昆布締めのシメサバ

付き合って半年、
初めてのバレンタインで、
彼は何故か、私にバレンタインをくれた。

リボンも、ペーパーもない。
それは立派な発砲スチロールだった。

普通のシメサバ。
確か味噌味のシメサバ。
そして、昆布締めのシメサバ。

なんで?

私がチョコをあげる日だから、
私の脳内BGMはチョコレートディスコでしたが?

脳内でチョコレートディスコを踊るPerfume様は
もうみんなシメサバの顔になっていた。

邪念は置いといて、
半年私をみてきた彼は、私のこと、
チョコレートよりシメサバが好きと理解しているのね。

わあ!嬉しい!
シメサバがチョコより嬉しいって、よくわかったね!

を待つ彼の顔は、犬。
そのままの言葉を伝えた。

そしてバレンタインのおうちディナーに並ぶ、
普通のシメサバ。

ふさわしい舞台を用意してやれんくてごめんよ。
今日の予定はおうちフレンチだったから。
シメサバを似合わせる術、持ってねんだ。
後日な、後日。

1ヶ月後。
どうしても気になる、味噌味。食べてみたい。

記憶がここで途切れている。
そういうことだったんだろう。


そして、まもなく1年。

昆布締めは、
冷凍庫で今もチョコレートディスコを踊っている。

1年楽しませてくれた、
彼の頓珍漢とシメサバに感謝。

バレないように食べよっと。

#わたしのバレンタイン

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