アマナが新経営陣になって変わったこと、素直にお話しします
こんにちは。アマナです。
今年1月からアマナは経営陣が代わり、新体制となってさまざまな改革を進めてきました。
これまであまり社外のみなさんにお伝えすることができていませんでしたが、これから少しずつやってきたことや変わってきたこと、新しく見えてきたことなどを素直に正直にお伝えしていきたいと思っています。
今日は新体制になって新たに代表取締役社長に就任した金子剛章さんにお話を聞いていきたいと思います。
新経営体制について
- 今年の1月にアマナは新経営体制となりました。その経緯について教えてください
(金子) はい。まず、昨年秋にアマナの関係者とご縁があり連絡をいただいて話を伺いました。外から見えていたアマナのイメージと違い、かなり深刻な事態で大変驚きました。
企業再生の道筋を検討した結果、単に外部から役員だけ送って監視するというスタイルではなく、経営再建できるスキルのある経営陣を揃えれば再生は可能という道が見えてきたので代表に就任し、再建することを決めました。
そして、昨年末に債務超過の状態を解消すべく事業を再生する手続きを行い、今年の1月にアマナは非上場化しました。財務状況を改善し、早急に会社の立て直しが必要な状況でした。
私としても昔からアマナをかっこいいクリエイティブを生み出す企業として尊敬していたので、純粋に自分がやりたいと思えたこともこの役目を引き受けた大きな要因です。クライアントとして以前アマナに映像制作を発注したこともあるのですが、仕上がってきたもののクオリティの高さにも満足していました。
またちょうど自分がワクワクできるビジネスを探していた、とてもいいタイミングでした。
- 金子さんご自身も以前から経営をされてきたと思いますが、過去のどういった経験が役立つと考えられましたか?
自分自身の経営経験はもちろん、事業を作ってきた経験が役立つと思いました。少人数から事業を始めると全セクションをみないといけないんですよね。中小企業の経営は会計も法務もHRも営業もみなければいけないし、なんなら自分でやらなければならない場面も多々あります。
何がその時の企業にとって必要なものなのかを常にジャッジしてマネジメントし続けてきたのでそこの判断力、行動力に関しては比較的自信がありました。
また、アマナは制作業務が中心なので自分のこれまでの経験でも勘所がわかっていたし、少ない資産からでも事業がスケールしたこともあったので、僕のキャリアで培ってきたものが様々な場面で発揮できる場所だと思いました。
経営方針について
- 新体制になり、新たな経営の戦略や大きなコンセプトやテーマなどは設定されたのでしょうか?
まず、アマナの目指すこととして掲げている”世界にノイズと美意識を”という言葉は変えない方針です。
ノイズというのは世界が抱える問題意識であり、美意識というのはアマナが持っている大事なソリューションであり強みです。
アマナとして目指すことは変えず、今は企業として生き残ることが重要なので極めて具体的にまずは3ヶ月でこれをやるんだという改善プランを全社会議で共有しました。
組織について
- 具体的にどういったことを実行されましたか?
販売管理費の削減、経営状況の可視化、人員調整、組織改革などを行いました。
組織改革については、顧客ありきのビジネスなので、それを営業チームを中心に商流に合わせた顧客起点組織に変えました。
営業だけで組まれたチーム体制ではなく、それまでプランニング組織にいたプランナーのメンバーを営業と同じチームとしてまとめました。社内は組織改革のおかげで大混乱になりましたが…。(笑) なんとかみんな耐えてくれています。
- かなり変えたことで社員からのリアクションはどうでしたか?
これまでに、何十人かのメンバーと1on1をして話を聞きましたが、会社が変わることを望む社員が多いように感じました。
全社会議はオンライン参加の方も多いのですが、その時にも拍手のスタンプがたくさん流れますし、みんなのアマナを守りたいという意思を感じます。代表就任前には6回にわたり全社員向け説明会を開催し、丁寧に何度も説明しました。
- 顧客のみなさんにはお話しされましたか?
代表就任後に3ヶ月で50社以上の既存顧客のみなさまのところに訪問させていただき、アマナの状況をお伝えして、ご心配をおかけしたことをお詫びし、継続して契約いただいていることに関してのお礼をお伝えしました。
みなさん「そんなことになっていて大変ですね」「説明してくれてありがとうございます」などやさしいお言葉をかけてくださいました。かなり正直に赤裸々にお話ししたので「ここまで全部話してくれるというのは逆に信頼できます」とまでおっしゃっていただき、新たな仕事が生まれたりもして、本当にありがたいことだなと思いましたし、アマナがこれまでに培ってきた信頼のお陰なので、本当に有難く感じました。
成果について
- 組織を大きく変え、財務体質健全化に向けての改革を推し進め、新体制になって8ヶ月が経ちましたが、成果はいかがでしょうか。
諸々見直した結果、固定費は昨年と比較して通年24億円以上の削減を4カ月で実現することができました。これは今年の見通しなので、来年も合わせるともっと削減できそうです。
また、営業利益ですが、昨年は赤字でしたが、こちらも2024年の上半期が終わり無事に直近5年で最高益を達成しました。第1四半期だけで比較すると前年対比688%です。
- ちょっと信じがたいほどの成果と数字なのですが、この要因は何でしょうか?
自分でも驚いています。
経営者が持ってる裁量は大きいですが、社長1人が変わったところで何が変わるんだと思っています。判断を間違えてなければもちろん成果は出るとも思いますが、やっぱり元々の会社としての強みがないと、こんなに結果は出ないです。現スタッフも含め、アマナという会社が受け継いでいるクリエイティブや表現力の強さ、また変わらず信頼頂いたクライアントの皆様のお陰だと痛感しています。
改革の中でオフィス削減を検討した際に、この場所をなくすことでアマナが持っている表現力やカルチャーなどの強みが減ってしまうのではないか?と様々な葛藤がありました。
でも、結局アマナの1番の強みは会社の理念にもなっている”人が中心”というところだと思います。社員同士も顧客とも人として強くつながっていて、日々の業務でクリエイティブに真摯に向き合ってきたからこそ成果が出ているのだと思います。
- 他にも変化したことはありますか?
会社のオープン化・透明性で変化をもたらそうと考えています。会社の経営状態をオープンにし、経営メンバーが考えている事も可能な限りタイムリーに開示していく。社内だけでなく、社外にもアマナの取組みをもっとオープンにしていこうと考えています。これまでに四半期に1度の全社員会議は月に1度の頻度に変え、Slackなどでは、日々見ているニュースや、考えた事などを個人的にも発信しています。
新たな取組み
- コアに進めていきたい事業・領域について教えてください
アマナの事業は基本的にクリエイティブ・表現力を強みにした制作ビジネスですが、事業形態をそこから大転換するということは考えていません。
大転換することはなく、AIへの向き合い方を強化していくことでよりクリエイティブを強められると思っているので、そこに力を注いでいきたいと思っています。
特に画像生成AIについては組織的にも強化するために、生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する企業・人材の可視化を推進することができる資格の”生成AIパスポート”の受験を推奨し、8月に86名が合格者がしました。
実際に企業とコラボした新たなAIプロジェクトも生まれているので、それも今後事例紹介として出していきたいと思っています。
AIの進化は未知で想像を超えてくると思うのでどこでどうゲームチェンジが起こるかわからないと思っているのが正直なところですが、AIによって我々の選択肢は大きく広がっていると思うので、その可能性にかけてみたいと思っています。
- 人材を活用した新規事業があると伺いましたが、どういったサービスでしょうか?
GreatRIVERというクリエイティブのプロフェッショナル人材を企業に提案していくという創造性人材伴走サービスを始めました。アマナとしては初めての人材派遣の領域の事業です。
このサービスでは実際にアマナの社員を企業に派遣することもあるだろうし、アマナと仕事をしてくださっているつながりのあるクリエイターを派遣することもあります。これは企業のあらゆる部門や組織でのリソース不足解消や課題解決のスピードアップをサポートするものですが、まだ5月に始まったばかりなので今後の展開が楽しみです。
この事業は社内のメンバーが自主的に提案してきた事業です。特に新規事業を公募とかしていたわけではなかったのですが、自分が代表に就任した頃の1on1で提案をしてきたメンバーが何かやりたそうな感じがしたので軽くやってみたらと伝えました。そうしたら後日そのメンバーが企画書を持って提案に現れたというわけです。
そういった”やりたい”と思ったことを形にする人がいること、そしてそれを実際に形にできること。それもアマナの強みのひとつだと感じています。
- 金子さんはどういうスタンスで社員の方々と向き合っていますか?
自分は社内でできる限り社員との関係性はフラットでいたいと思っています。世界にノイズと美意識を目指すことに対して関係性は役割が異なるだけだと思っています。社内はフリーアドレスなので自分もそこらへんのテーブルで仕事していますし。すると、そばにいるのが社長だと知らずに座ってしばらくしてから気づいて少し気まずそう…なんてこともまだあります。(笑) 全然気にしないで欲しいなと思っています。フランクに話せる人もかなり増えてきたと勝手ながら思っています。。。
真面目な話をすると、今はトップダウン的なリーダーシップの方がアマナの状況には必要だと思っているので決定事項を伝えるスタイルのコミュニケーションにはなっていますが、その時々の状況によってスタイルは変わるのがいいと思っているので、みんなの意見を聞いて合意をとってというやり方もタイミングや時期によってやるといいと思っています。
今後のアマナが目指すもの
- 今後、アマナは何を目指していきますか?
自分が昔からアマナに持っていた印象は”カッコよくてイケてるものを創造するクリエイティブチーム”なんですよね。
企業として存在する限りは生き残りをかけて数字的な部分で勝つことももちろん重要です。
でも、コミュニケーション産業で社会的に貢献できる企業としての価値ってなんだろうって考えると、それはアマナって会社には新しい何かが期待ができるとかワクワクするとかカッコいいって思ってもらえるものを生み出し続ける力なんだと思うんです。
クリエイティブの実力を最大限に高めて期待される存在にする、それが自分に課せられているミッションだと思っています。
これからのアマナにどうぞご期待ください!
(聞き手:PR 田 美智子)