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祝!!『本好きの下剋上』完結

祝!『本好きの下剋上33巻』完結巻発行
本当に発行おめでとうございます!!
WEB版の連載開始が2013年、10年後書籍版完結巻発行、なんと素晴らしいことでしょう。
香月美夜先生、挿絵の椎名優先生、おめでとうございます。
TOブックス様、ご尽力されたご担当者様、ありがとうございます。
そして長年応援続けて来られたファンの皆様にも感謝と祝福を贈ります。
私は遅ればせのファンなのですが、皆様のお陰で作品に出会い、現在の沼落ちがあると思っております。
好きなものができるというのは有難いことです。

下記、ネタバレ感想になります(ふぁんぶっく8,完結巻、ドラマCD10、特典SSすべて含みます)
未読の方は読まないようにお気をつけください。
まずは完結巻を読む前にいろいろ推測していた部分との照合から。

■魔力を枯渇させたローゼマインに液状魔力などを与える際、フェルディナンドは口移しだったのでは~~

というファンの期待はぷちっと潰されましたw
私はTwitter(現X)で、主治医フェルディナンドの一大医療行為なのだから、緊急性が高く口移しが一番速いのであれば「必要があればやる!」に決まっているなどと言っていたのです。ところがどっこい。
「器具で飲ませるのには慣れている、躊躇いもない」という追加記述で、「口移しでやる必要がない」となりました。
なんだか先生に「(勝手な妄想は)ダメですよ」と言われたような気持ちで読みました。すみません…。 
一連が一大医療行為であるという読み方は合ってたみたいです。ちなみに「必要ならやる」は別のとこで出てきましたw

■記憶を同調していた際祝福が降ってきてローゼマインの記憶が繋がったのは、自分の命が危ない時でさえ祈らず使われていなかった、ローゼマインが贈った全属性の祝福のお陰では?


ふぁんぶQAでフェルディナンドが贈られた祝福はまだ使われておらず、他者の為に祈った際に起動するということでした。
ここについては結局半分くらい正解。
神に祈るのはローゼマインの身体に危険がある状態なので普通に祈るわけではないだろうとも考えていたのです。
が、なんらか貰った祝福が関係してるとはよくやりとりする方達とも頷き合っていました。
アーレンドナドナの時にローゼマインが描いた魔法陣、全属性の祝福の裏返しバージョン「呪い返し」
をいよいよ追い込まれたフェルディナンドが使いました。
なんと「呪い返し」!
そういえば、ふぁんぶっくで「祝福と呪いは基本は同じ」という回答があったし、身に行きすぎた祝福はまさに呪いと同じ。
ダンケルフェルガーがディッターの後に使う”海の女神フェアフューレメーアの杖”で返すようなのがあればと考えたことはあったけど、あれだと全部は返せないしな、、、と思っていたんで、なるほど!と納得。
フェルディナンドがローゼマインから贈られた祝福を他者(ローゼマイン)の為に祈ることで使うという部分だけが当たりました。

それにしても「メスティオノーラは嘘を吐いた」で始まる呪い返しは、恐らくは今書かれているハンネローレ編に出てくる時かけに繋がるものなのでしょう。つまりフェルディナンドの命の糸が切れたのは、自分自身のこの行為のせいだったのでは?
呪い返しは自分が貰った祝福の量に等価な分だけ。
なので、呪い返しで使った為に不足した加護が過去に振り返ってプチプチ切れたという考え方なのかも?
これ本当にタイムパラドックスが非常にややこしいけど。
フェルディナンドの命を切る=ユルゲンの崩壊=再度の織り直しについて、ユルゲン崩壊を願っている神はいない、というのがふぁんぶ8の回答にあったので、どの神が悪意を持って切ったということではなく、過去の中のあちこちの加護が切れたと考えると割としっくりくるような?
一方、もしメスティオノーラがフェルディナンドの告発にあるように「嘘を吐いた」という扱いになり神罰を受けたのだとすれば、時かけの出発時はどういう状況だったのか?それとも「嘘は吐いていなかった」という扱いだったのか?
実はXに垂れ流したことがあるのだけど、メスティオノーラこそが救われるべき「歪んだ子供」なのですよね。
メスティオノーラは自らが望むユルゲンがいったん崩壊したとしても、フェルディナンドの命の糸を切りに行ってしまったのでしょうか?
それとも最初に書いたように加護の不足分が過去に振り戻ってあちこち切られる形になってしまった?
それともフェルディナンドに恨みを持つ何者かが神に呪いを願った結果?
誰がフェルディナンドの命の糸を切ったのか?は謎のままです。

■アウレーリアの父親を殺したのはエックハルト


エックハルトがフェルディナンドになんらか指示されてどこかに行ったのは、QAで「邪魔者を消せ」という指示だったという回答がありました。
多分、ランツェナーヴェ兵に殺された貴族達の始末の最中そのどさくさに紛れて、アレキサンドリアには邪魔な貴族たちを殺しに行ったのだなと思っていました。今回の完結巻で、アウレーリアの父親の館のドアには印があった(襲わないように、D子派であると分かるように)にも関わらず引っ張り出されて殺されていたとありました。エックハルトの仕事の一つですね。必殺仕事人のよう;
でも、アウレーリアは逆にほっとしてましたし、かなり邪魔者としては大物だったっぽいのでしょうがない;

■それぞれのお別れ


今回、丁寧に加筆された部分は、エーレンに残る人たちとの別れや、移動する側近達との段取り、引継ぎなどなど非常に細やかでした。
養母となったフロレンツィアとの改まった挨拶もありました。
私はフロレンツィアは養母として、実母としてのエルヴィーラへの遠慮もあるし十分良い関係と思っているのですが、ファンの中には割と冷ややかに受け取られてる方も多いキャラです。
が、このやりとりでやっぱりフロレンツィアにはエルヴィーラに遠慮もあったし、色々悩みつつ親子としての距離を図りつつ、ローゼマインに感謝し大事には思ってくれていたのだなと分かって良かったです。
リヒャルダとのお別れもボニちゃんとのお別れもそれぞれに涙でした。
アレキサンドリアから里帰りもするだろうし、この後会えなくはないけどそんなに簡単ではない。
そうした人たちとのお別れはいかにも巣立ち、旅立ちに相応しいものでした。
デリアが孤児院から出られないのは厳しいなとちょっと考えていて、彼女にも何か恩赦でもあればいいのにとか思っていたのですが、先生はさすがにそこまで甘くなかったです。が、ディルクと離れてやる気や生気を失っていたデリアに再び「孤児院の子供たちの姉として面倒を見て守ってあげてね」という言葉。そして久々のデリアの「もー!」二人のやりとりはとても心が温まるものでした。ディルクやコンラート、メルヒオール達が引き継ぐエーレンの神殿と孤児院はきっと大丈夫。

■そして「帰宅」。

本編を読み終わった時、あちこちでローゼマインが「懸想じゃない、家族になるのです」と言うように、先生が読者に釘を差しているような気がしました。メスティオノーラに染め変えられた為にローゼマインに魔力感知が発現したのを知った時の「ほぉ」にもうちょっと特別な気持ちがあるかと思っていたら、そこもまだまだ魔力枯渇が遠いことの方が心配でしょうがない状態でした。全然色っぽいものじゃなかったですw

でも!満を持してCDドラマを聴いたら(脚本の国澤様が書籍より踏み込んだ内容にしているという話が先生の活動報告から出たので)
フェルディナンドがどれだけ必死だったか切迫感がよく分かったし、ローゼマインとどれだけ「家族」になることを渇望していたか、「家族同然」と扱われてどれだけ嬉しかったかが語られ。「宝物を与えられたような気持ち」ってどんだけ可愛いんでしょう。
渇望は分かってたつもりだったけど、思っていた以上にもっと切実でした。前の感想でも書いたけど、どこまでも健気です。
私にとってはクールな魔王というよりは、どこまでも健気な可愛いフェルディナンド。
そしてエーファとギュンター達に迎えられ、家族としての団欒、本当に良かったです。
ドラマCDで要所二か所に使われた「ただいま!」大団円でした。

一方で「口づけくらいしてやれよ」のベンノさん達の揶揄いに思わず漏らしたローゼマインの「貴族のキスは魔力を流されて大変なことになるんですよ!」このセリフにトゥーリが「マインは大変なことになったの?」!!これは!!
前にTwitterで公式が爆弾を落とされた「領主会議中に髪飾りに盗聴器を仕掛けられていることが分かって、フェルディナンドがローゼマインに愛の言葉を囁きながら迫っていって壁ドンチューをした(口を塞いで盗聴器を取った)」という例のネタのアレではないですか。
https://x.com/miyakazuki01/status/1528726797260451840?s=20 
本編で書かれなかっただけで既に壁ドンチュー&魔力も流しちゃってたんですね。
「一度のキスもさせずに終わらせた」本編。
私もWEB版で完結まで読んだ時、先生は冬関係を書くことはないなと悟りました。
なのですかさず二次作品読み回りました。けど、結局のところ裏設定も入れれば公式が最強!と言われるのをしみじみと実感しました。
こういうのも。
https://twitter.com/miyakazuki01/status/886201410127147008

一読者の私としては、トゥーリのセリフ「家族同然は夫婦同然」これで良いということでw
二人の情緒はそれぞれまだまだお子様ではあるのだけど、
学習能力の高いフェルディナンドは徐々にちゃんとローゼマインに仕掛けてはいるようです。
そして、ハンネローレ編の「定時報告」の時にはすでにローゼマインにはブルーアンファが舞い踊った後のようです。
それはちょっと分かっていたのですが、間を描写として書かれることはないのですね。
https://x.com/miyakazuki01/status/985898899603841024?s=20

■終わりに


本が好きな本須麗乃が転生し、一冊も本がない、何も持たない貧しい平民の娘から領主にまで上り詰め、紙を作り本を作り図書館を作り図書館都市を目指すところまできました。それがこの物語のテーマでした。
その主流の中で、ローゼマインが何もかもを諦めて生きてきたフェルディナンドを救い、そして二人で生きていく…
二人は結ばれて末永く暮らしました、めでたしめでたし!の物語ではなく、この終わりが新しい始まりの物語です。

*トップの画像は雑ながら私の模写です*

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