ブブのながいはなし36

ブブは夢を見ていました。肩のあたりが重くなって幽霊が乗ってくる夢でした。幽霊は軽快なステップで踊っています。「ステップだよ、ステップ」といいながら、とても楽しそうです。風と手をつなぎ、空気がゆらゆらとリズムを打っています。ブブはそれをただじっと見つめていました。ステップを踏んでいれば、どんなこともスムーズにできる。頭でわかっていることは夢の中でもおんなじです。でも幽霊と一緒に踊ることはできません。それはちょっと違うのです。幽霊は風を連れて、ブブの周りを踊ります。ブブもステップを踏もうと思うのですが、足がどうにも重いのです。どうしてこんなに重いのだろうというくらい重いのです。ブブは踊りを諦めました。そして、やっぱり自分には無理だと思います。足は鉛のようで、風は軽やかなのです。ブブは思わず涙を流していました。でも涙は黒く、手に滲みます。私は本当に鉛なのかもしれない。ブブは自分が怖くなります。これが夢だとわかっていても、涙は出てきて止まらないのでした。

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