Altfloorって結局なに?の話とAltfloor Stackの位置付け

クラブ情報wiki(仮称)、Alt Scrapを公開して約三週間が立ちました。これらはお役に立てているでしょうか。
クラブ情報wikiは行きたいイベントを探す、という点では意外と役に立っていないかもしれません。これは私の個人的な感覚ですが、イベントというのは割に行きたいものが決まっていて、決まっていないときには探してまで行くぞと感じることはありません。むしろSNSで友達が行くよ〜といっているのを見てじゃあ行こうかなと思うことのほうが多いでしょう。
それでも、このツールが役立つ場面があった、という人もいるはずです。私自身もなんどか助けられました。人と話している時に「あの人のDJのプロフィールどんなだっけ?」という話題になり、ツイッターをさかのぼってもなかなかイベント告知が出てこない。その時にクラブ情報wikiの中で検索して、イベントページにスッとたどり着けたときはこのツール便利だな!と自分で感動してしまいました。また、フォロワーがなんかのイベントにいるっぽいとき、今どこにいて何を見てるんだろうと思ったときにもこのツールは役立ちました。DJの名前をつぶやいていたらそれで検索をかければいいし、swarmしていたら場所+日付で検索すればイベント情報が一発で出てくる。この感覚はとても気持ちがいいです。これはなによりもネトスト気質なみなさんにとって嬉しいことだと思いますが、そうでない人にとっても有用な調べ物ツールとして機能するようこれからも育てていきたいと思っています。
何よりもScrapboxは触っていて楽しい。wikipediaのそれほど関心すらない記述を見ているときですら、どんどんリンクを飛びながらいろんなページが見られるという喜びには抗い難いのに、興味のある分野でリンクが連なっているとなればそんなものは楽しいに決まっています。最初に「行きたいイベントを探すのにはそれほど役に立たない」といいましたがこのリンクをたどりながらページを巡回する作業の中でいってみたいイベントというのは増えていきます。そして、行ってみたいと思ったイベントに関する情報、そのイベントに出演する/していたDJ・VJ・スタッフのツイートというのは目に止まりやすくなります。まあとはいえ、これはそもそもwikipediaが大好き!みたいな人間にしか当てはまらない効用かもしれませんね。普通に「クラブ周辺の情報に限定して扱える、2クリック先まで検索してくれるフォロー内検索」みたいな立ち位置として利用してくれてたらいいです。私達も基本的にはそういう利用感が得られるように編集を頑張っていきます。

Alt Scrap (DJ mixを集めるscrapbox)はこの観測範囲が広がった感をDJ mixに対して得てもらうことを目的に運用しています。そもそもオルトフロアはわたしたちが観測範囲を広げるための、調べ物の履歴を残し、それを足がかりにすることで次に良い曲を探す時に使えるための勉強会の場として企図されました。
そもそもの発端は雑談です。ここを読むような人は大抵がそうだと思いますが、私達も雑談の中で話すのは「この曲めっちゃいいよね」とか「この曲どうなってるんすかね?」という音楽についての話で、そのうちに「ちょっと調べてみたけどこれってこのジャンルの標準的なマナーっぽいね」みたいな、覚えておくと便利だろうし、どこかに書いておけばあとの人が調べる手間を少し短縮できるような情報が会話に登ることが増えていきました。
これをよりあとから利用しやすい形で保存すること。(これ自体が見ていてそれなりに楽しいものになるだろうけど)直接的な形でDJ/リスナーにとって便利な物を提供すること。この二点を満たすアイデアとして生まれたのがオルトフロアの原型です。
なぜそれがオルトフロアという企画名になったかといえば、私達が音楽について知ることを経由して達成したかったDJとしてのお互いに共通した目標/関心が「作品としてのDJ mix」にあったから。また我々(オルトフロアメンバーではなく人類を指して我々と言っています)はこういった音楽についての知識自体に対して「これはフロアを通じて学習されるものだ」という認識をどこかに持っているフシがあります。そうではない形で学習することも可能なはずなのに。フロアとは違った学習の場でもあるからというのがこのプロジェクトをオルトフロアと名付けた理由のもう一つです。私達の目指すところはフロアとは違う形で/フロアを今とは違った形でDJ mixについて考えるものなのです。
ついでにもう一つ言い訳をさせていただくならオルタナティブなんて手垢のついた言葉を今更改めて使うのは、現状のフロアに対するカウンターではないことをアピールしたいからです。
改めて述べましょう。Alt Scrapはオルトフロアの本体であり、私達のインプットの場を拡張したものです。ここから必然的にもう一つ必要な企画が明らかになります。それは私達のアウトプットの場、あるいはアウトプットの場を拡張したものです。(便宜的にこの言葉を使いましたが、このインプット/アウトプットという表現は――マイルドに表現すれば――あまり好きではありません。人間を機械に見立てた表現の気持ち悪さもそうですが、それ以上に、まるで料理のレシピのように適切な材料を揃えて、適切に処理さえすれば望む結果を獲得できるかのような世界観は……。さぞ幸福な人生を歩んできたのだろうと少し羨ましくなります)(鶏七味個人の見解です)。

今回用意した私達のアウトプット(!)の場がAltfloor Stackです。ちなみにAltfloor Stackは仮称ですのでいい企画名があったらハッシュタグ #altfloor をつけてツイートしていただけると嬉しいです。
この企画ではSubstackというサービスを利用してDJ mixを配信します。Substackというのは聞き慣れない人も多いと思いますが、米国発のメルマガ型のコンテンツプラットフォームで、言ってしまえばアメリカ版のno+eみたいなものだと思ってください(no+eで「no+e以外の、しかもno+eっぽいプラットフォームを使った配信をします」と告知するの、正直大変緊張します)。文章を記事の形で投稿することも出来るし、動画や音声も投稿できる。音声の投稿はpodcast URLを吐き出してくれるのでスマホのpodcastアプリに登録すれば各自のスマホに新着の投稿が自動でダウンロードされます。
no+eと何が違うかといえば「メルマガ型」というところが重要で、ここから2つの特徴が導き出されます。一つは不特定多数ではなく、メールアドレスを登録してくれた人が主な読者/視聴者となること。もう一つは皆さんの手元(メールボックスやpodcast app)に記事やmixが残ることです。
もちろん記事や音源はweb上にも残るので(検索ではなかなか引っかからないものの)URLを知ればチェックすることは出来ます。Alt ScarpにURLは記載する予定なのでそこからチェックすることも可能です。ですが、それでも主な対象読者は限定される。そしてみなさんのメールボックス、あるいはpodcast appに直接届く。鶏七味はこのことに、直感的になにか大事なことがあると思っています。何が嬉しくて、何が大事なのかは全然わかってない。今後の課題とさせてください。
実際にこれを稼働させるのは少し先になりますが、4月からこのサービスを用いたDJ mixの配信をしていく予定です。基本的には隔週で、木曜日の17時に更新します。クラブからは少し遠ざかってしまった人やすでに作品としてのDJ mixを志してweb上だけで活躍されている人。現場で活動されている方でこの人の作品としてのmixを聴いてみたいと思った人などをゲストで呼びながら定期的に配信していきます。先述の通り動画も投稿できるので、VJを依頼し映像付きで改めてmixを投稿することも考えています。Alt ScrapにVJ個人ページを作ればそこからリンクで紐付けることも出来るので、VJさんのプロモ置き場としても活用していただけるかもしれません。
初回配信は4月6日。オルトフロア・石がmixを担当いたします。ここまでの記載はすべて1月24日現在での予定であり、変更の可能性もございますのでご了承ください。
今後、このような文章での告知はnoteだけでなくSubstackにも投稿いたします。以下URLからメールアドレスを登録しておいていただけると幸いです。
https://altfloor.substack.com/

長くなってしまいましたがもう一つ告知をさせてください。
この度オルトフロアの活動維持のためにfanboxを設立いたしました。
特にリターンはないのですが、活動に共感できたらご支援していただけるとありがたいです。
https://altfloor.fanbox.cc/

オルトフロア・鶏七味