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四季報にまつわる小ネタ集~機関投資家とIRの視点から

起業家で元機関投資家・経営企画のあると🎻(Twitter: @alto_va)です。

東洋経済が毎四半期ごとに刊行している四季報。
約4,000銘柄ある全上場企業のコメントや業績などが掲載されています。

最近、四季報を写経する四季報写経というのがVCやスタートアップ界隈で流行っているようです。
それに便乗して、機関投資家や経営企画の経験で見知った、四季報にまつわる小ネタを6つ紹介したいと思います。
※昔の情報が含まれており、最新の情報とは異なる場合があります。


1.全ての銘柄が四半期ごとに取材されているわけではない

東洋経済の記者が全上場企業4,000社をカバーし、3ヶ月ごとにコメントや業績予想などの最新情報を更新する四季報。
記者による数多くの取材をもとにコメントや業績予想が作られています。
毎四半期、全銘柄を取材していると勘違いされている方もいるようです。
残念ながら、全ての銘柄が四半期ごとに取材されているわけではありません。
とはいえ、4,000社という膨大な数を考えると、短期間でよく記事にまとめているなぁと思います。

2.全ての銘柄に業績予想が掲載されている価値

日本の上場企業は約4,000社ありますが、そのうち、セルサイド(証券会社)のアナリストがカバレッジし、業績予想を算出している銘柄は500社~1,000社程度と言われています。
つまり、3,000社以上はアナリストによる業績コンセンサスが存在していません。
その中で、四季報は全銘柄に業績予想を掲載している点が大きな特徴です。
コンセンサスが存在していない3,000社以上の銘柄に対して四季報が提示する業績予想は、機関投資家を含めた多くの投資家が参考にしており、この業績予想は時に株価を大きく動かすほどの影響力を持っています。

3.機関投資家には証券会社が無料で配布

証券会社は、四季報の表紙に自社名を印字したものを、四半期ごとに機関投資家に大量に配布しています。
ノベルティのような形で四季報OEMを配っているのです。
全ての機関投資家が四季報を参考にしているわけではありませんが、多くの機関投資家は四季報を手元に置き、程度の差はありながらも、参考にしながら投資判断を行っています

コンサルでは、部下が作った資料を破り捨てるという都市伝説?を聞いたことがありますが、それと似た話として、証券会社では営業成績未達の部下に対して四季報を投げつけるという都市伝説も存在しているようです。

4.発行会社には四季報が献本される

発行体には毎四半期、東洋経済から四季報が献本されます
発行体は献本された四季報を見て、自社に対するコメントや業績予想を確認することができます。

その内容が納得できない内容だった場合は、東洋経済に連絡したり、適時開示を行ったりするケースもあります。
記憶に新しい例としては、ジーエヌアイグループの適時開示や、ブイキューブ真下社長のツイートなどが挙げられます。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2160/tdnet/2373550/00.pdf

個人投資家には四季報の数値やコメントをしっかり読まれて投資判断をしている方が数多くいます。
また2.で言及したように、四季報の業績予想やコメントの影響は決して小さくありません。
経営企画やIRとしては、会社の意に沿わない業績予想やコメントにならないよう、先回りして東洋経済に適切な情報提供を行うことが腕の見せ所だったりします。

5.週刊東洋経済の記者が執筆

これは良い点でもあり悪い点でもあるのですが、四季報は株式アナリストではなく東洋経済の業界記者の方が取材・執筆しています。
記者はあくまでも記者であり、取材や文章を書くことが専門だという理解です。
業績予想のような財務分析が得意とは限りません
四季報のコメントや特に業績予想を活用する際はこの点を留意する必要があります。

6.SBI証券や楽天証券などで無料で閲覧可能

楽天証券を契約すると日経テレコン経由で日経新聞が無料で読めることは有名です。
それと同様に、SBI証券や楽天証券などの証券会社に口座を持っている場合は、四季報を無料で閲覧することができます

終わりに

以上、機関投資家や経営企画の経験で見知った、四季報にまつわる6つの小ネタをご紹介しました。
※昔の情報が含まれており、最新の情報とは異なる場合があります。

四季報は投資に役立つ貴重な情報源であることに疑いの余地はありません。
上手に活用していきましょう!

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