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学歴のこと

私は東北地方の出身です。

高校は学区内で2番目の進学校でした。2番目なので、指定校推薦で進学できるのは東北内がメインでした。東京、埼玉辺りも少しありましたが進みたいところは皆無でした。

中2の時に上京を決意していたので、高1から進路に悩んでいました。

上京したいけれど推薦で行けそうな東京近郊の学校には興味がわかない。興味のない学校には行きたくない。一般受験はリスクが高すぎる。もし全滅したら上京が難しくなる。でも東京には推薦で行きたい学校がない。

どうしたものかと高1の夏に真剣に考えました。そもそも私は何を学びたいのか。どんな職業に就きたいのか。

具体的な答えは出ませんでしたが、愉快な大人になって楽しい人生を送るためには上京以外ありえない、という気持ちが強まりました。これは私には非常に切実でした。都会に憧れたのではありません。心から分かり合える人に東京で出会えるという強い予感を、中2の時から持っていました。

どんな手段でもいいから確実に上京しようと決めました。そのためには学歴を捨てても良いと考えました。勉強はいつでも出来るけれど、上京は高校卒業のタイミングでしか出来ない可能性が高いので。

『絶対上京』を進路の軸に決めて、計画を立てました。

まず、成績は絶対に指定校推薦の枠内をキープすることを決めました。成績が良い方が可能性が広がりますし、もし進学しない場合、成績が悪くて進学できなかったと思われずにすむと考えました。

次に、両親に上京を許してもらう方策として、資金を作ることにしました。そのためにアルバイトをしたかったので門限を伸ばしてもらう必要がありました。成績を落とさないことを条件に両親と交渉して、少しずつ門限を遅くしていきました。

成績が落ちたらすぐに門限を戻すと約束して、勉強とアルバイトを両立させました。

これら全て、誰にも言わず1人で計画して実行しました。

高2の時、東京の学校の資料を眺めていたら、とても気になる専門学校を見つけました。 直感で「ここしかない」と思いました。ここに行けば絶対に探してた人に会えて、愉快な大人になって楽しい人生を送れる。私の人生はここから始めると強く感じました。

専門学校と就職は最終手段だと思っていたので躊躇しましたが、日増しに「あの学校しかない」という思いが強くなって、他の進路を考えられなくなりました。 それまで想定していなかった分野の学校でしたが、直感が「ここしかない」と言っているので従うことにしました。

余談ですが、私は子供の頃から自分の直感を信頼しています。本当にとても勘がいいのです。上京を決めたのも直感に従ってです。

専門学校に進学を決めましたが成績キープは続けました。これはプライドの問題でした。「私は専門学校に逃げるわけじゃない」という自分への証明のような感じです。加えて、学歴の盾がなくなるので実力で生きていくための訓練と、一生勉強を続けるという誓いの意味もありました。

問題は両親と担任です。
高3の進路相談の時に、指定校推薦を蹴って東京の専門学校に行くと宣言したところ、親と担任の反対は想像以上の強さでした。学校でも家でも話し合いの日々が始まりました。

特に担任が大変でした。高3は担任との闘いでした。毎日「専門学校なんて学歴にならない。就職にもお見合いにも不利だ」と説得されました。

「それを承知で選んでいる。私は実力で生きていく」と反論すれば「実力が手っ取り早く分かるのが、学歴だ」と言われました。

専門学校に行く位なら地元で就職した方がいいとも言われました。学校推薦の就職先は大企業の支社が多かったのです。そこで稼ぎのいい男性を見つけて結婚した方が、将来安泰で幸せだと。

全く視点が違うので話になりませんでした。私の進路の選び方が一般的ではなかったので、教師には理解できなかったのだと思います。毎日毎日、顔を合わせる度に考え直すよう諭されましたが、私には呪いのようでした。「幸せになれないぞ」という呪い。

両親の方が話が早かった。もちろん最初は反対されました。でも丁寧に何度も話し合って、最終的には、指定校推薦枠の成績を維持したまま資金を貯めていたことで理解してもらえました。貯蓄額は微々たるものでしたが本気は伝わったようでした。

三者面談の時に、母が私の希望通りにさせると言ってくれて、担任も諦めてくれました。

結果。専門学校で最高の親友に出会えて、私はとんでもなく幸せになれました。私の直感と選択は間違ってなかったと自信を持って言えます。
愉快な大人になって楽しい人生を送るための基礎を中2でつくり、高校時代に骨組みを整え、専門学校で建物が完成して、今も私はそこに住んでいます。

私は勉強が好きです。考えることも大好きです。そういう自分の特性を見極めた上で、実力で生きていくこと決めました。
ですが、私が選んだ道は表面的には真似しやすくて、嫌な事から逃げる口実になりやすいと思っています。中高生がこれを見た時に悪影響を与えそうで心配です。

子供達には、たくさんの情報に触れて、よく考えて、いろんな角度から考え抜いて、考えて考えて考えて、納得した方向に進んで欲しいと思います。

人生は何があるか分からないので、「自分に合った選択肢が多い方」を目安に考えるといいかもしれませんね。