消滅都市FUTURE CONCERT朗読劇DAY1                                           

2016年12月28日二開催されたライブ、FUTURE CONCERTにて発表された朗読劇の文字起こしデータです。

1度目の消滅3.5章のクリア、ヨシアキとサトルの物語を軽く把握していることが推奨されます。

物語は1度目の消滅3.5章、その少しあと――



ユキ
――ロストから脱出し、ホシがいなくなってから…
  まるで雪が振り続けるように
  街が石灰化していった
  悲しみが…
  世界中に降り注いでるみたいだった

ユキ
  私はそれを受け入れるように…
  でも…なるべく見ないように…
  一年の、歳月を過ごした
  タマシイたちの声を、聴きながら


誰もいない教会に、一人たたずむユキ。
どこからかタマシイの声が聞こえてくる。

それは本当に聞こえている声なのか。
少女の心が生んだ幻聴なのか。



ヨシアキ
『——ユキ。
 僕は…いつか兄さんに会いに行こうと思ってる。
 有名になって見つけてもらおうなんて…
 そんなの、甘えだったよね。
 ちゃんと探し出す。
 そのためにも…
 僕は前を向かなきゃならないんだ。
 だから…
 ユキにも前を向いてほしいんだ』


サトル
『——ユキ。
 僕には願いがある。
 大切な人のことを救い出すという願い。
 実現出来るかはわからないけれど、そのために…
 すべての手段を尽くしたい。
 たとえそれが奇跡でも…
 今なら…
 現実に出来る気がしてるんだ。
 だからユキ…
 みんなのために、立ち上がってほしい』


どこからか聞こえる声は、ユキが耳をふさいでも聞こえてくる。
想いは、否応なしに流れ込む。」


ユキ
——でも…
  私が前に進むことで…
  誰かを幸せにできただろうか。
  私のせいで不幸になってしまった人のほうが
  ずっと多いんじゃないだろうか。


ユキはこれまでの旅を振り返り、いつかの言葉を思い出す。


ホシ
『——ねえ
 僕の背がちゃんと伸びれば…
 なかなかかっこよかったかもしれないよ。
 別の世界では僕ら案外、うまくいったのかもね』


タクヤ
『——全部が終わったら…
 ユキの住む部屋を探しに行こう。
 新しい街で…
 新しい生活を始めるといい。
 学校に通って同年代の友達を作ったり…
 ユキはさ
 そういう普通の生活をしたほうがいい』


ユキ
——幸せになりたかった。
  幸せな未来が待ってるって…
  ずっと信じてた。
  だからこそ前に進んでこれたのに
  それなのに…


ヨシアキ
『大丈夫さ、まだ諦めるときじゃない』

サトル
『可能性は残っている
 希望は潰えたわけじゃない』

ホシ
『だから、僕のぶんまで生きて?
 僕のぶんまで…幸せをつかんで?』

タクヤ
『ユキ!前を向くんだ!』


言葉が、想いが、いくつもユキに流れ込む。
頭の中で響き続ける。


ユキ
「やめてッ!」


振り切るように、半狂乱でユキは叫ぶ。


ユキ
「…………。
 やめてよ…
 もうそっとしておいて…
 お願いだから…」


ユキ
——気づいたら、涙が流れてた。
  たくさんの期待をかけてもらったこと
  それを果たせない、自分の不甲斐なさ
  いろんなことが頭をめぐる
  こんなに泣いたのはいつぶりだったろう
  色んな人の顔が…
  次々と浮かんでは消えて…
  私はひとりで泣きながら
  たくさんの人と
  繋がっていたんだって事を実感する。
  そっか…
  つながってるから、涙が出るんだ。
  そっか
  今わたしは…
  泣くことが出来るんだ。




遠くからスクーターの走行音が聞こえてくる。
少しして、教会の扉が開かれる。


タクヤ
「——ユキ」

ユキ
「………。
 あなたとは…
 もう会わないって言ったでしょう?」

タクヤ
「どうして俺を避ける」

ユキ
「一緒にいたくないからよ」

タクヤ
「なんで——」

ユキ
「どうしてわからないの?
 みんなが不幸になるからよ!
 ロストが消えれば…
 すべてが上手くいくと思ってた!
 でもそうはならなかった!」

タクヤ
「それは…俺たちのせいじゃ」

ユキ
「いいえ、私たちのせいよ
 私たちのせいで街は一気に石灰化した。
 人の住める場所じゃなくなった!
 それだけじゃない
 “滅び”はどんどん広がってるわ。
 だから…
 お願い…。
 もう帰って…」

タクヤ
「…………
 ………
 ……
 悪いが…
 ユキ。
 あんたの主張を聞くことはできない。
 ひとりで閉じこもって悩んでる時間は終わった。
 立ち上がる時がきたんだ。
 力尽くでも連れて行く。
 俺と一緒に…
 “北”を目指そう!」

ユキ
「…え?」


to be continued

そして物語は一度目の消滅 第4章へ——


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