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沖永良部島での三味線教室を通した活動

【活動報告】NO.003

R5_018 波多野 雅也 さん(沖永良部島)

沖永良部島に2022年6月に移住し、三味線や島の民謡を教える教室を2022年9月から始めました。
私は出身が静岡県で沖永良部島とは縁もゆかりもありませんでした。進学先の関西で18歳の時に民謡をはじめ、偶然その教室の方々が全員沖永良部島出身で、存命なら95歳の先生と今も元気な86歳の兄弟子から手ほどきを受け今に至ります。
奄美環境文化教育プログラムは移住して1年が経ち、教室をはじめて1年目の時に、教室運営のヒントや1からしっかり奄美群島のことを学び直したいと思い受講しました。

沖永良部島には移住する前から遊びにきたり、関西での沖州会に参加したりしていて薄々感じてはいましたが、実際に移住して日常で「沖永良部民謡」に触れる機会が非常に少ないなと感じています。
琉球文化に特に強い影響を受けている沖永良部島では、現在沖縄民謡や沖縄popsが若い世代の主流となっています。
敬老会やお祭りなどで素朴な沖永良部民謡を耳にする機会が少なくなっています。

移住後に周囲の勧めもあって始めた教室は、島の方々の理解もなんとか得られながら、現在数ヶ所で行うことができています。
自分の中では以下の3つの柱を大事に活動しています。

【沖永良部民謡に拘る】
教室では沖永良部島で昔から歌われてた民謡のみ教えています。
土地の民謡にはその土地の歴史や文化、言葉や想いがたくさん詰まっています。
文化は時代により移りゆくものですし、沖縄文化も大変素晴らしいものですが、やはり素晴らしい島の固有文化がまだ残っているので、上手に棲み分けながら自分は沖永良部民謡・シマウタに拘りたいと思っています。

【続けたくなる場づくり】
教室は特に島の子どもたちが多いので、子どもたちが中学生や高校生になっても続けたくなる、親御さんも続けさせたくなるような場づくりを勉強中です。
教室やイベントなど様々な「場」を通し、特に子どもたちのアイデンティティの土台となる、沖永良部民謡に触れる原体験が島を離れても記憶の片隅残ってくれたら嬉しいなと思っています。
奄美の唄者である坪山豊さんの「音の記憶は里帰りする」という言葉を念頭に、試行錯誤しながら場を続け発信することで転換点がくると思っています。

【島の方々へ沖永良部民謡の価値共有】
島の方々へ沖永良部民謡の魅力や価値を共有できるように、プログラム受講後に今までの感覚の「土着知」だけでなく、文献や本なども読み「学知」も少しずつ学ぶようにしています。
昨年末には「おきのえらぶ民謡「聞いて」「学んで」知ってみよう!」イベントも開催しました。
唄者の大先輩にもご協力いただき、ウタアシビの話しなど昔話や演奏を通して、参加者の皆さんに沖永良部民謡に触れて頂きました。
良いフィードバックも頂けたので、年に数回続けて「プレイヤーではない方々」にも沖永良部民謡を知っていただく機会を設けたいと思っています。

教え子たちとの演奏風景

島の人間でない自分がこうした活動ができているのも、島の方々の理解や協力があってこそです。
たくさんの叱咤激励をいただき、感謝の気持ちとともに中途半端な気持ちではできないと、改めて気を引き締める思いです。

昨年秋に教室の発表会を行いましたが、こちらはできる限り毎年続けていこうと思っています。
数年に一度のスポットライトに照らされた大舞台ではなく、小さな手作りの発表会を毎年行い、近所の方や身近な方も気軽に来て「あれは誰々の孫だ」「上手になったなぁ」と、島の民謡をバックに温かな島の風景を作れるようになるのが自分の今の目標です。


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