【FF14】あなたのきれいな手【ハウジング・イメージSS】
【注意!】
コチラの小説は上記の記事で取り上げた、スプラッターハウスからイメージを浮かべたショートショート小説になってます
いわゆる二次創作です(製作者様にはご報告済み)
木々に囲まれた屋敷に住むという婦人は、とても優しかった。
新しい街に来て不慣れな私を、よく助けてくれた。
「ありがとうございます……こんなきれいな手袋を、しかもレースですよね」
「いいのよ、あなたの白い手が傷ついては大変と思ったのよ」
「そんな私の手なんて」
そう言うと、婦人は私の手をとって、真面目な顔をす。
「あなたは自分の価値をわかってないわ……大事になさい」
婦人にそう言われてしまうと、自分の体、特に手には価値があるんじゃないのかと思えてしまった。
私は頂いたクリームや手袋で手を大事にした。
ある時、婦人が自宅に招いてくれた。
嬉しくて装いも整えて、婦人の家に入る
婦人の家は奇妙なほど暗かった。
こんなに暗いのに、よく生活できるものだ。
そして同時に臭かった。
鉄臭いと言うか
なんでこんな匂いがするのだろう。
しかしお世話になっているので、とてもそんなことを言えない。
婦人自ら作ってくれたシチューを食べて頭をひねった。
「これ……はじめて食べたような。なんのお肉でしょ」
婦人は微笑んだ。
「人かしら」
意味がわからず立ち上がろうとして、そのまま、床に崩れ落ちるように倒れた。全身がしびれ、意識が混濁する。
けれど、首筋にあてられた斧の鋭さだけは・・・神経が凍りつくほどに感じることが出来た。
「あなたの手……本当に綺麗ね」
婦人はいつものように褒めてくれた。
私は目を見開くしかない。
意識がある最後に見た光景は
優しい笑みを浮かべる婦人だった。
血に濡れた斧が振り下ろされる……
白い手の彼女は
指輪を飾る台にふさわしいとおもった。
人差し指はルビー、中指はエメラルド、薬指は……ダイヤ。
桶に入った彼女の顔には驚愕が焼き付いている。
かわいそうに、可愛らしい顔立ちだったのに
首から下はいろいろと役たちそうだけど……顔はいつものように埋めるしかないだろう。
頭をひとつ振って、婦人は家具作りに専念する。
いつからこんなことをはじめたのか。
どうしてこんなことをしているのか思い出せない。
けれどもう、ずぅと人を殺し続けている。
「次はどんなものをつくりましょう・・・あなたは何がいい?」
婦人は屋根裏にのぼる。
屋根裏には箱が一つだけある。
その箱の中身に声をかけていた。
中身は何も答えない。
彼女は箱からミイラになった首を持ち上げて
「今日はおしゃべりじゃないのね」
と、愛しい人の頭を撫でた。
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