帰省

金曜日。仕事を終えて、自宅とは反対方向へと進む電車に乗った。行き先は羽田空港。ここから徳島行きの最終便に乗って帰省する。

3連休前だからなのか、金曜日だからなのか、おそらく理由はその両方で、搭乗ゲートはどこもごった返している。東京出張を終えて各地へ帰るビジネスマンたちと、きっと私みたいに東京で仕事をしていて、週末に地元へ帰る人たちもいるんだろう。

私は、この日曜日に大切な予定があって帰省する。小学校からの付き合いで、中学では吹奏楽部で青春時代を一緒に過ごした友達の結婚式に参列する。中学を卒業してからもう14年。今はそれぞれ全く違う人生を生きているんだと思ったら胸がどうしようもなくキューッとして、同時に再会が待ち遠しくなった。

機内オーディオのHot Hits Selectionでは、懐かしい曲が流れていた。2001年にヒットした、宇多田ヒカルの「Travelling」だ。この曲、ホントによく聴いた。そうそう、ちょうどあの頃だった。当時は中学3年生で、今回式を挙げる友達と一緒に過ごしていた頃…

朝練をして、授業を受けて、放課後にまた練習。週末も練習尽くしだったし、夏休みも朝から晩までずっと。外での練習では一緒に真っ黒けになった。あれから大人になってドレスアップした新婦ちゃん、綺麗なんだろうなぁ──窓の外に広がる、どこの都市かわからない灯りを遠くに見ながら、当時が思い出でしかないことに、ちょっぴり寂しくなりました。