読んだ本記録1『拝啓 人事部長殿』
私も今やイチ会社員です。
会社にいると悩むことも、疑問に感じることも多くあります。
比較的若い人(私の環境比)たちが、もはやこれまでと退職していくのを目の当たりにして気持ちが沈んでいた頃、出会った一冊です。
著者は1995年生まれという、私の環境比でいうところの「スーパー若手」。そしてトヨタという日本の社会でスーパーエリートな会社にいて、サイボウズへ転職したという。
ほんと、読んでいて「そうなんだよなあ…」と思うことしきり。特に序章のトヨタの日々の「そうじゃないんです!」という心の叫びが「わかります!!!!!」って思いました。私、全然若手じゃないんだけど。
いわゆる日本的な会社が悪いのだ、と一方的に非難することなく、過去(戦前からはじまる!)の歴史からなぜ「会社の平等」が重んじられ、「会社の成長」が続き、「会社の変革」が難しいのかといった点も非常にわかりやすく説明してくれて、なるほどなあと思いました。
また、12企業の人事担当者のインタビューなど大変読み応えがあり、どの社もいわゆる「一流企業」といわれる名のある企業。なんて、素晴らしい目標を持ち、高いモチベーションで働いていらっしゃるのか……と、もうただただ、頭を垂れるばかりでした(日本社会に貢献している企業はすごいなあ!)
そのうえでサイボウズという自社の様々な制度の紹介が入り、そして、何がどう何を狙いとして変化してきたのか、とフォーカスしていくことによって、デジタルネイティブ世代と「日本の会社」という制度の大きな感覚の乖離が見えてきます。いわゆるデジタルネイティブ世代の「インターネット的な感覚」が従来の日本の会社の風土では受け入れられづらいのではないかということです。
従来の日本の会社というのは、全員に「フルコミット」を求め、一方的な命令に従わせる「ヒエラルキー」意識の強い空気のなか、一部の人だけが参加する「クローズ」な環境で様々な事項が決定されていく……、いや、ほんと、その通りですよ……。
一方、「インターネット的」というのは「多様な距離感」「自律的な選択」「徹底的な情報共有」……、まさにこれ、いわゆる従来の日本の会社の価値観と全く相反するものなのです。
私の日々のもやもやが理論立てて説明されて、大変気持ちが落ち着きました。
そして今後、そういった課題にどう対峙していくのかといった目標も掲げられていて、私も大変勇気づけられました。
読みやすいけれども、結構な厚さもあってそれなりに時間はかかるかもしれない。でも、「どうしてこうなるんだ?!」というような疑問を会社の方針や上司に持つことがある人にはぜひとも一読をおすすめしたいなと思う一冊でした。