フリーランスの専業シナリオライターのリアルな懐事情

おはようございます、天野スズメです(`・ω・´)

自分たちを知ってもらうメディア活動、2日目です。
張り切っていきましょう!

さて、僕自身のことを知ってもらうと言っても、人間は多面的な生き物です。
1500字程度の記事を2つや3つ書いたところで、中々人となりというものは伝わるものではありません。

ではなにから書いたものか、と考えていました。

僕が今朝食べたものとか、夜はいつ寝ただとか、そんな日記じみたことを書いても、あまり面白くない…
せっかく読んでもらうなら、なんとなく興味をそそられる内容がいい…

「せや、お金の話をしよう!!!」

みんな好きですよね、お金の話。
僕は大好きです(`・ω・´)

ただ、これからする話はお金の話ではあるのですが、世知辛い系のお話です。
まあ、「不幸」とまでは言わないものの、他人の逆境の話なので、気軽に面白がって聞いてもらえれば幸いです。

僕は2019年の2月まで、ゲームメーカーさんで内勤として働いていました。
そして、今年の3月から完全に独立したフリーランスとして働き始めて、今月は年末である12月。

計算してみたところ、なんと2019年の年収が100万円を下回りました!(ヤバすぎる…)

これまでのたくわえと、周囲の協力で一応まだしばらくはなんとかなるのですが、今の状態がさらに1年続くようだと、専業シナリオライターは廃業しないといけない感じですね(´・ω・`)

まあ、廃業とか言いながら、そうなってもどうせ別の仕事しながらシナリオライターは続けるんですが(`・ω・´)
(捨てるのは『専業』という肩書きだけ)

ただ、せっかく専業でやる状態が作れたのに、また二足の草鞋を履く状態には戻りたくないんですよね。

だって、仕事がなくて貧困に喘いでいるわけではなく、仕事は山ほどあって、毎日忙しくシナリオも書いていて、時間も手も足りないくらいなんですから。

(まだ発表できていないだけで、2019年はこれまでの人生で1番シナリオ書きました。発表があったらその時はぜひよろしくお願いします!)

仕事が山ほどあって、仕事もしているのに、稼ぎが少ない…
こういう状況になっている理由は色々あるんですが、1番分かりやすいのは、「シナリオはお金になるまでに時間がかかる」というのがあります。

もちろん契約次第ではありますが、毎月月末になると働いた分だけお金が入ってくるわけではなく、1案件分のシナリオを納品後、その検品が済んでからようやく入金されるので、「今」働いても、それが現金化されるのは、かなり遠い「未来」だったりまします。

(会計用語でこの状態のことを「売掛金」って呼ぶみたいですね。勉強しました)

フリーランス独立1年目の収入がとんでもなく低いのは、そういう事情もあります。

じゃあ2年目になったら劇的に改善するのか、というと、1年目よりはマシになる見通しですが、「シナリオはお金になるまでに時間がかかる」問題はゲームのシナリオライターをやっている限りずっとついて回ります。

問題は他にもあります。

これは完全に自分が悪いのですが、「天野スズメはあんまりシナリオの手が早くない」問題。

超遅いわけではないのですが、たぶん「中の下」くらいなんじゃないかなと思います。

自分で自分を売り込む時、速度を聞かれて答える目安は、「月産200KB」です。(1KB=約500文字。1月で約10万文字。これは小説にするとだいたい200Pくらいの薄い文庫本1冊相当)

あくまで安定値なので、実際はもうちょっと早いのですが、スケジュールを試算する時に自分の速度を月産300KBで計算することはないです。

どうして200KBしか書けないのかというと、キャラ設定にしても、プロットにしても、「納品するシナリオデータ」以外のものを、自分がかなり作り込むタイプだから、というのが1点。

そして、1度書きあがったものを、推敲段階で自分で大量に書き直すから、というのがもう1点です。

最初に書きあがる原稿のことを、勝手に「0稿」と呼んでいるのですが、
0稿は9割死んでもおかしくない、と思ってます。
というか、時間があるとそれくらい直します。

そんなまだるっこしいことをしているので、天野スズメの速度はあまり上がりません。

「じゃあ、それをやらずに速度を上げる努力をすればいいのでは?」

という意見もあるかと思いますが、
それはしません。

「製品に直接現れないディテールを作り込むこと」
「神は推敲段階で宿ること」
これらは天野スズメの信念であり、ここを曲げるくらいなら僕が書く必要はないので、大人しく筆を折ります。

…と、かっこつけて書いてしまいましたが、「速度を上げる」努力は過去にすでに試してるんですよね(´・ω・`)

もちろん、多少スピードは上がるのですが、僕の場合はそれをやっても「迷ってる時間」が増えるだけなので、劇的に速度があがるわけでもないし、クオリティは「速度を落とした」方が格段に良かったので、要するに「天野スズメは早く書けない」というだけです。

売り上げは「単価×数量」で算出されますが、つまり天野スズメは「数量」を増やせないシナリオライターだ、ということがある時からの自認識でした。

そうなると、収入を上げるには「単価」を上げるしかないわけですが、これにだって相場があり、限界があります。

さて、どうしようか。

ここで出てきたのが、同人活動でした。

同人では、お金をもらってシナリオを書くわけではありません。

むしろ、シナリオ以外…
音声作品なら主に「イラスト」と「声」ですね。
そうした、自分で用意できないものに関しては、お金を「払う」側に回る必要があります。

ですが、これまでと違って、売れなければ働くだけ損ですが、売れれば売れるだけ自分の仕事の「単価」を上げることが可能です。

だからと言って売り上げ至上主義に走るつもりもありません。

「製品に直接現れないディテールを作り込むこと」
「神は推敲段階で宿ること」

これらの信念を貫いたまま、信念をきちんとお金に変える、その挑戦がこれから始まる同人活動になります。

現在の同人市場はDL販売が主流になってきており、1度商品を陳列すれば、自分がなにもしなくても収入が増えることがあります。
(もちろんそれが人気商品なら、ですが)

「『今』働かなくても、少しずつ収入が入ってくる」
そんな状態を作って、フリーランスとしての生活を安定させる。

そうすれば、商業ライターとしても、
「制作期間が長く、1年以上直接的な収入がなくなるけど、やったら絶対面白くする自信のある企画」
みたいな案件にも手が出せるようになります。

もちろん、しっかりと稼げるのであれば、その分同人の作品のクオリティだって上げていけます。

今、このタイミングで天野スズメが同人活動を始めるのは、こんな理想を見ているからです。

ちなみに、サークルメンバーであるもう2人、あまつばめと白鳥とんぼは、現在別の仕事をしながらシナリオを書いている、兼業ライターです。

同人でやりたい企画、商業でやりたい企画、どちらも山のようにあるので、僕の収入ももちろんですが、それよりも2人を専業ライターにする方が先だと考えています。

今はまだまだ多くの部分が捕らぬ狸の皮算用ですが、同人活動が上手くいけばそういう未来もあると思っています。

というわけで、かなり熱い思いを持って活動していますので、応援してもらえると嬉しいです。

それでは、2日目の記事はこんなところで締めておこうと思います(`・ω・´)


(こちらはpixivFANBOXに書いた過去記事を編集したものになります)

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