雨上がり

雨の土曜日。自宅。ちょっと気づまり。

普段だとオーケストラか合唱の練習か本番でバタバタ過ごしているこの時間。気分転換にと、散歩がてら地元の商店街で買い物して、開いてたお店でちょっとだけワイン飲んで、帰る途中の中華料理店で家族のためにテイクアウト頼んでいるこの時間。

時間がぽっかり空いて、やることが無くなったようにも思えるけど、普段あまりにやらなさすぎた現実と向き合うには良い機会だと思える。家族と3食共に食べる。家のテレビで映画見る。カラダだるかったらなんぼでも休める。ゆるやかな生活。いつ以来なんだろ。

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高一、15歳でホルンを吹きはじめた。その後、大学から社会人になって、途中1年間ほどブランクもあったけど、だいたい1つのオケに所属して年二回ほど演奏会本番やってたのが35くらいまで。その頃、会社でいろいろあって、気持ち動いて、もう1つのオケに出入りしだして、年に四回ほどの本番をやってたのが41くらいまで。

そこへ、東日本大震災があり、その頃に突発性難聴を患っていたので、ホルン活動は少し休止した。聴力が7割方回復したので再開したけど、あの時は本当に辛かった。

そのあと、新しいホルンとの出会いや、面白い仲間との再会や、いろいろ世界が広がっていく中で、カミさんから誘われたオペラオケ。歌との共演がこんなに楽しいとは知らず、ますます音楽にのめり込んでいく日々に。この時44歳。

ホルンのエキストラとして声がかかることが増えて、年間の本番回数がいつしか二桁になり、週末は2~3団体のリハーサルをハシゴするのが常態化。ホルンますます楽しい一方で、オペラの影響もあって、歌うことへの関心が高まっていたところ、母校の大学オケがマーラーの復活をやるとの話が。合唱メンバー募集との情報に飛び付いて、サントリーホールで合唱デビューを飾ったのがトシオトコ48歳。

歌の魅力に取りつかれ、それから知人のいる合唱団に入り、次に別の知人から誘われて合唱団へ、またそこから誘われて新しい合唱団へ、都合3団体に入るという事態になった49歳。さらに歌をレッスン頂いている師匠の門下生音楽会でソロを歌い、ホルンの方は会社の新人捕まえて職場の年末納会でデュエットを披露した50歳。

ちょっと異常なテンションで、年間20回前後の本番をホルンと歌とでこなしてきたここ数年間だった。嵐のように目が回る気もしたし、いっぱいいっぱいになりながら、なんでここまでやっちゃうんだろうって自分の血を恨んだりもしたけど、好きだから、楽しいから、やっていたんだよなぁ。

そこへ持ってきて、ことし51歳。

2月中旬に所属オケの本番を終えたあとから、あれよあれよと言う間に練習中止や本番中止が相次ぎ、3月下旬から週末の時間がぽっかり空いて、なんとも言えない気分になっている。歌いたい、ホルン吹きたいという思いはあるけど、でもまぁ、ここしばらくやり過ぎていたから、ちょっとゆっくり休むか、って気持ちもある。だから、個人練習をするよりも、普段やっていなかったことに時間を使って、疲れたら休むという当たり前のペースを取り戻した感じ。

9年前の震災と難聴で健康の大切さを再認識し、音楽をやりたい気持ちに素直に走り続けた自分の暮らしは、いったんここでひと休みしてもいいのかもね。

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日中に激しく降っていた雨も夕方には上がり、新しい光が差してくると、ま、いろいろあるけど、焦らずその時を待つのもいいよな、と思えた。良い週末を過ごしていられて幸せです。

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