セミ


セミがいた。

朝仕事に行くために玄関を開けたらセミがいた。

それもただのセミでは無い。
仰向けになっているセミである。

「セミだーーーー」

私は思わずそう叫んでしまった。
我ながら少し滑稽だったと思う。

別にセミが苦手な訳では無い。
触れと言われたら無理だが視界に入れたくない程の嫌悪は無い。

私は数秒仰向けになっているセミを観察した。
同時にスマホで写真を撮った。

時間があれば棒なのでつついても良かったが、私は仕事に行くために玄関を開けたのだ。

時間はあまりない。
私はセミの足が開いているのを確認してこのセミは恐らく生きているのだろうと判断した。

セミファイナルの見分け方の画像を思い浮かべたら一目瞭然である。
余談だが、その画像はセミファイナルの見分け方と書いてあり真ん中に縦線で区切られて左右に仰向けのセミの絵が書いてあるものだ。
セミは足が閉じているものと開いているものがあり、それぞれ「生」「死」の文字が書いてあるのだ。

これは漫画家である凸ノ高秀さんが描いたイラストである。
本人がそう言っていた。

さて生きてるセミに何かアクションをすることも無く私は仕事に向かった。


帰ってきた時にはセミはいなかった。
やはり生きていたのだろうか?

家族に聞いてみたら死んでいたので素手で掴んで捨てたそうだ。

そうか……素手で掴んだのか。
私にはできないことだな。

ちょっと引いた。

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