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職業における女性差別:東京医大女子減点問題から

今回のことで、女性が以前から職業において日常的に差別を受けていることが可視化されたので、きっと何かが変化すると思います。
性差を受け入れあって、尊重しあって、公平な社会になって欲しいと願っています。

医師を目指すレベルの優秀な頭脳をスポイルするなんて、社会の損失以外の何物でもありません。

私はバブル崩壊後の就職氷河期の始まりを見ています。

就職氷河期は女子から始まりました。まず女子が就職できなくなった。でもあの時は、それが女性差別という風潮にはなりませんでした。社会全体で「女子だから仕方ない」という感じで、景気が悪くなる不安ばかりが議論されていました。

それを考えると、今回の件が明らかな女性差別と認識されているのは、やはりジェンダー教育が進んでいると実感できます。

今の40代後半より上の世代は、就職氷河初期の「女子の就職率が落ちた」という連日のニュースに差別を感じない教育を受けています。教育というか刷り込みというか。これは男女とも同じだと思います。

もちろん当時も自立した自由な女性はいたけれど、「女子の就職率が落ちた」という文字列に、性差別を感じた人は少なかったと記憶しています。
私の周囲はそうでした。みんな受け入れていました。まだ女子の高等教育は不要と考える親も多かった時代でしたし。

そういう思考が出発点なので、現状でも充分に平等だろうと考えている人は多いと思います。意識的か無意識かに関わらず。

「女性が強くなった」「何でもセクハラになるから何も言えない」と考えるのは、『男女平等』がどんなものか教わってなくて知らないからだと思います。

教わっていなくても新しい価値観は自分でアップデートして欲しいところですが、加齢で柔軟さがなくなっていると開き直ってしまう人も少なくありません。「自分の時代はそうじゃなかったのに」って。

女性にしてみれば「それがおかしかったんだよ」という感じですし、現状でまだまだ全く平等だなんて言えないのに。

だけど今回の東医の件で、若い世代の男性からも「おかしい」という声が出ているのをみて、未来は明るそうだと感じました。以前から思っていましたが、今の30代より下の世代が社会のシステムを作る時代になったら、男女だけじゃなく、いろんな平等が進んで、優しい社会になるだろうと思っています。

当時の働く女性の実情が分かるとても良い記事をご紹介します。

女性の自省の記録ではなく、男性が女性をどう扱っていたかという視点で読むと、より理解が深まると思います。

性差を都合よく利用したり無視したりが当たり前だった世代がある、という事実を知っていて欲しいです。

当時の男性を責める意図はありません。いつ生まれるかは本人には選べないので、どんな「常識」で育つかは運ですよね。あくまでも歴史に学ぶという感じで考えてください。

私は、女性の就業にまつわる全ては、上の世代に蔓延している偏見のせいだと考えています。当人に差別意識はないと思います。これは男性だけでなく女性も持っています。自分達の時代のジェンダー意識が抜けていないまま経営していると思います。

加えて。以前は寿退社が当たり前で、数年前からようやく女性の定年退職者が出始めたところです。なので今までは女性が一生働くということのロールモデルがなかったのだと思います。経営陣にとっては全てが初めての問題という感じなのでしょう。そのせいで対応が後手後手になっている印象です。

これからは、要望と問題、その解決策のサンプル数が増えるだろうから、きっとどんどん改善すると思います。
経営者の世代交代が完了したら、今とは全く違う社会になってると思いますし、それを期待しています。