雲部!vol,2~雲の字を持つことば その2
東京も梅雨入りしました。でも梅雨入り前の2.3日は、雲の動きがダイナミックで見飽きなかったです。先日、お昼ごろに太陽を横切る雲を撮ったら彩雲だった!という嬉しいできごとがありました。彩雲ってこんな風に色がついている雲です。
今回は『逆引き広辞苑』を使って、「彩雲(さいうん)」のように言葉の最後に「雲」がつく言葉を調べてみました。またまた新たな言葉に幾つも会えましたので、興味深かったものをご紹介します。
鼬雲(いたちぐも)
今回の最初は断然これです!いたちぐも!初めて知りました。生き物を冠した雲の名前ですと「ひつじ雲」「いわし雲」がよく知られています。この2つは巻積雲や高積雲などの小さめの雲片を持つ雲を指しますが、いたちぐもは積乱雲の異名だそうです。(注1)
いたち。直接見たことはありませんが、すっくと立ちあがっているイメージがあります。そんなところがもくもくと上昇していく積乱雲に重なったのでしょうか。
八重旗雲(やえはたぐも)
「幾重にも重なって旗のようにたなびいている雲」だそうです。(注2)自分の写真からうかつに「これです」とは言えないのですが、確かにそよそよと「たなびいてる」ような雲、あります。その様子を「旗」に見立てたんですね。
今は気に入った雲があれば、すぐに写真や動画におさめて、他の人にお見せすることもできますが、そうでない時代には言葉、比喩を駆使して美しい雲の様子を言い表したのでしょうね。それもまた豊かな世界だなあと感じます。
朶雲(だうん)
どう読むのか、どんな意味なのか、まったく想像ができませんでした。
上の2語もそうですが、『逆引き広辞苑』には意味は出ていないので、見つけた言葉は『広辞苑』で引き直しています。
「朶雲」は『新唐書韋陟伝』に出てくる言葉で、「他人の手紙の尊敬語」だそうです。韋陟という人物が、自分の手紙の署名部分を垂れ下がる雲にたとえたとか。(注3)
なぜ、自らの署名を譬えたことばが、転じて尊敬語になったのか、ここはもう少し調べてみないとわかりませんが、色々想像は膨らみます。ネットで見ると、他の辞書には用例も出ているようですので、今後の宿題にします。
では最後に、梅雨直前、雲たちが元気いっぱいに遊び散らかしているような空の写真を1枚。またこんな日差しが見えるようになったら、夏ですね。
注1,2,3は以下を参照しました。
『逆引き広辞苑』岩波書店 1992
『広辞苑』第7版 岩波書店 2018
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