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RRRにおける対比表現とその考察(妄想)

はじめに

 前作ではRRRの基礎知識というか知っておけばより楽しめるポイントについて紹介した。予想を遥かに超える反響をいただきとてもうれしかったが、同時に意外と知られていない部分も多かったんだなと実感した(私の妄想も多々あるけど)。今回は私がずっと温めてもはや塩漬けにしていたテーマ、RRRにおける対比表現についてご紹介する。大変お待たせいたしました…!はて対比とは。

 RRRはご存じの通りビーム役のタラクさん、ラーマ役のチャランさんというインドテルグ語映画界のスーパースターW主演の映画である。ラーマは炎、ビームは水、とわかりやすく対になるキャラ設定をしているが、他にもありとあらゆる対になるシーンや設定、つまり対比表現が散りばめられていることにお気づきだろうか。私は何度か観るうちに気づき、探し始めたらあれもこれもと出てきて驚いた。これは主役が二人だからとラージャマウリ監督があえて盛り込んだ設定としか思えない。あのニコニコおじさんマジですごいから…!リピート、リフレインとかいうかもしれないけど言いやすいからここでは対比といいますね。

 そして今作は私の調べたことや妄想だけではなく同じRRR沼に沈む狂人(褒めてる)の発見も大いに盛り込んでいる。もうお名前がわからない方も相当数おられるが、この場を借りてお礼申し上げます、狂人の皆さんありがとう。尊敬の念を込めて狂人先輩と呼ばせていただく(めちゃくちゃ褒めてる)。先輩たちのいろんな発見が見られるからTwitterはやめられない。Xとは言わない。

 対比表現はRRRのあちこちにあるので時系列順に紹介できなかったりします。紹介する順番はもう私の気分。そして今作でやり切ったので対比以外の書きたいことも全部ぶち込みました。特に後半の私の盛り上がりがひどい。超絶長い上に順番は前後するけど日和ってるやついねえよなあ!?でもこの沼の狂人の皆さんは脳内再生して余裕でついて来られると思う。ではGO!

FIRE(1万人ボコ)

 ラーマのエントリーシーン、実際には6千人!のエキストラとCGで群衆を2万人!に増やしているそうだが私は語呂がいいので1万人ボコと呼んでいる。いいよね?まさに一騎当千、いや一騎当万…!
 初見ではラーマの美しさに気付かずただこいつやばい怖いと思った。でもそれってチャランさんの類稀な演技力によってラーマのある種の狂気をきちんと受け止めてるわけで今思えば正しいリアクションだと思う。今は好きィィとしか思えない。あのすばらしいまつ毛(目)のアップでまつ毛の先がもう1回カールしようとしてるんだよマジかよ。そしてIMAXですらまつ毛の全貌は画面に収まっていなかった。まさにまつ毛5メートル。
 ここのテーマ曲がカッコよすぎるのでそれでは聞いてください。フィリップ上官で「Arrest that B」。Arrestは逮捕、Bは汚い言葉を略してB。

 金網ピョーンで群衆の中に一人降り立ったラーマはヤー兄さんを捕まえようと人混みを避け櫓(やぐら)に登る。

ラーマが一人で登った櫓
↔︎脱獄シーンで最強肩車で二人で登る櫓

 どうでしょう、これがRRRに散りばめられた対比の一つです。そしてこんなの軽いジャブです。対比ってなんだろうと思っていた方、お分かりいただけただろうか。

ラーマが大義のためシバく群衆
↔︎鞭打ちシーンでビームの歌に鼓舞され立ち上がる群衆

 これ、そうなんだよなぁ。ラーマだってやりたくて同胞をシバいてるわけじゃないんだよな。その証拠に1万人ボコでは殺してはいない。突いたり折ったり突き落としたりしてるけども。この撮影でケガした人はいなかったって記事読んだけどウソでしょ?笑。映画後半のラーマは英兵を躊躇なく殺っていくのでこの部分もある意味対比。
 鞭打ちシーンは何回もいうけどビーム役のタラクさんの神がかり演技で毎度泣いてしまうのだが、群衆が奮起したときのラーマの表情にも注目してほしい。抑えた演技ながらハッとしている。ものすごくハッとしていて15年間気がつかなかったことに気づいた表情をしている。RRRは演技合戦です。
 ラーマが考える大義のためにはシバくしかなかった群衆が、ビームの歌で一人一人が武器になった。同じ群衆のシーンだけどラーマにしたら180度世界が変わった瞬間で意義深い対比。どや。

 あと昇級式終わりの「解散!」の後画面左建物内に注目してほしい。一瞬だけど赤服将校(名前不明)に詰め寄るフィリップ上官の姿がある。ラーマが昇級できなかったことに恐らく抗議してるんだと思われます。フィリップ上官はFIREの命令遂行命懸けラーマを目の当たりにしてるからちゃんと評価してくれてるんだよね。好き。

FIREのラーマは裸で終わり
WATERのビームは裸で始まる

WATER(背毛)

ニザーム藩顧問に「その部族民が弓と矢で偉大なる大英帝国を転落させるとでも?」というエドワード
↔︎そうなる。

 これ、大好き。
 エドワードもテルグ語わかってるよね。小者だけどできる子。

隠れR@先輩

 オンレェエエエエーーー!!ビームのエントリーシーン、スーパースターのタラクさんが映画冒頭からパンイチで走るからインド人びっくりしたって記事を読んだけど、例えば石原裕次郎が映画冒頭パンイチで走りだしたと思えば、そりゃ驚きますよね。

ビームと虎の対決
↔︎猛獣アタックでとんでもない数の猛獣と飛び出すビーム

 虎1匹捕まえるのも命懸けだったのに猛獣アタックでは虎3匹に増えてるの笑った。てかヒョウ、オオカミ、シカ、クマとバラエティに富んでいて何回見てもそのすごさに笑っちゃう。追いかけっこ何回したのかな。WATERではヒゲ胸毛背毛最高という私の新しい癖を目覚めさせてくれた。ところでせなげって入れたらいい加減背毛って変換されてほしい。
 RRR初見のときいろんな動物出てきたのに象出てこなかったなと思ったら後にバーフバリにはめちゃくちゃ象が出てるのを知った。RRRはあえて虎が最上位だしタラクさんの愛称はヤングタイガー。最高。オンレェエエエエーーー!!
 インドの動物について興味ある方はこちら。非常によくまとまっている。

 ここでFIREとWATERのラーマとビームの最後の表情を思い出してほしい。

FIREで憤怒するラーマ
↔︎WATERで悲しみに暮れるビーム

 差別でイギリス人の名前しか呼ばれず今年も昇級できずに怒り狂ってサンドバッグ壊しちゃうラーマと、マッリの生死すらわからず悲しむビーム。これしっかり対比です、ペッダイヤ。
 何回も観てるとビームは語尾にペッダイヤ、ラーマは語尾にババイってめちゃくちゃ言うのがわかってくる。「なんとかなんとかだよねぇおじさん」っていつも言ってると思うと二人をよしよししたくなってくる。
 ビームに「マッリは生きてるのか?」と問われ答えられずうつむくペッダイヤ。ここ超絶美人だしIMAX限定でペッダイヤの見事な胸筋と乳首が拝めます。ペッダイヤは元羊飼い説に賛成。
 ビームの背毛や包帯に緑色がついているのでペッダイヤの薬草で傷を処置したことがわかる。

美人

少年レスキューシーンまで

 イスラム教徒ムスリムの格好をして街に向かうビーム(アクタル)。ムスリム一家の息子に扮し修理工として働くが、イギリス兵ロバートがやってきて難癖をつけアクタルを殴る。
 私昔バイク乗ってたのでロバート同様燃料コック開け忘れてエンジンかからない!って慌てたことあります。バイク乗りあるあるだと思う。だから難癖じゃなくて逆ギレですね。

ロバートがアクタルを殴る回数
↔︎猛獣アタックでビームがロバートを殴る回数が同じ

 この話はTwitterで見て感動しましたが、ロバートは蹴ったりするからイマイチ回数わからない。やりすぎだロバート。教えていただき8回と判明!ところでロバートが使う金属あれは何だろう。ロバートと一緒に来た笑うお姉さんは彼女という設定だそうです。
 猛獣アタックシーンでは逆にビームがロバートを鎖でぶちのめすのが爽快。ここ急に鹿が参戦してはしゃぐのでロバートには悪いがいつも笑ってしまう。鹿についてはその前のシーンでビームが胸の前でバッテンをすると向かってきた鹿が空気読んでいなくなるし、エッタラジェンダの歌詞に「月にいる鹿を踊らせよう」とあったので鹿はどうやら味方なんだと思う。インドの月にはウサギじゃなくて鹿がいるんだね。
 そして映画冒頭でスコット総督がエグい数の鹿獲ってきたのも意味がある気がする。不穏だし銃の名手だと表現。

右腕の白い糸くずに私はなりたい

ドスティシーン

ドスティ握手後に水に落ちる際ラーマは足から
↔︎アクタルは頭から

泳ぐアクタルの背景は炎
↔︎ラーマの背景は水

 ドスティは対比てんこ盛り!
 ところで少年を助けて水から上がったビームに少年の父親と思われる人が足を触ろうとひざまずこうとしてる。これはヒンドゥー教の相手に敬意を表す挨拶で右足を触るそうです。足の甲に触ろうとするけど止められて膝の辺り触ることも多いとのこと。

 下の写真は対比ではないんだけど、ラーマとビームの間に深い溝がある。こういう表現すごい。ビームはなんかしっかり食べてて大食漢を表現。ここ私まだ未確認なんですがビームニッコニコで兄貴のお話聞いてるらしいです。確認したいからIMAX復活してくれ(復活するたび見逃すから一生言う)。

 ラッチュの似顔絵にばかり目がいきがちだけどカラシ色シャツラーマが新鮮だからぜひ見てほしい。何色着てもステキ。

何ちゅう場所で会話するんだろう

左手で食べるアクタル
↔︎左手で食べる子ラーマの弟

 これ初見ではラーマの表情と「昔のことを思い出した」の意味がわからず、2R目で号泣必至シーン。ラーマ…!そりゃラーマはあんな顔になっちゃうし観てる私は号泣してる。ちなみに左手はイスラム教もヒンドゥー教も不浄の手とされてるから食べるとき使うのタブー。左手でお尻を拭くそう。お母さんに怒られるアクタルの横でくすくす笑う娘さんがかわいい。
 ラーマはアクタルに死んだ弟を重ねてた。この弟ってwikiではチンマって名前らしいけど本当??アクタルもチンマもかわいさレベルMAXなの切なすぎる。

ラーマとアクタルが並んで歩くシーンで
後ろに赤い車と青い車が向かい合う

 これも狂人先輩の発見で知ったときおお!と思った。私同様気づいてない人多いんじゃないかな。苦悩するビームが転がす燃えるタイヤの中に見えるラーマの後ろにも赤い車が見える。

綱引きのアクタル顎クイ
↔︎ナートゥ始まりドラムラーマの顎クイ

 顎クイて表現合ってるかわかんないけど伝われ。顎しゃくりかな。後に鞭打ちシーンでスコット総督の顎クイもあるけどあれは横顔だしちょっと違う気がする。ビムラマの「やれよ」的な顎クイが大好き。
 男の子チーム対女の子チームの綱引き対決、ほのぼのしてるけどビームの怪力を示す重要シーンでパワーはビームに軍配。ドスティシーンは二人の幸せな時間を見せると共に二人の特性を表しかつ二人の苦悩も見せるという演出が最高に秀逸。
 あと、街中のシーンで画面手前右手で壁殴るアクタルの奥にイライラしてカゴ蹴っ飛ばすラーマが見える。その蹴っ飛ばしたカゴが誰かに当たってる気もするがイライラーマは気にしない。ラーマは相当いらち(短気)だと思う。

いらちでもステキ

懸垂ラーマ
↔︎肩車スクワットアクタル

 ラーマが懸垂する数お指で数えてるアクタルがたまらなくかわいい。「やってみろよ」的なラーマに対してラーマ肩車スクワットしちゃうアクタル。これ初見ですげえと驚いたけどメイキング見たらタラクさんどうやらガチでやっててまた驚いた。できるか?普通(ソース行方不明)。マッスルインタビューての見たらタラクさんは脚のトレーニングが好きでチャランさんは胸と上腕二頭筋のトレーニングが好きらしい。役を地で行く奇跡起きてる。
 言わずもがな映画後半に監獄で懸垂するラーマと、肩車無双するビムラマが見られる。初見で叫びそうになったよね…。こんな見事な伏線回収あるか。てかこんなほのぼのシーン、誰が伏線だと思うか。RRRあっぱれ。

総督府を見つめるラーマ
↔︎総督府を見つめるアクタル(ビーム)

 これは2R目以降にラーマが武器を思って見つめてるのがわかるシーン。初見ではまだ絶対昇級したいマンだと思ってた。ビームはもちろんマッリを思って見つめている。背中の丸さのかわいらしさにキュンとなる。ラーマは着痩せするタイプ、ビームは着太りタイプという点も対比だと思う(たまたま)。

馬に乗るラーマ
↔︎バイクに乗るアクタル(ビーム)

 もうお馴染みになりすぎてこの二人の乗り物イメージ確定しちゃったけど、よく考えたら都会のダンディなラーマが馬で森の部族のビームがバイクって普通イメージ逆。そうしないのがRRRのカッコいいところ。てかビームって自分で森無知だっていうけどムスリムに扮するし何でも修理できるしポテンシャルが高い。賢い。
 監督が構想の段階で馬とバイクが並走するイメージを持ったそうで、ラーマ役のチャランさんは馬が好きでビーム役タラクさんは車が好きだそう。なんだか勝手に運命感じちゃう。私はドスティシーンで馬とバイクの並走が一番好きです。相当な速度が出てて地味にかなり難しいことをやってるし何より美しい。
 IMAXだと引きの絵のときビームのブレーキランプが見えます。GoogleでRRRって調べたら馬とバイク走るの一生やっててほしい。

ラーマが釘掴む店先のおじさん
↔︎虎捕獲後に「アクタル、どこにいた?」という店のおじさん
↔︎アクタルがロバートにビンタされて思わず自分の顔を押さえるおじさんが同じ

 これ対比でもなんでもないんですが最近教えてもらったので書いた。釘掴む店はアクタルの店じゃない全然別の店だと思ってた。アクタルの店だからおじさん何にもいわないんですね。15回以上観ても気づかないことがあるRRR恐るべし。

釘巻く前の舌ペロラーマ
↔︎「あの人の車が?」に「うん」ウインクで返すラーマ

 これも対比でもなんでもない。書きたいこと全部書くっていったでしょ笑。
 ドスティバイクで釘巻く直前にラーマがいたずらっぽくちょっとだけ舌出すのを舌ペロといってます。来るぞ来るぞと思っててやっと確認できるやつ。ケータイの配信では見えないかも。同様にベンチに座るラーマの「うん」ウインクもパンクジェニーに切り替わる直前なので構えが必要。
 もうここまで来るとラーマの魅力にドボンとはまっている。しかし村に許嫁がいるのにこのナンパテクニックどこで覚えたんだラーマ。大義のために手段を選ばなかったのかと少し想像してモヤる。ちなみにIMAXだとバイクから下ろしたビームの右足が見えます。だからなんだと思うかもしれないがそのビームの足や舌ペロを見るため私はIMAXに行く。あとこれは本当にIMAX限定だと思うけどラーマやジェニーの部屋等で時計の音がカチコチします。IMAXは音もいいので臨場感半端ない。

ここでビーム沼にドボン

ナートゥ・ナートゥ

ビームの方が仕立ての良いシャツを
着ているのをご存じか

ナートゥに出てくる女性陣
↔︎ナートゥに出てくる男性陣

 ふわっと書いたけどこの対比徹底してます(楽器隊除く)。アクタルを嘲笑うジェイクと男性陣。女性陣どんな顔してるかなと思って見ると全員気分悪い顔してます。本当に全員かなと思って見るけど、女性陣はもれなく気分悪い顔してて男性陣はもれなく嘲笑っている。本来なら別の表情の人もいるだろうに。これに気づいたときRRR内の対比って徹底してるんだと思った。
 そして転がるお盆を蹴り上げた上それを叩くラーマ。蹴ったお盆に追いつけるの地味に超人。歩き出すラーマに淑女の皆さんはうっとりしてるし紳士の皆さんは不愉快な顔をしている。ナートゥが始まれば淑女の皆さんはすぐにノリノリ。
 極め付けはジェニーが二人の手を引いて行くそこに都合よくあった丸い砂場。ラーマがジェイクにWいいねをした後、男性陣は左手に、女性陣は右手に踊りながら大移動を始めます。そしてビムラマの後ろには女性陣、ジェイクの後ろには男性陣という構図が見事に出来上がる。一人キョロキョロしてる男子おもろいが、女性陣VS男性陣の徹底が圧巻。その後疲れて続々倒れるけど絵画のように美しく大笑いしてなんとも楽しそうな女性陣と、土まみれになって悔しがるジェイクと男性陣。昔は女性の立場が低かったからこういう対比にしたのかな。ナートゥは誇りをかけたまさに戦い。当初アクタルとジェイクの対決だったと思ったがラーマがジェイクを煽りまくるの最高によろしい。いつかジェイクに勝ってほしいと願う。ジェイク密かにナートゥの練習してそう。
 そしてアクタルとラーマの一騎打ち…!ここのアクタル「やったるかんな」って顔でラーマは「かかってきなさい」って感じでたまらない。結果はジェニーのためにとラーマの仮病ならぬ仮ケガでアクタル勝利に終わるのだがラーマ倒れる直前のアクタルは本当にヘロヘロなの好き。体力はラーマに軍配。
 下記の動画でラージャマウリ監督自らナートゥシーンを解説しています。大変興味深い。自動翻訳→日本語で和訳出ます必見!私もあのジェニーの表情大好き。

撮影場所はウクライナの大統領府
この娘と絶対仲良くなれる自信ある

ラッチュと追いかけっこ1回目
↔︎ラッチュと追いかけっこ2回目

ラッチュと2回目の追いかけっこする前、手を振るラーマがラッチュの爪についたペンキに気づくシーンがあるけど、冒頭でラーマの肩に置くラッチュの手の爪のペンキて何回見てもわかりづらくないですか?IMAXでかろうじて見えるような程度。
 それに対して2回目の追いかけっこでスワルルおじさんが発見したラッチュはおでこに例のペンキがついてて「僕でーす」みたいにあからさまでおもしろすぎる。何その対比!そしてラーマにドンの名シーン。ここでアップになるラーマの目の表情が冷徹すぎて性癖にぶっ刺さるしラーマにドンて言葉の響き最高だなおいラーマにドン。
 どうでもいいけど1回目の追いかけっこの際に後ろに一瞬映るスワルルおじさんが足めっちゃ遅くて笑える。そのくせしれっと橋の上にいるし「蛇はどうたら」って火に油的なこと言うからラーマ橋震わすほど怒ったんかと思った(列車事故のせいです)。橋の下ではペッダイヤおじさんがペッダイヤ構文でビームにやっぱりちょっとイヤなこというの、これも対比。「ペッダイヤ構文」はぜひツイッターで見てみてネ。「ジャング構文」もあるヨ。

ペンダントを握るシータの手
↔︎ペンダントを握るラーマの手

 ビーム「トンギトンギナッケナケガーデー」の後の「ラッチュは?」で血まみれラッチュに画面切り替わるの秀逸。あと「トンギトンギナッケナケガーデー」の前のビームのシャツ左半分出てるのかわいいから見て。「トンギトンギナッケナケガーデー」は私が唯一話せるテルグ語だが一生使う機会なさそう(乞い願うことはない)。
 ラーマの拷問緩急あってやり慣れてるなと感じ警官ラーマの過去に思いを馳せる。ラッチュをシバきすぎたかペンダント(ブレスレット)外れる。ラーマも人の子、あのペンダントがなければ同胞をシバく気持ちが揺らぐんですね。
 初見でラーマの手華奢だなって絶対思う説。シータの中指のささくれ見たいわけじゃないのに必ず見ちゃう説。村人全員でシータに物申して全員で帰って行くの好き。この物申してる兄貴がマニ兄貴ですね。マニぃぃぃ。ラーマの男っぽい手が大好き。

 スワルルおじさんが「影を踏まれた蛇はどうたら」って言ってたけどその蛇(ラッチュ)に蛇でやられることになるラーマ。ラッチュに捕まった蛇がまさに「ワーッ!」て顔してるの大好き伝われ。一発逆転毒蛇アタックはよりによって後にビームアンナらゴーンドチームに解毒されてしまう気の毒なラッチュ。ラッチュ目線のスピンオフください。
 緊迫したシーンだけどここラーマのシャツの胸元が開いたり閉じたりしています。契り紐に気づくまで胸元ガバガバなのに蛇に噛まれて傷見るところでボタン割と閉じてその後また開いている。どうしてそうなるかわかんないけど「ラーマの胸元チャレンジ」と名付けよう。もっとくれ。
 放心したラーマの表情は、寿命を聞かされ大義(祖国解放)の遂行が事実上できなくなり重荷を下ろして少しだけホッとした表情にも見える。ラーマ…!そう思うとラーマの胸元ばかり見ている自分を恥じる。
 「ラッチュの縄どう見ても切れてないよね」って話あったけど、あれ完全に切っちゃうと自由になったラッチュに対して自分の身が逆に危なくなるから切り込み入れました程度なのかなと思ってました知らんけど。アーガイルの靴下かわいい。靴紐は基本の縦結び(ラーマの中の人チャランさんがマジでそうなの)。

拷問ラーマが最優秀お色気賞

毒にやられたラーマを抱き起こすビーム
↔︎鞭打ち刑の末倒れたビームを抱き起こすラーマ

 これ…ホント…(涙)。どなたかが写真上げてたけど角度とかほぼ一致でもう…もう…。ついでにほっぺグニグニに対してタプタプタプってさあ…。
 さらにいうとその状況。毒のラーマを助けるのはアクタルで親友のドスティ。それに対して鞭打ちのときその関係は180度違っていてビームを鞭打ちしたのが他でもないラーマな訳で…あぁ…(滝涙)。
 でも鞭打ちはラーマがやるしかないんです。他の英兵がやれば加減知らずに肉片飛び散ることになるから。他でもないラーマが加減しつつやるしかない。つまり総督が鞭打ちをラーマお前がやれと言わなかったとしてもラーマが立候補した可能性まである。考えた監督鬼畜。
 RRRはストーリーも秀逸ながらその見せ方の構図にも震えるシーン。

手前の牛はナンディンといい
シヴァ神の乗り物

天蓋越しのアクタルの「バイヤ」
↔︎天蓋から現れ素性を告白するビームの「アンナ」

 これもさぁ…。こんな秀逸な演出あります?このための天蓋つきお姫様ベッドだったのかと思っちゃう。ヒゲのまつ毛のお姫様。
 前作で書いたけどバイヤ(兄貴)呼びはイスラム教徒ムスリムの人たちなどの言葉。対してアンナ呼びはビームらゴーンド族が使う兄の呼び方でもう一族、家族てこと。天蓋から現れた瞬間の「アンナ」は低くて深くてタラクさんが明らかにアクタルからビームになってるから鳥肌立つ。ラーマの手を取るビームの目元には涙が光っている。
 そんなシリアスなシーンだけどラーマの胸元チャレンジ発生してます。アップ(まつ毛すご!)ではボタン閉じてるのに引きだと胸元ガバガバでなぜか左胸に白いガーゼが見えます。これ教えてもらったとき笑ったなぁ。なんのガーゼかご存じの方お知らせください。おっぱいガーゼの謎。
 出て行くビームを追うが倒れてしまうラーマ。これ明らかに逆方向に倒れ込むから間のシーンカットされていると思う。円盤の特典で絶対見せてよね。RRRには全て意味があると思いますたぶん。

ビームの胸元チャレンジはなし
(私調べ)

猛獣アタック

 猛獣アタックの始まりで木の上に待機するジャングとトラックの運転席で緊張するペッダイヤ、松明を差し込むムスリムのお父さん(親方)。親方がトラックにセッティングする部品あれ何だろうとずっと思っていたのですが、あれは猛獣の檻開閉レバーだと先輩方が教えてくれました。いわれるとあのレバーをペッダイヤが力いっぱい引いてますね…!にしてもレバー一つであの檻全部開くピタゴラ装置作れる親方すごい。先輩たちも何でもご存じですごい。
 すごいといえばジャングの耳。総督府の奥の扉は鋼鉄なのでトラック突破は無理と見て奥の扉が開く音が聞こえるのを待ったんですね。手前の扉は木製なので突撃。この後の鞭打ちシーンでは手前の応急扉が見られます。ジャングもペッダイヤも猛獣パニックの中どうやって逃げたのか気になる(特にぐるぐる巻きのジャング)。

えい
やっ!

ドスティシーンでビームが転がした燃えるタイヤ
↔︎猛獣アタックで燃える馬車で戻ってくるラーマ、そして車輪はビームに当たる

 ここ最近気づいたけど目からウロコの話。これはたぶんラーマ父ヴェンカタとの誓いによって非情になるラーマの姿を燃えるタイヤが象徴してるのではないかと考えます。
 ドスティ期にマッリが見つからずイライラしたアクタルが転がしたタイヤに火がつく。その奥にラッチュを探すラーマの姿。ラーマの執念みたいなものを象徴。対して、アクタルこそが探していた羊飼いだと知り、泣いちゃったけど亡き父との誓いを思い出し炎の馬車で警察官としてアクタルの前に戻るラーマ。馬車の車輪は燃え盛っている。大義遂行のため非情になるしかないラーマの使命感を炎で表現しているのではないかと思う。初見で炎の馬車見たとき脈絡ないと思ったけどこう考えるとなるほどすぎる。
 そして馬車にはちゃんと意味があって、バガヴァッド・ギーターに出てくる4頭の馬の馬車。バガヴァッド・ギーターとはインド叙事詩マハーバーラタの抜粋で神による詩。なお本編後半で独房に吊るされたラーマが総督に言い放つのもバガヴァッド・ギーターの一説。
 ここインド哲学的な話でにわかの私など到底まだまだ理解できていないからポイントだけ説明。4頭の馬は聴覚・視覚・味覚•嗅覚を表し馬車が触覚で全体で肉体と五感を表している。馬車は目指すゴール「自由」に向かう(ラーマの大義祖国解放)。で、ここが重要なんですが手綱は「心」を表しているそうで、警察官として戻ったラーマは手綱を手放すじゃないですか。これ大義のためにアクタルとのドスティを手放すという意味だと今書きながら気づいた。手綱離す手がそっとで所作が美しいとしか思ってなかったけどそう意味があったのかー!この辺りはたぶんインド人なら誰でもわかる表現だと思われるので、私が日本人で何も知らないのがこういうとき悔しい。
 壊れた馬車の燃える車輪がドーンとビームに当たる。これをもってラーマの大義表明(ビームも初見の観客もこの時点ではわからない)、ビームとの友情の終わりを指すようにも思う。
 燃える馬車はバーフバリにも出てきたのでただ単に監督が燃える馬車大好きってのもあり得る。それはそれで推せる。

アクタルの目を見ずに逮捕しようとするラーマ
↔︎鞭打ち当初ラーマの目を見ようとしないビーム

 もう…もう…(涙)。
 カギが下水溝に落ちたことでブチ切れるビーム。両雄激突となるがテクニックのラーマに対しパワーのビームに分があるか。パワーでは勝てないと悟り寝技に持ち込むラーマ。水と炎対決になるが観てる我々はどっちでもいいからもうやめて争わないでと思っている。

 虎とのガチンコ対決に勝利しドヤ顔のラーマだがいつのまにかビームは総督府の屋根の上へ。ここで虎対決挟んだのってビームもラーマも虎以上の戦闘能力で互角って見せるためかな。この後ビームのパルクールみたいな動きってタラクさんホントにやってるのかなすごい。

トドメの一撃に躊躇するラーマ
↔︎トドメの一撃まるで躊躇しないビーム

 ビームを止めるため攻撃しようとするが躊躇してしまうラーマ。このとき持ってる石がホイップクリームのやつみたいで笑ってしまう。その隙に反撃に転じまるで躊躇せずブスッといくビーム。ビームはキレたら止められないとわかりラーマも観客も唖然とする。あのブスッといくルアーみたいな武器は何なんだろう。ラーマ退場かと思いきや全然元気で走り出すので観客はまた唖然とする。さっき血吐いたよね?
 ブスッといかれたからかどうなのか契り紐はちぎれている。警官の制服に着替えても契り紐は外さなかったのかラーマ…!飛び出すビームに向かって紐を投げつけるラーマ、ビームの右手に紐が絡まる。ドスティ期に握手以上にしっかりとしたドスティ握手を交わしていた二人を繋ぐのは今やちぎれた契り紐1本なのが涙を誘う。ラーマは言葉通りの血涙を流す。クライマックスかと思いきやINTERRRVAL(休憩)と出てきて映画半分であることに観客はまた唖然とする。

少年レスキュー後のドスティ握手
↔︎ちぎれた契り紐一本で繋がる二人

この階段の幅がスクリーンの幅と
同じで唖然

INTERRRVAL:トーマスを探せ!

ロナルド
門番のトーマス

 インターバルでひと休み、というわけで対比関係ない話。RRR何回も見てるとモブを認識し始め、同じ人が何回も出てくると気づいた。特筆するとマッリ母のロキ殴るヒゲのロナルドと、総督邸前で車に乗るジェニーとガラス越しに挨拶するヒゲなししゃくれ警官トーマスは中の人同じ人で一人二役ということが教えてもらってわかりました。以下羅列します。

・マッリの歌の最中マッリが母ロキを手招きする際後方中央左でニッコニコの兵士(ヒゲなしだからトーマスかも、遠目なのでたぶん)
・ロキをぶん殴るヒゲ(ロナルド、IMAXだと名札ハッキリ見える)
・ジャングをしばくしゃくれ(トーマス、以下トーマス)
・釘撒き前に車で出てきたジェニーが挨拶する後ろ姿のトーマス(たぶん)
・市場にジェニー迎えに来るトーマス
・総督邸前でジェニーの車のガラス越しに挨拶するトーマス
・鞭打ちだよみんな集合って馬に乗る通訳さんの前の馬に乗るトーマス
・最後の森で特殊部隊の一員トーマス
・銃を構えたのにグルグルの炎の中の神ラーマに射抜かれるトーマス

 神ラーマに射抜かれて死ねるって私なら本望。トーマスがちょっとうらやましい。

特殊部隊のトーマス

子ラーマ時代

奥で涙するマニ兄貴

 インターバル明け、ビーム逮捕の功績を讃えられたラーマが昇級しついに赤ラーマが爆誕。ラーマに4つ目の勲章をつけるのはたぶんエドワード。銃の並ぶ総督府にようやく足を踏み入れたラーマの目には光るものが。そりゃ泣くよ。ラーマを待っていたのはフィリップ上官で銃を手渡すのもフィリップ。この役割フィリップ上官が立候補してたら熱いなと思った。
 そしてラーマの過去が明らかに。

イギリス兵が言う「ヴェンカタ・ラーマ・ラージュ、ロンギッポー!」
↔︎猛獣アタックでラーマがビームに言う「ロンギッポー、アクタル」

 これってさあ…(涙)。ラーマがビームにロンギッポーっていうとき、村のあの日のことを思い出しただろうか。ビームの目を見られない気持ちが痛いほどわかる。どうして他でもない自分がよりによってビームにロンギッポー(降伏しろ)と言わなければならないのか。
 回想シーンで「お前が立派な武器だ」とラーマを抱きしめるラーマ父ヴェンカタ。ここシータがニッコリするのが本当に癒し。この後は救いがない。涙なしでは観られないし考えた監督本当に鬼だなと思う。ラーマよく死なずに、立派に大人になったな。
 ヴェンカタとラーマで、殺った英兵は必ず殺っているのが救いというか、この映画の教えなのかもしれない。目には目を。にしても子ラーマシーン、史実はもっと悲惨だったのだろう。

 ラーマとシータのお手紙シーンで、 IMAXだとラーマ像の前に座るラーマの裸足の左足が見える。ちなみにこの像は最後の森でビームが弓とか拝借するイケメンラーマ像です。ラーマはブーツ脱いだんだね萌える。ただ神殿には靴を脱いで裸足で上がるのが礼儀なんだそうです。ラーマ解毒の際のお祈りビームも裸足だった。シータが読むお手紙の封筒には赤と青のスタンプあり。

 「鞭打ちするよ全員集合」って号令かけるシーンの最後、一番右のベストの男性がオードリーの春日にそっくり。これ聞いて見つけたとき笑った激似です。鞭打ちシーンでの春日どこかに見つけたらどなたか教えてほしい。

鞭打ちシーン(コムラム・ビームド)

かわいそうなラーマ

丸いバックミラーに映るラーマ
↔︎護送車の円窓越しの繋がれたビーム

 ラーマのアップ、手入れされてない無精髭、涙目な上目が真っ赤で恐らく寝てないだろうことがわかる。深く息をついたとき覚悟を決めたのだろう。
 ラーマが処罰についてビームへテルグ語で話し、それをヒンディー語通訳が観衆へ訳す。ここは首都デリーなので主な言語はヒンディー語、つまりこの後のビームの歌のテルグ語の歌詞は観衆たちにほぼ伝わっていない。それなのに観衆を武器に変えるビームの歌、改めてエモすぎる。
 顔を背けるジェニーがもう涙を流してることに最近気づいた。ジェニー、ビーム、ラーマが揃うのはナートゥ以来で状況は天と地の差がある。そりゃ泣くよ。
 コムラム・ビームドの風については前作で書いた通り。顔を上げラーマを凝視するビーム、涙なのか汗なのか目元からこぼれる。ラーマも顔に飛んだ血と共に涙を拭う。RRRに出てくる人はよく泣く。がRRRを観てる我々が一番泣いている。
 鎖を引いて促しても足を踏んでもビームはひざまずかない。ビームは酷い目にあっているがここはラーマがとてもかわいそうなシーンだ。ビームは誇りを取り戻しラーマは15年間胸に秘めてきた大義が大きく揺らぐ。映画史に残る名シーンだと思う。RRRはそういうシーンが多すぎ。

赤ラーマのアクスタをください

 夜の処刑場へ戻るラーマ。このとき上はTシャツだが足元はブーツのままでなぜか私が歓喜した。手のアップの深爪大好き。
 「望むところだ」でラーマの覚悟を知ったスワルルおじさん、その胸中たるや。あの日以来我が子のように見守ってきたラーマが初めての友ビームのため命を賭そうとしている…おじさん目線のスピンオフもください。

風で毛量の多さを改めて実感

ドスティシーンで有刺鉄線を間に両サイドを歩くビムラマ、視線は別々の方角
↔︎暴動後に有刺鉄線が画面右端に追いやられビームと同じ方向に歩いていくラーマ

 この対比ちょっと説明が難しいのだけど、ドスティシーンでは二人の間に円柱型の有刺鉄線があり二人の溝を表しています。背中越しのカットは左がビーム、右ラーマ。視線も別々の方向を見ている。ただ暴動後の処刑場の最後のカット、有刺鉄線は右の端の方に追いやられ、つまり有刺鉄線の左側、ビームと同じ進路方向に歩いていくラーマの姿が…!マッリを返しビームを逃すと決めたラーマの覚悟がこの演出でも表れている。これ気づいた狂人先輩もマウリ監督も天才でもう怖い。ここ実は総督邸の位置とか考えると逆になっちゃうのでそこは割愛します。

 ビームの独房前のシーン。吊るされたビームが痛々しい。ここのラーマ、ヒゲは無精髭だけど明らかに散髪したてでちょっと笑う。スコット総督相手だがビームにもわかるようテルグ語で話すラーマ、通訳なしで理解する総督。総督テルグ語わかるの只者じゃない。マッリの目の前で吊るすと聞いたビームは唸る。捕えられている間のビームは歌以外話さず唸るだけというのを知って泣けた。ラーマの案に喜ぶ総督、対してまんまと策にはめたのに軽蔑の色を浮かべるラーマ。わかるよ。

 武器庫で銃に細工するラーマ。これ何してるんだろうとずっと気になっていて、先日ついに先輩に教えていただいたました!これ「撃針」という雷管を叩く部分を折っているんだそうです。撃針が雷管を叩くことで発火&発射する仕組みですが撃針がないと発射できないんですね。そしてその後「エキストラクター」という部分を外しているという情報が入ってきました。エキストラクターは空になった薬莢を取り出す装置。先輩達すごすぎて私もう説明できないからみんなwikiとかで見て。みんな銃博士ですごすぎる(拍手)。

 ビームの護送シーン。ビームの胸の数字567を見てコロナを思い出してしまう。短パンのスワルルおじさん奮闘、おじさんの頬に光るのは汗か涙か。やっぱりおじさん目線のスピンオフほしい。カミソリよくビームの手に渡ったよな…おじさんグッジョブおじさんありがとう短パンよく似合ってたよ…!

ヴェンカテスワルルおじさん

ヤムナー川

 早朝。ラーマを労い握手を求める総督。違和感か手を見つめる総督。その手についた茶色いの、私はこの後出てくるヤシの木の仕掛け作ったときの泥かなと思ってましたがどうやら先ほどの銃細工したときのガンオイル(銃の表面保護のため塗るオイル)とのことです。もしかしたらどっちもか。いずれにせよそれでラーマに疑念を持つ総督只者じゃない。

ヤムナー川はインド北部を流れる
中域にはゴーダーヴァリ川も

 ヤシの木の仕掛けにも気づく総督。これ配信で止めて見てもロープ1本かかってるだけの仕掛けで全然よくわかんないのにこれに一発で気づく総督はやっぱり只者じゃない。その後車にヤシの木直撃でピョーンと飛んでるのに銃を構えて命中させるの敵ながらあっぱれでカッコ良すぎる。車もカッコいいし銃もカッコいい。総督大好き。あとバーフバリをご存じならヤシの木でニヤっとするところ。観てない人は即観ろ「バーフバリ ヤシの木ジャンプ」。

 銃撃を受け車が横転しラーマは何と木に刺さる。木に刺さる…?監督はどこまでラーマをいじめるんだろうか。この刺さる瞬間、映画館で初見と思われる方が両手上げてビクッとなってるの見られて大変よかった。私も初見そうなったよ。
 赤ラーマは血を吐きながらも追っ手を排除していく。白いインナー着てるの、後の脱獄シーンのTシャツなんだろうな。ブーツラーマの太ももで絞められて私も昇天したいという新しい欲が生まれる。
 川岸でついに対峙する二人。しかし背後に直した銃でビームを狙う英兵。直すな。ここラーマが叫べばいいのにと思ったけれど血吐いたりしてて声出ない設定なんですね。なんでマッリが伏せたの、とかビームの人間離れした跳躍力とかは気にしなくてよし。ビームがぼっこでラーマをフルスイング。ぼっこがよく出てくる映画ですね。

ラーマに棒でトドメを刺すのを躊躇するビーム
↔︎猛獣アタックで躊躇せずにラーマの胸にブスッといくビーム

 猛獣アタックの際のビームは一切迷わずブスッといったが、今回のビームは違った。ラーマのあの目を見てしまったからだろう。穏やかで底知れない瞳。もう命をビームに預けている。それがわかったからビームの胸にはきっとドスティ期のあれこれが浮かんだのだろう。ビームの正体を知った壁殴りラーマが走馬灯のように思い出し、小さな声で思わず「アクタル」とつぶやいたように。
 ここビームの目にみるみる涙が浮かんで棒を刺すと同時にパタパタッと落ちている。これを書きながら私も落涙してる。
 ラーマがビームの手で退場させられるのかと初見では心拍数が一番上がったシーンかもしれない。いやこの先心拍数はまだまだ上がるね。

 川を目指して逃げていくビームとマッリ。このカットの中心奥の方に白いタマネギ型の宮殿が見えるがこれどうやらタージマハルです。タージマハルはヤムナー川沿いに建っているらしいので。先日のIMAXで初めて気づいたIMAXありがとう。インドに行きたいとは正直まだ思わないけどタージマハルは死ぬまでに一度見てみたい(強欲)。タージマハルはビームたちが潜伏していたアグラにあるそうです。

よーく見てみて

ラーマが捕らえられビームが潜伏していた期間
↔︎ドスティ期間

 これはあくまで私の推測ですが、ここまで対比を徹底しているRRRだとこの部分も対比させるのではないかと思いまして。前作で書きましたがドスティ期は約半年と判明。そして未だ沼の民の間でも結論が出ないビームの逃亡期間ですが、これも約半年間ではないかと思うのです。というのも、総督がエドワードに「It's been months? Edward.」と複数形で話しかけているので数ヶ月で間違いないということと、囚われのラーマの髪の伸び具合が半年と考えると妥当と思えること。そしてここ重要なんですけど、ドスティ期の約半年を二人の蜜月とするなら、二人が心も身体も遠く離れている状態のビーム潜伏期間も同じく半年と監督は設定するのではないかと考えましたがどうでしょうか。ビームがマッリらを連れて半年も潜伏する必要性があるのか、また総督がラーマを半年間放置する必要性についてはこの際置いておきます(自信はないから敬語)。

 飢えで鎖を口にしているはずのラーマが力強く懸垂をしている。ここでかかるのは「Ram The Volcano」て曲。ビームだけじゃなくラーマも火山だったんだね。ちなみに映画冒頭の監督の名前が出てくるイントロと似てるけどそれは「Spirit of RRR」て曲でした。RRRの魂。

向かって右脇もいいけど左上腕二頭筋

 囚われのラーマが総督に言い放つのがバガヴァッド・ギーターの一説。

''責務とは行為にある''
''その結果にあらず''
''行為の結果を動機とせず''
''結果に執着するな''
"私は結果を求めない''
''飢えた我が血の最後の一滴まで''
''責務に向かって突き進むのみ''
ロード、エイム、シュート!!

 好きすぎて書き出した。結果至上主義の昨今でこの言葉響くなぁ。結果に囚われず無心で努力せよということですねきっと。独房で圧倒的に不利な状況でこれ言い放つラーマカッコ良すぎてしびれる。対する総督も意味わかってぐぬうって顔してラーマ痛めつける。ラッチュのときといい、拘束した者を痛めつけるとき足は基本なのだろうか。
 外のより狭い独房に移されるラーマ。この独房は死刑執行待ちの者が入る独房なのだろうか。横になることもできない劣悪な状況でもラーマは懸垂をしようとする。外の独房の蓋は木製というのを見せてくれてますね。逆に破壊できる蓋の房に移してくれて総督ありがとう。

シータとの遭遇、回想

シータの勇気がラーマを勝利に導く
↔︎まさにそれ

 シータって賢いよな…子どものときから聡明だよな。シータの機転によりビーム一行助かる。シータが名乗ったときビームすぐ気づかないんだ、って思ったけどたぶんシータって名前ありふれた名前なんだと思う。シータがいう「人助けをしろというのが許嫁の口癖で」「子を飢えさせたら食べ物が気を悪くする」って大好き。シータ構文もできそう。

 シータの「解放闘争を」のドヤ顔から回想シーンの続きへ。地獄のさらに地獄の続きへ。
 戻る英兵、残り一発の銃弾。父ヴェンカタは子ラーマに「火の粉が上がろうと目的遂行のため突き進め」「何があろうと目的を見失うな」と言い残す。銃を構える子ラーマ、このとき顔に涙の跡がはっきり残っているけどもう泣いてないんだよなあ。この涙の跡見るたびに私が泣く。子どもにこんな思いさせたら絶対いかんよな…ああラーマ…。

 シータの話で真実を知り涙を流して悔やむビーム。それを見たシータもまたラーマの親友こそがビームであることを知る。ラーマ王子&シータ姫像の前で、シータにラーマを取り戻すと誓うビーム。ここまんま神猿ハヌマーンで熱い。力強く歩き出すビーム、その後ろに集まるビームの仲間たちの絵面なんでかちょっとおもろい(伝われ)。

脱獄シーン

 場面切り替わりもう監獄に潜入しているビーム。一瞬ジェニーが写り監獄の設計図見せてもらったことがわかる。ここジェニーといつ?とかどうやって?とか言葉は??とかめちゃくちゃ疑問が浮かぶが次の展開緊迫するのですぐ全て忘れる。これがマウリマジック…!もし完全版あったらここの詳細見せてくれるだろうと願う。ジェニーってたぶん全体的にもうちょっと出番あると思うな。

監獄でのドスティ合図ドッドドドンドン
↔︎倒れた毒ラーマのビームへの合図
↔︎ナートゥ始まりのラーマのドラム

 ここであのリズム出てくると誰が思いますか皆さん(興奮)。音楽といいエモさの極みで涙吹き出しちゃうシーンなんですが地面叩くビームがすでに泣いてるのが余計我々の涙を誘う。ここでラーマがいる独房は、監獄ラーマに会いにきた総督のシーンの最初で囚人が引きずり出されてた真ん中あたりのあの独房だそうなので見てる我々があの辺あの辺!とビームに知らせたくなるドリフ仕様になっている。いや「志村ー!」みたいに言ってはいけないほど胸熱シーンだ。合図に気づくラーマの目にも涙が光る。そしてここのリズムは正確にいうと「ドッド ドドン ドン」だそうですので覚えるように。ここテストに出ます。
 ここでビームがするほふく前進は回想子ラーマ時代のほふく前進とリンクしてるのかな。ビームがラーマの抱える大義に一歩一歩近づくようにも思う。
 そしてついに出会う二人…!泣きじゃくるビームに対し優しく微笑むラーマ。この笑顔マジで神かと思う、兄貴一生ついていきます。「ビム?ビ、ビーム?」も好きだが「シ、シシシシータ?」も大好きです!
 ビーム、シータの片割れペンダントをラーマのと合わせる。ペンダントがアップになるたびこんな形だったっけ…?と疑念が湧くがまたすぐ忘れるマウリマジック。ビームの「行くぞ」にうなずくラーマの目には光が宿っている。
 おりゃー!と独房の蓋引っこ抜くビーム。これちゃんと木ですからね。木の蓋房に移してくれるしペンダントも没収しないでおいてくれた総督ありがとう。

最強肩車
↔︎ドスティ肩車

 肩車でアクションて。思いつく監督は天才だしそれを実際にやってのけたお二人も天才。メイキングみたら二人とも吊られてはいたけどそれでもあの動きするの相当な負荷かかると思う。ドスティ肩車のビームにいやいやいやって笑っちゃったけど、極狭な独房でも懸垂するラーマにそこまで、と胸が熱くなったけど、すべては最強肩車につながっていたわけで、初見で叫んじゃうかと思った。しかも二人は一心同体だからここから無双が始まる。最初のラーマの「ウッ」が痛いんだなと思えてリアルさが増す。曲は「Together We Rock」。「Dosti」の胸熱バージョンとでもいおうか。
 ここからのシーン胸熱にならない人っているんだろうか。ビームのズザザザザーッとかラーマの仰向け2丁小銃とかビームのノールックWリロードとかさあ…!文章は陳腐で伝わらない。マジで全人類見ろ。そしてこのシーンから見ても全然何も伝わらないからRRRは最初から映画館で観ろ。最初から全部伏線。

 最初に書いたけど二人で櫓に登るのも対比。一人きりで戦ってきたラーマだけどもう一人じゃない、ビームがいる。大車輪キックに目を奪われるがここで夜空に注目してほしい。

櫓(やぐら)に登った先は満点の星空
↔︎毒ラーマや猛獣アタック、鞭打ち後は星のない空

 これ気づいた方天才。「Akhtarアクタル」という名前はペルシャ語で「星」という意味だそうで涙出る。さらにいうと「幸運」「フレンドリーな」「明るい」と言った意味もあるそうでアクタル…!!。脱獄シーンだけが満点の星で本当に美しい。希望に満ちてるみたいに。

山火事と洪水の友情
成分律と不文律の友情
炎と氷河の抱擁
それが彼らの友情
ヘイ!✖️16

 また好きすぎて書き出した。ヘイ!は応援上映でみんなで叫ぶのが大好きです。16回て書いたけどここ一生叫んでいたい。

 総督に状況を聞かれたエドワードが「到着時には逃亡を」としれっとウソつくのがめちゃくちゃ親近感沸いた。ビムラマが大胆に逃亡するのを口開けて見ていたくせに小者感たまらない。

ビームが考えた神ラーマコーデ
↔︎ナートゥでラーマが用意したアクタルコーデ

 ビームがラーマをお姫様抱っこするのに悶えだ後に来るこの対比は後々気づいて震えたやつ。弱るラーマをビームは薬草で介抱しラーマ像の元にあった旗などを拝借してコーディネートする。あれだけの布があれば本当にズボンができるそうです。ナートゥではラーマにコーディネートされてダンスパーティへ繰り出したビームが今度は逆にラーマをコーディネート…!お互いに考えうる最高のコーディネートしているのが泣ける。ちなみにビームがつけたラーマのおでこの印は「ティーカ(Tika)」と呼ばれるもので宗教的な意味合いのある神聖な印だそうです。村を旅立つラーマにシータもつけてましたね。祝福の意味があるとのこと。

神ラーマの後光
↔︎ビームエントリーシーンの後光
↔︎ダイナマイトヴェンカタの後光

 ラーマの第6形態神ラーマの後光…!照らしてくれたエドワードマジでありがとう…!ビームと同じくキラキラの目で見ちゃうし自然と拝んでしまう。本気で私の神。ところでラーマの形態は①警官ラーマ②兄貴ラーマ③赤ラーマ④村旅立ち垢抜けないラーマ⑤囚人ラーマ⑥神ラーマだと勝手に思ってるが合ってるだろうか。アクスタ出れば全部買う。
 RRRは逆光を効果的に使う映画だけど逆光むしろ後光といえるほど印象的なのはこの3つだと思う。ビームはエントリーシーンで最初から後光。ラーマパパのヴェンカタは密かにダイナマイトを装着し投降すると見せかけて立ち上がった際の後光。ラーマは神ラーマ降臨の後光。それぞれが真の英雄になったときに当たる光のようで大変エモい。ビームは最初から神のような存在でラーマは最後に神になるのも対比。

 ここからは無双。映像見ろ。ビームが妖怪みたいに沼からスローで出てくるのも最高に上がる。見たいところ全部スローで「こういうの観たかったんだろ?」てな風にがっつり見せてくれるのがRRRが最高な理由。

観客全員ビームと同じ顔で
神ラーマ見てる

煙の中から現れるビムラマ
↔︎ドスティシーンで機関車の蒸気に消えるビムラマ

 この対比について知ったとき震えた。思い出してほしいのだがドスティで蒸気機関車の両サイド走るビムラマのシーンありましたよね?蒸気機関というのはイギリスの産業革命における一番の発明であるため二人の間には大英帝国が立ちはだかっておりその蒸気で二人の姿が見えなくなる、つまり二人の関係が見えなくなる=友情が引き裂かれることを暗示していたんですね。二人の大義成就(ビームはマッリ奪還、ラーマは祖国解放)に暗雲立ち込める、という意味もあるかもしれない。
 そしてこの森のシーンですよ。それまで英兵と別々に戦っていたビムラマが一瞬の静寂のあと煙の中から二人同時に現れる!二人一緒に!同じ方向向いて!二人は一心同体で妨げるものはもう何もない。蒸気と煙、二人がジャンプしてること、場所が森という点もリンクしている。これすごすぎませんか…?気づく先輩は天才だ。
 蒸気については監督インタビューで「火と水を使えば蒸気になり何倍も力を発揮する」ということをいっていたからもしかしたら蒸気つながりで神ビーム神ラーマに変身したっていう演出なのかもしれない。もうなんだかわかんないけどここ二人が死ぬほどカッコいいからとにかく見て。

 ここからとにかく無双。応援上映だと最高潮のところ。ビームには銃もバイクも鈍器。ここでエドワードが小ちゃい銃でラーマを撃つ。ラーマ瞬間めっちゃ痛がる。ビームはエドワードを許さない。さようならエドワード、けっこう好きだったよ…。ビームは愛する者を傷つけられたら絶対に許さないんだなあ。ふとヤムナー川でラーマにトドメを刺さなかったビームを思い出して目頭が熱くなる。傷、実は全然平気そうなラーマ。
 完璧なタイミングで向こうからやってくるバイクに乗るビーム。一瞬ドスティの二人乗り再来か?と思ったけどまた都合よくやってきた馬に飛び乗るラーマ。ここ我々同様ビームもびっくりした顔してるから見て。確かに二人乗りより馬とバイクの方がカッコいいからね。そして神ラーマにはバイクじゃなくて馬が似合うよね。もう跳躍力が人間離れしてる。神。ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!

銃弾の価値
↔︎大砲装填

 あれだけ十何年も銃弾の価値の話してた総督がビムラマを大砲で狙う。皮肉というかなんというか。しかし大砲は当たらず、ラーマはビームにレスキューシーン以来のジェスチャーで指示を出し燃えるバイクを総督府にぶっ込む。ビームのジェスチャー理解力高すぎてまた驚く。
 ラーマは総督府の内部を熟知していたと思うから大爆発起こるのわかってたんだと思う。ビームは知らないからびっくりしてほっぺピクピクしてる。たぶんですがラーマは銃を村に持って帰るのもう諦めてたんじゃないかな。一瞬のカットで総督府に走り込む小さいビムラマの姿見えるが、ビームは銃を取りに、ラーマは総督の元に向かう、獅子を仕留めに。
 キャサリンの変わり果てた姿を見て総督が「No!(なぜだ!)」と叫ぶが見ている我々もなんでそうなった?と思うシーン。因果応報の監督の教えがここにも。手にはマッリのヘナタトゥー。ヘナタトゥーって1〜3週間で消えるものらしいので、マッリのヘナタトゥーよっぽどお気に入りだったんだろうな。あれ?マッリ逃げた後誰が描いたんだろう。

ビームが銃持ってきたときラーマが立っている場所
↔︎ラーマがキャサリンに「生死は問いますか」と聞いたときの場所が同じ

 これ聞いたときうおおおー!と思った。確かにアーチ状の大きい窓とその両サイドにかかる写真があるのが同じ。右手にはイギリス国旗柄の世界地図があるのも同じ。ボロボロの総督の後ろのイギリス国旗地図もボロボロになっている。「生死は問いますか」から始まったラーマのビームチェイスは紆余曲折を経て無二の親友となり、ラーマの秘めた大義はビームと共有するものになった。

 銃を手にして涙ぐむラーマ。この表情からも銃を手に入れるの予想外だったように思える。ここ本当ヒゲの美少女。手を取り見つめあうビムラマ。そこへ銃口の先へヨロヨロとやってくる総督。矢を射ると銃弾をこっちに投げてくれる総督。最後までお気遣いありがとう総督…!(違う)

ヴェンカタからラーマへ託された大義
↔︎ラーマからビームへ伝わった大義

 「返してやれビーム」で、ラーマは父ヴェンカタから託された祖国解放という大義をここでしっかりとビームに伝えたように私は思いました。それを理解したからなのか少し笑ったようにも見えるビーム。兄貴の大義ここではつまり総督排除を自分に託されてうれしかったのでしょうか。その後のカットでほっぺピクピクしちゃうのは武者震いみたいなもんでほっぺ震いかと思うのですがどうかなぁ。
 何度も聞かされた銃弾の価値の話、ここで当の本人(総督)に説くの拍手。ここビームが撃つんだ、ビームって銃は鈍器だからちゃんと撃てるの?て心配したけどビームはできる子大丈夫だった。これまで死にそうで死なないビムラマを散々観てきたからまだどんでん返しあるかと思ったら総督とはここでお別れでした。
 総督の中の方、レイ・スティーヴンソンさんの突然の訃報は今年5月だった。とても悲しかった。あなたが総督だったからRRRは最高でした。大好きです。ご冥福をお祈りします。

合流地点のお花畑の見晴らしの良さ

 これ何のお花でしょうかね。
 これは何と対比というかこれまでのシーン全部と対比しているといえる。例えば前作でも書いたけど、レスキューシーンのドスティ握手のときは橋の下で蒸気機関車(大英帝国)の下だった。そういった遮るものもが何もない、このお花畑だけとにかく見晴らしがいい。空も高い青空。これはインドのこれからの未来を暗示しているんだと思う。先ほど総督府がめちゃくちゃに爆発して天井がなくなったところから繋がる。未来は明るいしまっさらで白紙だということ。

 白い旗にラーマが書いたのは「水と森と大地を」。これはビームのモデルでインドの活動家コムラム・ビームが実際に掲げていたスローガンだそうです。マウリ監督はコムラム・ビームと同じく活動家ラーマ・ラージュがもしも出会っていたらというIF設定でRRRを作ったのだけど、ビームのスローガンは実はラーマが作った、というのもIF設定で尊い。実在のコムラム・ビームは読み書きができたそうなのでそれもラーマ・ラージュが教えたというIF設定なんですね。ラージャマウリスタンプがバチンと押され本編は終了する。

【追記】ビームとラーマの立ち位置・目線

基本の立ち位置 左ビーム右ラーマ

 これ後で気づいて震えて追記してます。うまく書けるといいのだが。
 ビームとラーマの立ち位置ですが、基本ビームが左、ラーマが右にいるのに皆さんお気付きだろうか。かの有名な少年レスキューシーンもそうだしナートゥもそう。立ち位置て言い方あれだけども。基本ね。
 立ち位置についてそういう訳でふと、それにも意味があるのではないかと私は仮定をした。まずFIREのラーマエントリーのラーマは群衆の中へ画面向かって右へ飛び込んでいく。対してWATERのビームは虎に追われ主に画面左へ走っていく。私の仮定は「ラーマが抱く『祖国解放』のベクトルは右、ビームが抱く『マッリ奪還』のベクトルは左に向いているのではないか」ということ。
 この仮定で見ていくと、ラーマが羊飼いを探すときは常に向かって右を見ていて、ビームがマッリを思う時は基本左を向いていることがわかる。例えばナートゥ会場でラーマは右をギロギロ見るし、ドスティの曲中ビームは左を向いて悔しそうに壁を叩く。まず鳥肌①。
 そしてビームとラーマは出会い素性を隠して親友になるのだが、立ち位置は左ビームに右ラーマで変わりないものの、その視線は先ほどとは逆でお互いを見つめあってることがわかる。ラーマの部屋とかナートゥ踊ってるときとか。これはたぶんお互いの使命を一旦置いて親友に向き合ってることを示してるんだと思う。先に記述した通りラーマが右ばかり探してる羊飼いは決して右にはいないわけ。はい鳥肌②。
 そしてビームが羊飼いとわかったときビームはラーマの左にいましたね。その後葛藤の末ビームを逮捕するべく火の馬車でやってきたラーマ。二人の立ち位置は変わりないがビームを逮捕しようとするもラーマは目を見られない。次に鞭打ちで対峙するビムラマ。立ち位置は変わりないがビームはコムラムビームを歌いラーマの使命が揺らぎつつあるシーン。さらにビームを逃すと決めたラーマ、ヤムナー川ではラーマは左に左に走っていく。これビームのマッリ奪還のベクトルでしょ…!そしてついに対峙するビムラマはこれまでと立ち位置が逆!ビームに棒で殴られ倒れるラーマ、ビームはそのまま左に左に逃げていく。まさにマッリ奪還のベクトルで鳥肌③。
 シータに出会いラーマの大義を知り救出に向かうビーム。刑務所でビームは匍匐前進で右に右に向かう。これラーマの祖国解放のベクトル…!で鳥肌④。
 ここで最強肩車が左に進んでいくけどこれは馬とバイクドスティの対比であえて左向きなのかなと思った。後の神ラーマとビームも煙の中から左に進むし。 ただ水の中から出てくるビームは右向きで神ラーマも右向き多い。なので二人セットのときは左向きで一人一人のときは右向きなのかも。そして最後の最後にビムラマがスコット総督を倒す際総督は右にいるからやっぱり祖国解放のベクトルの右向きで鳥肌⑤。
 さらに付け加えると、スコット総督倒す直前にビームとラーマの立ち位置が逆になります(正確にいうと二人の後ろからのカットになる)。このときラーマからビームに銃が手渡されるのですが私はこのときラーマの祖国解放の大義がしっかりビームに伝わったと考えます。なので立ち位置がこれまでと逆で左ラーマの右ビームになりラーマの右にいるビームへ祖国解放のベクトルが向いてることになります。
 そして最後のお花畑のシーン「読み書きを」の際も左ラーマの右ビームとなっており、ここでもラーマからビームに祖国解放の大義が伝わったことを示唆しているのではないかと。そしてそしてエッタラジェンダの合間、村に戻ったラーマは当然右を向いているのですが、村に戻ったビームはあの旗ごしにこちらを向いています。こちらとは我々観客の方です。これって、祖国解放の大義を今度我々の方にベクトル向けてませんか…?読み書きを覚えてそれぞれの場所で、さあ次に立ち上がるのは観客の我々の番だと言ってませんか…?この辺は全然私の推測ですが怖いもうマウリがすごすぎて怖すぎるよ!
 この章は私の仮定からの話でまだちゃんと劇場でRRR観てないもんですから、大分都合の良い書き方してると思います。またRRR観て検証します!ご意見ぜひお待ちしてます!

視線ビームが左ラーマが右

インドの詩人タゴール

 ここから大事な話をします。これを書きたくて2万字書いてきたと言っても過言ではない。
 まずインドの詩人タゴールについて。ラビンドナラート・タゴールはインドの詩人、思想家、作曲家。1913年に詩集「ギタンジャリ(訳:歌のささげもの)」でノーベル文学賞を受賞した、アジア人初のノーベル賞受賞者。翌1914年にはイギリス政府からナイトに叙されるが1919年にアムリットサル事件に抗議してこれを返上している。
 アムリットサル事件とは、1919年3月に発布されたローラット法(破壊活動容疑者に対する令状なしの逮捕、裁判抜きの投獄を認めた治安法令)に反発する集会をしていた1万2千人の非武装の市民に対して、イギリス領インド帝国軍が無差別発砲し約1500人が亡くなった同年4月の虐殺事件。この弾圧によってインドの反英運動は激化することになった。

 話はRRRに戻るが、ラーマの部屋に写真が飾ってあるのをご存じか?ラーマのデスクの正面、白い本棚の上にある写真こそがタゴールです。この場所からいってラーマの推しがタゴールといっていいと思う。ラーマの唯一の推し。

本棚の上に注目
これと全く同じではないけど
タゴールの写真があります

 ここでタゴールの詩を読んでみてください。著作権等について森無知なので検索していただきたい。

「ひとりで進め」
 この詩はまんまラーマで涙が出る。きっとラーマはタゴールの詩を胸に一人大義のため血を吐くような努力をしてきたのだろう。

「この偉大な宇宙の中に」
 この詩の言葉のいくつかにRRRにつながるものがある。いや言ってしまうとこれはもうFIREのラーマそのものなんじゃないか。そしてこれはきっと偶然ではない。

「100年後」
 この詩は絶対に読んでいただきたいので上にリンクを貼った。怒られたら消します。
 この詩の美しさは読んでいただければわかる通りでそれだけでも胸が熱くなるのだが、ここで思い出してほしい。RRRでビムラマが出会ったのが1920年でナートゥパーティが翌年2月14日だからRRRの主な舞台は1921年。RRRの元々の公開予定は2021年(コロナで2022年公開)で100年後なんです…!
 このことを知ったときRRRが時空を超えてリアルに私に話しかけてきたような気がして涙が止まらなかった。100年後の私に、ビームとラーマの物語を知ってどう思った?と100年前の彼らから直接聞かれたような気がした。物語の舞台が1920年なのはラージャマウリ監督のあえての設定だと思う。RRRはフィクションだけど、100年前のインドから何かをとても伝えたがっていて、100年後の映画RRRを観た我々にそれが響きますように、という願いが込められているように思った。

 私は極東の島国の、インドには何の縁もなかった日本人だけど、RRRを観てラーマ・ラージュやコムラム・ビーム、当時のインドのことを調べインド神話にも触れてタゴールにもたどり着いた。これってマウリ監督の思う壺やんけ…!全部マウリの手の平で転がされてないか…?インド映画というエンタメを通してインドが世界を制するのも近い気がする。ちょっと言いすぎだけどそれぐらい奥深いものを感じた。ラージャマウリ監督は本当に本当に創造神。そしてきっとマウリ監督の推しがタゴールなんだと思う。時空を超えた対比。

100年前のタゴールの詩「100年後」
↔︎100年後の私たちの世界

エッタラジェンダ

血が騒いだら
旗を掲げろ
武者震いがしたら
山を打ち砕け

旗 岩 剣 槌
蹄 刃 角 牛

オンゴール地方の不屈な雄牛
シリシッラ地方のめでたい雄牛
真っ赤な牛は偉大な雄牛
ラーヤラシーマの雄牛は
玉石より屈強

血が騒いだら
旗を掲げろ
武者震いがしたら
山を打ち砕け

「みんな、あれを見ろ
ラーマの帰還だ!」
(ここで涙ぐむマニ兄貴が涙を誘う。
シータとラーマのペンダント1.5個問題勃発。解明された方ぜひお知らせください。ラーマには後光が指している。)

血がたぎり立ち上がらせる
誇らしげに膨らむ胸に風が吹き込む
鋼鉄の精神はさらに不屈に
暗黒の時代は終わりを告げる

今でなければいつ打ち鳴らす
祝宴太鼓が音を響かせる
ゴン ドン バン ガン
打ち砕け雄牛よ

カルカッタの情熱の雄牛
グジャラートのしたたかな雄牛
キットゥールの鋭敏な雄牛
ティルネルヴェリの雄牛に
かなうものなし

血が騒いだら
旗を掲げろ
武者震いがしたら
山を打ち砕け

「母さん!」
「マッリ!」

RRR最初のセリフ「マッリ!」
↔︎RRR最後のセリフ「マッリ!」

 (最初は絶叫で最後は歓喜。RRRはビームのマッリ奪還物語でもあることを思い出させてくれる。ただビームは銃を背負っておりビームの目線の先にはあのスローガンの旗。もう以前のビームではなく、ラーマの大義を共有している。)

頭のターバンを引き締めろ
拳は硬く握りしめろ
世界に勝利を宣言しろ
我々一人の声は数百万人の声

シヴァ神 見よ 自信が湧き上がる
ガネーシャ神 降らせよ 幸運を
宴 祭り
誕生 成長

パンジャーブの決意の雄牛
タングトゥーリの頑強な雄牛
パラッシの気高き雄牛
勝利をもたらす
勇敢なマラーターの雄牛

我々は誰にも屈しない
命の祝祭は君と僕のもの
ありったけの松明をあつめて
歓喜の音を響かせ
音を奏でろ

村中に告げろ
太鼓を打ち鳴らせと
華々しく
目もくらむほどに

どんどんたたけ 身を震わせて
心ゆくまでリズムに乗って
月にいる鹿を踊らせよう
大地には豊かな実り
夜空には満点の星

血が騒いだら
旗を掲げろ
武者震いがしたら
山を打ち砕け

血が騒いだら
旗を掲げろ
武者震いがしたら
山を打ち砕け

ムルムルは雷という意味

 エッタラジェンダは楽しすぎてつい映像をガン見してまうので歌詞を書き出してみた。和訳が美しすぎて驚く。インドのナショナリズムが強いんだけど、そんな意識もなく言葉もわからないのに大声で歌いたくなる。エッタラジェンダって、最高。エッタラジェンダで終わるRRR、最高。

おわりに

 世界的大ヒットのRRR。本国インドでもぶっちぎり歴代1位の興行収入かと思いきやそうではなかった(ソース見失ったけど歴代3位て見た気がした)。インド人の好みがもちろんあるんだろうけど、RRRは宗教のことで批判があったらしい。たとえば、ビーマ神(ヒンドゥー教叙事詩マハーバーラタ)のシルエットの前にいるのがイスラム教徒ムスリムの格好をしたビームだったこと等が批判を浴びたそうだ。宗教のことは非常にセンシティブなので、家に仏壇も神棚もあってクリスマスも楽しむような家庭で育った私には到底わかり得ない問題なんだけど、インドにはそういった各宗教の違いがあってどれも尊重すべきもの、という感覚は忘れないようにしなければと思う。わからないからこそ特に。
 ラージャマウリ監督自身は無宗教を公言しているので、宗教的対立を誰よりもナンセンスだと思っているのではないか。そのためRRRではイスラム教徒の格好をしたビームと大多数であるヒンドゥー教徒と思われるラーマがとても仲良しであり人間ピラミッドのクリシュナの壺を共に割ったりする「宗教フリー」な映画だったりする。信仰心が割と薄い日本だからこそ宗教を意識せずにRRR大ヒットに繋がった部分が多分にあると思うが、RRR変態オタクとしては一歩踏み込んで、インドには様々な宗教があるということをご存じの上で尊重したいと思う。尊重て言葉難しく思うけど「どれもとても大切なもの」と心しておけばいいと思っている。
 インドの国旗の黄色はヒンドゥー教を、緑はイスラム教を、白は仏教やキリスト教、シク教など他の様々な宗教を表しているそうです。そして私はインド綿と書かれた服を買いまくっています。着たいから!

 今年初めにRRRにはまった私は周りに理解してくれる人が誰もおらずTwitterで細々とつぶやき始めた。RRRを広めることが大義だと勝手に思っていたが孤独だったのでまさにラーマみたいなもんだった。でも一人また一人とRRRをご存じの方と出会ったり繋がったりしてビームのようなドスティがたくさんできた。もう間違いなくラーマよりドスティ多いです。

 今回のnoteはそんなドスティ先輩の発見や教えをたくさん書かせてもらった。お名前わかる方には掲載について念のため確認したが皆さん快く了承してくださり本当にありがたかった。お名前もうわからず確認できなかった方も多いので掲載に差し支えあれば遠慮なくいってください。そして全部私という中年女性のフィルターを通して出てきた文章なので間違いや解釈違い全然あると思います。ご指摘大歓迎ですのでコメントやTwitterのリプ等でお知らせください。ただ褒められると伸びるタイプだということはお伝えしておきます。感想もぜひ。
 そういうわけでこのnoteは未完成とします。ディズニーランドみたいに完成しないのかもしれません。RRRにはまだまだ解明されてない謎があるから今作でも投げかけたし、その謎解明やご意見あればどんどん直していく所存ですので。見れなくなったら「直してるな」と思ってくださいね。

 卒論並み狂気の2万5千字越え拙い変態作文を最後まで読んでくださりありがとうございました。でもジンペンはRRRまだまだ卒業しないよ!これ読んでまた劇場にRRRを観に行ってくれれば幸いです。映画館でRRRを浴びるのが私の最上の喜びなので。
 もうすぐ日本公開1周年の10月21日、それにこのnoteが間に合って本当によかった。
 ではまたどこかのインドで!

このニコニコおじさん
マジですごいでしょ?

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