~救済の物語~『君の夜に触れる』もりもより著
現在電書版・紙版ともに発行あり。(from RED comics) 2022年10月7日
*感想、ネタバレありますのでご注意ください*
ともかく絵が美しい。これも書店でふらふら回ってあまりに絵が好みだったので一目ぼれして買った一冊。
家の片隅でひっそりと生活している盲目の少年・佳澄と、荒んだ暴力的な世界にいる千夏の出会いの物語。
少しバックグランドが分かりにくいところもあるけれども、ピュアな魂そのままのような佳澄が可愛いくて宝物のような存在で孤独な魂が一気に引き寄せられてもしょうがないと思ってしまう。画力の勝利!
飼い殺されるような大きな旅館の片隅でひっそりと生活する佳澄はそれでも何も恨まず、出来ることを自力でこなしている。跡継ぎとされた弟も兄のことは邪険にはしていない。アタリの厳しい母親の陰でひそかに気遣いはしてくれているが寂しい生活であることは分かる。
初めての殺人(失敗!)の場面を目撃されたと思っていた少年との思わぬ再会に動揺しつつも、気になり家まで送り交流が始まる。自分への言い訳のようにもし目撃していて記憶がありおかしな様子があれば…と思う千夏だが、孤独な魂が惹かれ合っていく様が丁寧に描かれている。
殺し屋家業を親子で引き継いでいかねばならないというダークな設定が少し分かりづらいというところはあるが、救われ合う関係が尊い。
佳澄がともかく可愛い(二度目)ので、何もかももっていく、に尽きる。
<24のセンチメント>20
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