【海と山の境目】 第7話 コンセントの曲がり角
まぶたの裏の模様を描くように、奥行きを創造する流れに沿った曲線を描きたかった。その絵の具に手を伸ばし、触れることなく肌にのせたかった。その方法ばかりを考えていた時期があった。
若い人たちに絵を描くことを教える立場にあった隆志は、教え子に描くという技術を教える。しかしながら、それが上の空になってしまうほど、考えるにつれて途方もなく暗闇に転がり込む、触れずに肌で感じとるという到達点は、どこにあるのかということを考えあぐねていた。
一流と二流の差は、判断する速さなのか。深さなの