ仲間はずれにされてしまう。居場所のなくなったコウモリは、やがて暗い洞窟の中へ身を潜め、皆が寝静まった夜だけ飛ぶようになった。
Wikipedia:卑怯なコウモリ,(2022-10-11)

この話を読んで、思ったこと。
私は、コウモリは卑怯だとは思わなかった。

それよりも「お前ははどっちの仲間なんだ」と、呼び出してコウモリに聞いた鳥や獣の方が卑怯ではないだろうか。

コウモリはどちらでもない。なんなら、哺乳類から進化した動物だ。
コウモリ自身でさえ、どちらの仲間か分からないのに、鳥か獣かどちらなんだと聞く方が性格悪いではないか。そんなの、両方にいい顔をするしかないじゃないか。


自分の身を守るためには、コウモリは両方に仲間だと言わないといけなかったのではないか。

勝手に喧嘩して、コウモリを巻き込んで、勝手に和解して、それでコウモリだけ仲間外れなんて、あんまりではないか。

コウモリはどんな気持ちで暗い洞窟の中にいるのだろうか。


「コウモリはコウモリであって鳥でも獣でもない」と、認めてくれる世界はなかったのか。

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