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アメリカン・グラフィティ(American Graffiti)

自己紹介に書きましたが、人生を決定した映画は『スティング』です。
その次に人生への影響が大きいのは、中1の時に観た『アメリカン・グラフィティ』です。

人生初のカルチャーショックを受けて、洋画が大好きになったきっかけの作品です。この映画を観ていなければ『スティング』を観るのはもっと後になったと思います。

監督、脚本はジョージ・ルーカス。まだ無名のハリソン・フォード、今は映画監督のロン・ハワードが出演している、1962年の夏の一晩を描いた青春映画です。

とにかく画面からあふれ出るアメリカの自由さに圧倒されました。

BGMのオールディーズの軽やかさも、次から次に流れてくる初めて見るものや知らない風景も、当時の私には衝撃でした。

私はまだ中1で、周囲には同世代の子供か大人しかいない環境だったので、アメリカの10代後半のお兄さんとお姉さんが、とても魅力的に見えました。明るくて開放的で享楽的で、とても楽しそうで。

一番素敵だと思ったのは表情の豊かさです。感情を隠さず表情に出して、笑ったり怒ったりしていました。

こんな風に言いたいことを言って、したいことをして、深夜を友達と過ごすなんて羨ましいなぁと、鑑賞後にはすっかり憧れていました。
アメリカへの憧れではなく、自由への憧れです。思春期特有の不自由さを感じ始めていたので、私もあんな風に遊んでみたいと思ったのです。

「アメリカで許されている自由が私に許されないのはおかしい」と父に抗議したら「映画の登場人物も、中1の時は親の言うことを聞いてたと思うぞ」と窘められて、反論できずにモヤモヤしたのを今でも覚えています。

だけどその時に「高校を卒業すれば私も自由になる」という将来への漠然とした喜びを感じました。

この漠然とした喜びを確かめたくて、機会があれば洋画を観るようになりました。そして運命の映画『スティング』に出会ったのです。