見出し画像

2010.8.7 SF大会トークライブレポその2

*(トップ画像はサカタボックスのフリー素材を使わせて頂いております。内容には関係ありません。)
下記は当時行った感想を自分のココログに挙げているものから抜粋と内容の補足をしたものです*その1の続きになります*

萩尾望都×佐藤嗣麻子×夢枕獏鼎談

いよいよ萩尾さん達の鼎談。小谷真理さんの進行で始まりました。
まずは萩尾さんが海外で安くで購入したというロマネコンティの話から。飲み頃になるのを楽しみに大事に冷蔵庫に仕舞っておいたら、ある日の雷のせいで冷蔵庫が壊れ、すっごく残念で贅沢な美酢になってしまった。そしてトークはアメリカ・サンディエゴでのコミコンの話に。

マット・ソーン氏編集の本『酔夢』

萩尾さんのたくさんの作品の中から英語で出す本のメインに『酔夢』を選ばれたのは企画編集をされたマットさんだったみたいです。お好きな作品らしい。アメリカでは本当は左からめくるのだけど、さすがに日本の漫画の良き理解者であるマットさんは日本での出版に合わせて右から左に読んでもらうような編集にしておられました。コマの流れがそのように読ませるように描かれたものなので。さすがです!

萩尾先生がブラッドベリに会った話

コミコンではこのマットさんに通訳してもらいながら、今回萩尾さんが受賞したインクポッド賞を××年くらい前(メモ取ってなかったもので記憶曖昧;)に受賞されて以来毎年コミコンに参加してるというSF作家レイ・ブラッドベリに会われたんだそうです。もう90歳と高齢なので車椅子に乗っていらしたそうです。萩尾先生は情熱的にブラッドベリ作品への愛を伝えたそうですが、もうお年もお年なので、マットさんが「(萩尾さんは)ブラッドベリの作品を漫画化している日本の少女漫画家なのです」と伝えても、ほーほー、みたいな感じだったみたい。
でも生きている内に会えるとは思ってなかったという萩尾さんのその時の興奮と感動が伝わってくるようなお話振りでした。私達にとって神様のような萩尾さん自身が少女のように大好きな作家にお会いになれた経験を語られる様子はとても微笑ましかったし、本当に良かったなあ~とこちらまで嬉しくなってきたりして。

佐藤監督と萩尾先生の出会い

それから佐藤さんが萩尾さんにお会いになるきっかけになったのは、佐藤さんが海外で留学してる際に卒製として「半神」を映画化させてくれと萩尾さんにお手紙を出したことだったというお話。
そのフィルムを上映してくれたのですが、これがまた素晴らしい出来でした!
萩尾さんも夢枕さんも絶賛されていて、実際これはいろいろ受賞もされたらしい。
この映画化がきっかけ(さらには夢枕さんの紹介もあったりして)で交流が始まったそうです。
その後、佐藤さんは日本に戻ってバンダイビジュアルでアルバイトされていて、せっかくこういう会社に勤めているのだから何か企画しよう!ということで、ファンにとっては非常に有難かった萩尾さんのスケッチブックからの画像も収められたCD-ROM「サンクトゥス」を発売されたのだそうです。ひとしきりそのCD-ROMの話と今は旧いOSじゃないと見れなくなってしまった映像が会場に流されました。
これは私も購入していますが、今我が家ですぐに起動できるPCでは見れないんで久々に見てやっぱいい内容だと感じ入りました。筋金入りのファンで、かつ映像センスのいい佐藤さんの監修なので、スケッチブックに描かれたアイデアメモやキャラデザインなどの細かいちょっとした書き込みまで収められているのです。セレクトも非常にいい。会場も佐藤さん萩尾さんの話を聞きながらもその後ろで映される画像に釘付けでした。
当時、佐藤さんはニフティの萩尾会議室にも書き込みをされていて、私達ファンとも気軽にやりとりされていたと思うのですが、このCDが買えたのもニフティのフォーラム情報で知ったからだったなあと当時を懐かしく思い出したりしました。

対照的な夢枕さんと萩尾さん

夢枕さんが連載は書きながら続きを考えるという話だったのに対照的に、萩尾さんは描きだす時には最後はほぼ考えがある、ということで、お互いに「それもすごいね」とおっしゃってたのも印象的でした。萩尾さんは書いてる内にラストができていくほうが「生の感じがする」とおっしゃるし、夢枕さんは「自分も最後まで考えてから書きたいとは思うのだけど」と言うのでした。いやまあどっちにしろお二人とも天才鬼才ですからw
映画監督との対談ということもあって、萩尾作品の舞台化映像化についての話もけっこう出たのですが、萩尾さんはそうした映像化については「原作とは別物だから」いろいろ変更されたとしても「テイストが生かされてる」ということが大事なのだとおっしゃっていました。佐藤さんが「自分は色々変えて撮ってしまうから」とおっしゃったことを受けてだったですね。
「スタジオライフの舞台はどう?」という夢枕さんの質問に萩尾さんは「とてもいいと思っている」とのこと。
小谷さんが見に行った舞台「トーマの心臓」で役者さんがセリフを言う時のポーズが漫画のカットとそっくり同じだった!と感心した話で「それに気づく小谷さんもスゴイ」という話が出たり・・。
夢枕さんが萩尾さんに連れられて宝塚を見に行った話などなど。。。。

ひとしきりの話のあと、そろそろ時間も迫ってきたということで、会場から質問はないか?と小谷さんが振ってくださって、「佐藤監督が今現在映像化したいと思っている萩尾作品はなんでしょうか?」と私の友人Kさんが質問したのでした、グッジョブです!
佐藤監督のお答えが「もうたくさんありすぎるんですが、まずは『銀の三角』ですね、これは是非映像化してみたい。でもどう考えても予算がかかりすぎるから、現実的に考えると『訪問者』『スターレッド』もやりたい、『11人いる!』もやりたいですね・・・」
そこから夢枕さんが「『銀の三角』でいくらくらいなら作れるの?」という質問をされ「20億くらいですかね」「20億でいいの?」(By小谷さん)といったやりとりが続き、会場は大いに盛り上がりました。
『銀の三角』をアニメでなく実写でやりたい!という佐藤監督。それは是非見てみたいものです!!
「でも実際にやるとなるとやはり海外の役者を使ってオーディションとかして撮りたいし、予算は相当かかるでしょうね~」とおっしゃっていました。頭の中にはかなり具体的に映像化へのイメージがあるんでしょうね。『訪問者』のほうなどは実際に脚本を書いたりしてみたこともあるという話だったので、それも見てみたい~~。
映画関係者の方、是非是非佐藤監督に映像化の実現を!!スポンサーになってください~~v

最後に、これもまた佐藤さんが学生時代に作成したという夢枕さんの「キマイラ」をパロったアニメ作品が上映されました。夢枕さんから「なんか作ってみてよ」という依頼があったらしい。
私は「キマイラ」は学生時代に何編か読んでいるのですが、だいぶ忘れているのでパロディを全部は分からなかったけど、当時の流行してたものとか絵の感じとかが思い起こされて面白かったです。一緒に制作協力してくれた人たちは現在CMや映画など皆さんそれぞれプロとしてご活躍中なのだそうです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?