姉の結婚式でアンジャッシュのコントを繰り広げた話
アンジャッシュのコントを地で行くようなことってみなさんありますか?
私は多々あります。
私はすぐ早合点しやすく、向こうの伝えたいこととこちらの解釈が間違ったまま話を進めてしまうことが往々にしてあります。
本当に悪いクセです。
仕事する上でこの解釈違いは致命的なので、私は本当に気を付けた方がいいです。
この間も丸尾末広と丸尾末男で会話が噛み合わないことがありました。
まあ丸尾末広と丸尾くんは明らかに違うので会話の4〜5ターン目くらいで違うなってお互い気付いたんですが、運が良いと(?)双方違う話をしているのに気付かないまま何となくそのまま3日くらい経過することがあります。
それが姉の結婚式でした。
姉の結婚式の時、私も式場で着物の着付けとヘアセットをお願いすることにしたのですが、姉から「事前に着物一式を式場に預けた方が当日スムーズだから預けてて」と言われ、式の3日前に式場に着物を預けに行ったところから始まります。
親族着付け担当の美容師さんと、持参した着物や帯を確認をしながら打ち合わせを進めていく中で、
「ところで妹さんって背格好はどのような感じですか?」
と聞かれた。
妹さんの背格好はどのような感じ…?
自分で説明しなきゃいけないやつ…?
妹本人を目の前にして「妹さんの背格好はどのような感じか」と聞かれ、私は困惑した。
見れば分かるものを…とも思ったが、これは見た目以外の情報が必要ということなのか…?と無い頭で必死に考えた。
座って話をしていたため、身長を知りたいなら立ち上がった方がいいのか?と唐突に立ち上がり、
「このくらいの、まぁ中肉中背ですかね…?」
と立ち上がって自身の体をぐるぐると指で指しながら、「中肉中背」との情報を申し添えた。
美容師さんは「かしこまりました」と言い、また引き続き話を進めていく中で、今度は
「妹さんは髪の長さはどのくらいですか?」
と聞かれた。
妹さんの髪の長さはどのくらい…?
これも自分で説明しなきゃいけないやつ…?
別に髪の毛を結んでるわけでもなく下ろした状態の髪型で「妹さんの髪の長さはどのくらいか」と聞かれ、再び困惑した。
見れば分かるものを…とも思ったが、これは見た目以外の情報が必要ということなのか…?と無い頭で必死に考えた。
「まぁ…肩に付くくらいの髪型ですかね…?」
とシャンプーのCMよろしく自分の髪の毛をファサッと手ではらいながらら、「肩に付くくらい」との情報を申し添えた。
というかどう考えても髪の毛をはらう必要は一切無かったなと今になって思うのだが、困惑時の私は本当にアホになるので不必要な言動をしてしまいがちである。
世界のナベアツの"3の数字の時"と同じくらいアホになる。
そのまま意図が分からない質問がいくつか続き、何のための質問なんだろう…?という疑問を拭えないまま美容師さんとの打ち合わせを終えた。
「あとは当日はタオル数枚と帯紐をご持参ください」
と言って締め括られ、最後に
「ご結婚当日は妹さんも11時にお越しくださいと妹さんにお伝えください」
と言われてここやっと全ての謎が解けた。
私、姉本人と間違われてる!?
「妹さん」って呼ばれてのも私はずっと自分のことを呼ばれているものと思っていたが、まさかの三人称の「妹さん」だったわけある。
お互い解釈が異なっているのに何となく会話が成立してしまっているというアンジャッシュ状態だった。
のちに姉と母から
「そんなん最初から(体型聞かれた時点で)新婦と間違われてるって気付くやろ」
と言われたが、世界のナベアツの3の数字の時と同じくらいアホな私は全然分からなかった。
ただただ違和感を覚えるのみだった。
「妹さんにお伝えください」と言われ、ここで「私が妹です」と訂正すれば全て丸く収まったのだが、またしても物事をなぁなぁにしてしまいがちな私の悪いクセで
「分かりました」
と訂正せずに美容師さんに誤解を与えたままその場を後にしてしまった。
これが後々やっかいなことになる。
迎えた式当日。
「妹さん"も"11時にお越しください」と言われてた通り、実は姉と同じ入り時間だったため、姉が車で私を拾ってくれて姉と一緒に式場に向かった。
(今考えると姉がなぜお義兄さんと一緒じゃなかったのか謎)
式場に到着し、姉は車を駐車場に停めるため私を先に降ろしてくれて私が1人先に式場に入ったのだが、この状況が奇跡を起こしてこの後見事に面倒な事態になる。
っていうか新婦を差し置いて先に式場に入るなよ。
式場に入り、⚪︎⚪︎家の妹ですとスタッフさんに伝え、着付け室へ案内してもらったわけですが、姉(新婦)よりも先に着付け室にやってきた状況がのちに混乱をもたらすことになるとはこの時は知る由もなかった。
着付け室のフロアに入ると先日お会いした美容師さんがいらっしゃって、
「あっ先日はどうもありがとうございました」
「改めまして本日はおめでとうございます」
とご挨拶をいただきながら、
「こちらへご案内します」と別室へ案内していただいた。
案内される途中で美容師さんから
「ご気分はいかがですか?」
「昨夜はよく眠れましたか?」
「楽しみですね」
「長時間の和装で締め付けが苦しいかと思いますが、また何かありましたらスタッフにおっしゃられてください」
などお声かけいただき、私も
「そッスね、楽しみですね〜」
「めちゃくちゃ寝ました」
「確かに着物普段全然着ないのでソワソワしますね〜ありがとうございます」
などと答えながら案内されるがままついて行った。
お分かりいただけただろうか。
美容師さんは引き続き私のことを姉(新婦)と思って会話してることを。
そして私は3日前に姉だと勘違いさせてしまったという自覚があったにも関わらず、スッッカリ忘れててまたしても自分が妹の体で話してることを。
アホなのかこいつは。
アホなので新婦に向けられた言葉が全部自分に向けられてると思ってる。
妹にまで「昨夜はよく眠れましたか?」なんてあんまり言わんでしょうが。
また"長時間の和装"というワードがあるが、姉はウェディングドレスは着ずに白無垢・色打掛の和装婚であり、一方で私も着物を着るため奇跡の会話のマッチングを果たしてしまった。
もしも姉がドレスを着る予定で、和装ではなくドレスに関する話題など出ていればさすがの私も自分に向けられた言葉でないことに気付いただろうが、姉の衣装が和装のみであることで奇跡の会話が成立し、またしてもお互い勘違いしたまま何となく会話が進行してしまうというアンジャッシュ状態が続いていた。
よってこの時案内されて向かってる部屋はブライズルームである。
新婦より先に妹が着付け室に入るという普通ではなかなかない状況のおかげで、美容師さんが私を新婦だと疑うことなく今ブライズルームに案内してくれている。
この状況、奇跡と呼ばずして何と呼ぶ?
そうとは知らずに何も分からん私はただただついて行くだけだったが、その道すがらで別のスタッフさんから
「えっ!?こちらの方妹さんですよね!?」
と突然止められた。
えっ?妹ですが何か問題でも?
どういうことだってばよ???
状況が飲めない私を前に美容師スタッフさんたちで論争が起き始めた。
「いやこの方新婦様ですよ!?」
「いや妹さんじゃないですか!?」
「いや新婦様ご本人ですよ!」
世界のナベアツの私はこの論争でようやく自身の置かれてる状況に気付いた。
私、またしても姉本人と間違われてる!?
他の美容師さんが私が姉でないことに気付いてくださりこのまま私が白無垢を着るハメになる事態は避けられたのだが、一方親族担当の美容師さんも「先日妹様の着物をお預かりした際に新婦様とお会いしたので!」と目の前にいるこの人間こそが新婦であると訴えてる。
マジで申し訳なさがすごい。
「ア〜〜すみません!!私は妹です…!!」
と絞り出すように伝え、
親族担当の美容師さんは
「えっ??かしこまりました…?」
とめちゃくちゃ混乱されてた。
それもそうである。
新婦だとずっと思ってた人間が実は新婦ではなく別人だった衝撃は凄まじかったと思います。
ホンマすみません。
とりあえず今目の前にいる人間が妹であることは分かってくださったが、しばらく混乱されてた。
いざヘアセットをしていただく段階になっても混乱されてた。
「いや〜……妹さんはお姉様ととっても似ていらっしゃいますね……
3日前にお姉様とお会いさせていただいたのですが、その時のお姉様とお顔一緒ですね……?」
私です。
3日前にお会いしたのも私です。
「あ……すみません、3日前にお伺いしたのも実は私なんです……」
「えっ…??どこまでがお姉様でどこからが妹さんなんですか…??(?)」
「どこまでがお姉様でどこからが妹さんなんですか」っていう今までの人生で聞いたことないワードがツボすぎて向こう1年くらい笑ってた。
この話すると親族全員笑う。
そんな姉の結婚式でのアンジャッシュ話でした。
ちなみにもしこの当該式場のスタッフさんや美容師さんにこの記事読まれたらどうしようかとヒヤヒヤしてます。
万が一ご覧になられて不快な思いをさせたら申し訳ございません……いやこんなに面白いこと人生でなかなか無いのでむしろありがとうございます……
姉も家族も全員笑ってますので親族側としては笑いをご提供いただいたということで喜んでおります。
本当にありがとうございました。
着付けもヘアセットも綺麗にしていただき、結婚式もつつがなく終わり、良い式でした。
その節はお世話になりました。
姉の結婚式で忘れられないシーンが最後の姉からの家族に向けての手紙で、
「仕事は毎日帰りが遅かったけど、
私が帰るまでお父さんは必ず起きてくれて、
お母さんは必ずご飯を作ってくれて、
妹も『社畜だ社畜だ』と嘆いていて、
とても励みになりました」
というオフィシャルに人の社畜をバラされた瞬間でした。
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