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アーセナル戦に見るビルドアップの変化


先日こんなツイートをしたところ、皆さんに結構いいねいただきました。ありがとうございます。

かねてから申し上げておりますが、ユナイテッドの得点が他のBIG6に劣っている理由は 
「安定したビルドアップができていないから」
この一言に尽きると考えております。

テンハグ体制となって初シーズンの昨季は成熟の時間が必要だろうと黙っていましたが今シーズンもあまり変化がないのをもどかしく感じておりました。これについて私なりに考えてみましたので拙い文章ですがお付き合いください。

  1. テンハグ式のビルドアップとは

テンハグのビルドアップは狂気的だと思います。下図のとおり組み立ての人数は最低限に、残りの中盤より前はサポートにはあまり参加しないという形をとります。組み立てを最小限で実施する分、プレス回避成功時のリターンを大きくしたいのが狙いですかね。他のチームのビルドアップとは一線を画していると思います。

これまで(左サイドver)

アーセナル戦前までのユナイテッドは4バックとアンカーのカゼミロの5枚でビルドアップを実施していました。5枚対相手前線4枚の数的優位で局面打開しようとする狙いです。これがまあ全く機能しませんでした。

前へのパスコースを探しながら困るワンビサカ

ビルドアップは組織でボールを敵陣に運ぶことが目的ですから、必ずどこかのタイミングでパスを前に付ける必要があります。しかしながらアンカー以降の人数は相手6枚(4バック+2MF)に対しユナイテッドは5枚(MF2枚+前線3枚)と数的不利な状況です。

相手CFがもう片方のCBのパスコースを消しながら(数的不利局面を誤魔化しながら)プレスをかけられると前へのパスコースを失い、ヴァランやリンデロフの不用意な横パスからサイドに追い込まれボールを失う姿を親の顔よりよく見ました。

また前に出そうにも最寄りの楔を打つポイントがカゼミロ1枚であり(前は数的不利のため)、後ろの数的優位を全く活かせず、むざむざとボールをとられていました。 

中央に入るリコルイス

これの解決のためにシティはリコルイス、アーセナルはティンバーやジンチェンコがアンカーの横に入り楔を打てるポイントを2枚以上にするのですが、ワンビサカはもちろんルークショーも、あまりこの動きをおこなわず機能不全に陥っていました。


2.アーセナル戦で見せた対処法

俗にいう偽SB戦術がとれないユナイテッドはこれに対し力技で対応しました。  

「後ろの数的優位どうせ活かせないんだからもっとビルドアップの人数削ってよくね?」

まさに発想の転換です。これにはコペルニクスもびっくりしたことでしょう。

ファイヤーフォーメーション改

なんとビルドアップで効果的役割を果たせていなかったサイドバックを前に押し出しちゃいました。代わりに中盤から1枚(昨日ならエリクセン)を配置した4枚(CB2枚+中盤2枚)での組み立てを目指したのです。

リチャから楔のパスを受けるダロト

「え、でも後ろ4対4の同数でどうやってパス回すんですか?無理っすよ絶対!!」
去年までなら私もそう思ってました。しかしながら今年のユナイテッドには彼がいます。そうオナナです。

オナナとリチャでのプレス回避

オナナを積極的にビルドアップに参加させることによりGK1枚の数的優位を作りながら前線への配球を目指しました。また後ろの人数を削った分、前線の人数とパスコースは多くなりました。これを活かし、ユナイテッドは20メートル程度の楔のパスを多く打ち込み、敵陣侵入を試みていました。

アントニーが特にこのパス受けてた

ハーフライン付近で受けたボールはワンタッチで前向きの選手にはたくか、キープしてから戻して相手を押し込みます。前進するミドルパスを可能な限り低リスクで供給することに重きを置いた配置に見えました。テンハグはバックスと前線を「滑らかに」繋ぐのではなく、「強引に繋ぐ」手段を模索し、ここに至ったのではないかと思います(フレンキーが加入していたら話は別でしたが…)。

3.最後に
ここまで今シーズンのアーセナル前半の組み立てを私なりに解釈しました。好評だったらアーセナル戦後半編も書きたいと思います。とりとめのなく読みにくい文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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