歓迎されていないあの空間が好きだった

歓迎されていない、誰も求めていない空間。

あの日もまたあの場所に足を運んでいた。
来て欲しいともここに来て頼まれていることもない。
ただ、あの空間に来ていただけ。

おはようとチームメイトに一言を交し、そのあとはずっと基本独りぼっち。
狭い、私から見たらガラクタだらけのパイプ椅子が何個か乱雑に置かれていて、麻雀の台が机替わりになっていて、いつ来てもいろんなガラクタが置いてある、そんな空間。作業場に向かうためみんなが外に出ていく。最後の一人が私の存在を忘れたかのように、ドアがガチャっと閉められる。そんな私の居場所はここにはない、といつも思っていた。

それなのにあの日もまた、あの空間に向かっていた。

それでもあの人の傍にいたかった。
あの頃の私にはそれしかなかったんだと思う。

何度も別れ話を繰り返しては、泣いて、あの人の元へ戻って行った。

求められていない、大切にされていない、あの人の恋人のままでいたかった。
趣味よりも優先順位の低い私の2年半はなんだったのだろうか。


最後の恋、というやつだったのだろうか。

どんな私でも歓迎して、求めて、どんな時でも大切にしてくれる彼の元へと、正しい道に戻れて、きっとよかった。
きっと。

mia

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