秋/見あげる

ずっとむかしの
波しぶきの化石を並べて
もう聞こえない声の数々は
糸を曳くように飛び交う

白く露出した骨は
もう痛みを感じないから
少しずつ折り取っていく
日記みたいな作業

遠くで
いくつも

火の花が

咲いて

淡くよごれた小鳥たち
いつか海の夢をみろよ
ふかい、ふかい藍の色
どこまでも潜れたらいいのに

2021

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