MV『お勉強しといてよ』について

音楽ユニット「ずっと真夜中でいいのに。」のMV『お勉強しといてよ』はもう見ただろうか。見ていないならばこの288秒に圧縮された音楽と映像の暴力をさっさと見てほしい。

「ずっと真夜中でいいのに。」とMV制作のはなぶし氏を知ったのは最近なので何を書いても俄語りになってしまうだろうが、とにかく私の頭は唐突に殴りつけられた。このMVはVHS世代を殴りに来ている。そう私は受け取った。勝手に。ちなみに映像と曲調ですっかりまいってしまったので歌詞の世界観とかは解釈できていないです。

MVのストーリーの題材としてブラウン管テレビとVHSビデオが登場しており、4:3の画面比やざらつき、ノイズ、色使いは懐かしい雰囲気を見事にかもし出している。垣間見られる劇中劇の作風も同様だ。しかし、それだけではない。あの頃、そういうものに触れてきた人間の熱。その残滓に働きかける力とでもいうべきか。

MVの主人公「にらちゃん」は脇役に留まることをよしとせず、さらに世界の壁を前に力強く走り続けた。「音楽とか漫画とかアニメとか、新しいものを追いかけるの疲れてきたか?そろそろ落ち着くべきか?」最近そんな風に思い始めていた私の中で懐かしさは追い風となり、力強さは起爆剤となった。感傷こそ力だったのだ。世の中まだまだ楽しいことばかりのようだ。