見出し画像

しろいろの街の、その骨の体温の


村田沙耶香さん執筆、こちらも西加奈子さんのオススメ本とのことで読みました。


小学校から中学校にかけて、主人公・結佳が女の子の世界と中学校のカーストを克服する話。



いや、克服するなんて簡単な言葉では済ませられないのですが。



信じて疑わなかった自分の価値観と、それが全てだった自分の置かれた世界を壊して新しく創造していく様子がとても綺麗に描かれていました。


カーストなんて大人になってもどこにいってもあるもので、拒否したって勝手に所属されたりもするのに、



中学生でその選択や狭い世界を抜け出した結佳が羨ましく感じました。



私も結佳と同じで中学校からずっといかにその世界で透明でいられるか、気持ち悪いと言われずに過ごせるかだけを重要に生きてきたことを思い出して思わず苦笑しました。


そして結果、大人になっても自分の輪郭が掴めないまま今度は透明な自分に色をつけるために苦しんでいます。笑



伊吹(の祖母)が言っていたように、人間ってそれぞれの世界を生きていて、見たいように、考えているようにしかものごとを見られないから、



いくら伊吹が真っ白いあのニュータウンの美しさを結佳に伝えようとしても結佳の持つ彼女だけの世界にそれが届く事はない。


あのニュータウンは個人の価値観だな、と思った。
真っ白いが故にどうとでも捉えられて、色付けられる。そうにしか見えないと思ってしまったら最後、結佳のように自分で自分を苦しめてしまう。


でも人生ってニュータウンのように、真っ白で未完成だから本当はそこに生きている自分次第で、好きな方向に電車を延ばしたり施設を建てたり、人を呼んだりできるんだろう。


たとえ完成模型のように固定の幸せを提示されたとしても、本当にそうするかって自分で決められる。何より、それだけが完成のはずはない。


人の数だけ人生や価値観があり、正解も完成もない中で、私も自分を見失わずに人生をや1日1日を創造していこうと思った。



それから、何より大切なのはあの街のようにたくさんの人が生きている中で自分の考えや生きている世界(例えば職場とか)に縛られすぎずに柔軟にものごとを捉えることだと思う。



私には結佳のような奥底に燻る個性も息吹のような真っ直ぐさも今のところ見当たらないけれど、


いつか言語化できるくらいの自分だけの価値観を持てたらいいなと思う。



言葉にできないあの独特な小学校から中学生の息苦しさと、そこから解放され新たな世界を生きていく結佳の描写が本当に美しいのでよかったら読んでみてください。



それでは〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?