「破戒僧ドグマ」について

「破戒僧ドグマ」はRPG『ポポローグ』に登場するキャラクターだ。媒体によっては元僧侶とされていたり、作中で破戒僧という言葉が出てこなかったかもしれないが、どこかで見た記憶があるしかっこいいので破戒僧とする。

『ポポローグ』は主人公のピエトロ王子の冒険を描いた『ポポロクロイス物語』の続編だ。『物語』の仲間が固定メンバーであったのに対して『ローグ』では傭兵として加入するフラグを立てれば自由にパーティメンバーを入れ替えることができる。『ローグ』は『物語』と比較して自由度は高いが、全員分の台詞を用意するわけにはいかなかったようで、仲間キャラクターはストーリーイベントに深く関わることができず、加入イベント以上の掘り下げはほとんどなかったと思う。

ドグマは踊り子と酒が好きな破戒僧の老人だ。町で話しかけるだけで加入する魔法アタッカーなのだが、先に固定イベントで物理アタッカーの斧使いとヒーラーのカワイイなケモノ少女(CV.こおろぎさとみ)が加入済、主人公自体が物理と魔法の万能型である、魔法アタッカーならジジイより妖精かイケメン王子でしょ等の理由でパーティに入れたことがない人も多いだろう。

この記事でドグマを取り上げたのは、彼がシリーズでは珍しい闇属性を得意とする仲間キャラクターだからだ。前作のいい子で正義の主人公とその仲間達のパーティの属性イメージが炎、雷、風、聖だったのに対して、『ローグ』では多くの仲間達の選択の幅によって炎、氷、雷、風、地、聖、闇、呪と倍増した。特に氷と闇は前作では敵役「氷の魔王」の象徴だったため、自分で使えるのは新鮮に感じた。

ポポロクロイス物語の続編で闇属性担当の仲間を作る。もし自分ならどんなキャラクターを考えるだろうか。魔法特化なら魔女、物理魔法万能なら暗黒騎士、あるいはピエトロと対になるようなダウナーな少年か。そんな無難な発想を差し置いて出てきたのは、シリアスの欠片もないジジイであった。当初は「え?闇属性担当こいつだけなの?」と面食らったが、ややもすれば闇堕ちと隣り合わせの闇属性、使いこなすとすれば享楽的なジジイもまた最適解なのだろう。

レベルアップで闇属性魔法を習得するのは本編中ではドグマだけであり、属性最強魔法「ナッシング」に至っては専用魔法という扱いなので、もはや専用属性と言っても過言ではないだろう。ところで闇属性最強魔法がダークとかカオスとかじゃなくて「ナッシング」ってのがまたかっこいい。前作でも終盤のボス戦でいきなり「ノヴァ」とか「ジ・エンド」とか撃たれたときは興奮したものだ。ふとした設定やセンスでも魅せてくれるゲームであった。