「ジョニー5」について

「ジョニー5」は映画『ショート・サーキット』及び続編の『ショート・サーキット2 がんばれ!ジョニー5』に登場するロボットだ。『ショート・サーキット』での呼称はナンバーファイブであり、ジョニー5と名乗るのは後からだが、この記事ではジョニー5で通す。

ジョニー5はノヴァ社が陸軍に売るために開発した戦闘用ロボットだ。上半身はシャープな先行者、下半身はガンタンクのようなキャタピラで強そうには見えないが、見た目も威力もプレデターのプラズマキャノンのようなレーザー砲を装備している。

ジョニー5は整備中に落雷を受けて故障し、さまよううちに研究所を抜け出してヒロインであるステファニーの家に辿りつく。ジョニー5は好奇心か、あるいは自己修復機能の一端なのか何にでも興味を持つ子供のようにとにかく「インプット」を要求し、家にある書物を全て読破し一晩中テレビを見て夜が明ける。

ここまでで充分「自我が芽生えた機械」の話が本格的に始まったようにも思えるが、最大の転機はこの後のバッタの場面だ。

ノヴァ社と連絡を取ったステファニーから戻り次第分解修理が行われる旨を伝えられた後、バッタを見つけたジョニー5は誤って踏みつぶしてしまう。バラバラになってもまた組立てればよいと言うジョニー5に対してステファニーは、バッタは死んでもう生き返らないことを教える。死、バラバラ、ディスアセンブル、分解。ジョニー5は死をインプットする。

ジョニー5は死の概念を自身に当てはめ、死の恐怖に錯乱し、自身を「アライブ」と定義する。鉄板の「自我のある機械が死の概念を学び、自らを犠牲にして生命を尊重するストーリー」に対して『ショート・サーキット』は「機械が死の概念を学び、自らを生命と定義することでエゴを確立し、自らを尊重するストーリー」なのだ。

序盤の名場面をほとんどそのまま書いてしまったが、続編まで全編通して楽しい映画なので興味を持った人がいれば是非見てほしい。『ショート・サーキット2 がんばれ!ジョニー5』でジョニー5はレーザー砲の代わりに工具箱を背負っていて、とてもいいことだと思った。