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女子サッカー⚽️♡

2022年カタールワールドカップ
連日、どこかの国の試合が放送されていた。

開幕まで盛り上がらないと言われてきたが、
サムライブルーの活躍で結構盛り上がる。

こちとらサッカー好きは
4年前に終わった瞬間から
次の開催に気持ちは向かっている。
代表が悔やしい敗れ方をしていればなおさらだ。

開催期間中にはまあまあの試合数を見る。
とはいえ、
前のめりに観る試合もあれば、
洗濯物をたたみながらぼんやりと見る試合もあり、、、

どちらかというとそれは後者の試合で。
聴こえてきたのは
〝USA! USA! 〟の大合唱。

画面に映し出される、顔全面が星条旗になった赤青アフロの人。

その映像は
図らずもあの日のスタジアムに連れて行ってくれた。

2015年の話。
サッカー女子ワールドカップカナダ大会🇨🇦

日本代表なでしこが
前回大会に続けて出場を決めた。

この大会、
グループステージが始まる前に大博打を打った。

えいっ!と取ったのは決勝戦のチケット。
それとその日に合わせてバンクーバー行きの航空券と宿。
どのチームが残るかなんてわからない、
出場チームも全部は決まっていなかった。

やってもーたで、多分…

出場が決まったのもやっとこさという時に
決勝戦のチケット。

そんなにうまく行くわけないのに。

前回、2011年のドイツ大会では
決勝まで進んだ日本代表、なでしこ。
決勝戦、終了間際に澤穂希選手同点弾のあと、
PKでアメリカに勝利し優勝した。
夢のような歓喜。
(文字どおり日本は夢の時間帯…澤さん決める前に寝てしまったな)

いくらなんでも
2大会連続決勝進出なんてそんなことはあり得ない。

期待はしても、
決勝の場に日本がいるなんてでき過ぎよ。

サッカー強豪国やフィジカルが強い国の中では
必ず残るとは言い難い。
チケットを取っていながら、
がっかりする自分の気持ちをフォローする準備も万端というナゾな状態。

でも、なでしこたちはやってくれる。
このネガティブサポーターの貧弱な予想を力強く吹き飛ばし、
グループステージ抜け、ノックアウトステージへ。

カナダ出発前日に
地元の国内線出発ロビーで見たのは、
準決勝のイングランド戦。
負けると現地ではイングランドvsアメリカの試合を観戦することになる。

勝負強いなでしこ、
ここでも相手のオウンゴールで勝利。
チケットを取って願っていたこととはいえ信じられないブラボー。

前大会同様、宿敵アメリカと決勝を戦うことが決まった。

ミラクル過ぎる。
ミラクルすぎて、到着するまでに自分に何かが起こるに違いない、というやっぱりネガな状態に陥る、大胆かつ後ろ向きなサポーターである。

当日の興奮は、経験値を超えすぎて
記憶としてとても曖昧。

はっきり思い出せるのは、
試合日が独立記念日と重なって
大挙して押し寄せるアメリカのサポーター。
スタジアムへの大通りを、
その大軍はアメリカから国境を越えて歓声をあげながら、そのまま歩いてやってきたかのようだった。

ほぼアメリカン

開始前からスタジアムはアメリカの歓喜に包まれ、
完全アウェイUSAコール鳴り止まぬ中、
前半0ー4。

このまま終わるかと思った後半、
押され気味のサポーターをよそに、
力強いなでしこは前チャンピオンの意地を見せ
2得点。

ただここまで。
結局、
善戦空しく2ー5、準優勝で終わる。

そこまでの長い長い道のりを振り返ると、
90分はあまりに儚く、あっけなかった。

円陣を組むなでしこJAPAN

それでも…

がんばったよ、
なでしこJAPAN。
4年前の悔しさを晴らしたね、アメリカ。

隣の席で
日の丸の必勝ハチマキ巻いて、
肩組んで応援して、
負けた時も「素晴らしかった」とハグしてくれた
ドイツのおばさん達。
「残念だったけど、JAPANの試合は美しい」と
帰り道、声をかけてくれた地元バンクーバーのおじさん。

試合後の夜の土産物屋、
ユニ姿の私たちに出くわし、
「すみませんでした」と頭さげてくれた
代表のコーチの方。

不思議と試合の前後の記憶の方が鮮明だ。

前評判は高くない中、大健闘だったな。

いや〜、サッカーサイコー!

•••というのが、2015年の1番のはずだった。

あの試合に行くまでは。


同年、11月8日
岡山県美作市湯郷。

岡山湯郷Belle vs AS埼玉

なでしこリーグ1部残留がかかった湯郷belle、
シーズン最後のホームゲーム。

集まってくるのは、
Belleの各年代のキャップを被った地元のおじちゃんたち。
いったいいつから応援してるの?

レプリカユニフォームを着たおばちゃんたち。

安くないよね、そのユニフォーム。

続々と集結する岡山県美作ラグビー•サッカー場。

そんな
若干年齢お高めのサポーターの皆さんが、
湯郷の選手がボールを持つたび大歓声。

選手の名前を呼ぶ。

審判がコールする前に
「オフサイド!」と手を挙げて一切に立ち上がる。
ここはスペインか…

AS埼玉の粘り強いディフェンスに苦しんだものの、後半33分、
背番号11、湯郷のエース松岡選手が得点。
その後、
粘り強く守り切って1ー0で湯郷belle勝利。

残留決定。

より大きな拍手と歓声に包まれ、
松岡選手のイメージフラワーひまわりがスタンドで揺れる。

ワールドカップの余韻で宮間選手を見るために
片道2時間かけてやってきた、
初めての湯郷のホームゲーム。
にわか湯郷サポ。

遠かったし雨降ったけど良い試合だった、
来て良かった、
温泉でも入って帰るかと、
買ったばかりの湯郷BelleTシャツを着て
立ち寄った温泉の駐車場。


私のTシャツ指差して
「勝ったかい?」と交通整理のおじさんが。

「勝ちましたよ!1ー0で!」
「おお、そりゃ良かった!」

温泉で。

隣のロッカーになったおばちゃんがユニフォーム脱ぎながら
「今日は良かったねぇ。チームが勝って温泉、これが一番」とにこにこ。

その後、
ご飯を食べに入ったレストランで水を運んでくれたおじさんが
「今日Belle勝ったかな?」
「勝ちました!残留です。」
「ほんとかい、いやぁ、そりゃよかったなあ」
と。


• • • なんでしょ、この愛されっぷり。
カナダで感じた日本人感再び。

チケット代 30,000円  vs  1,500円
入場者数        53,341人  vs  1,228人

選手が会場入口で資金集めの募金箱持って立ってる。
自らグッズ売ってる。
チケットもぎしてる。

スタジアムと街中から、湯郷belleが溢れてくる。

山間の小さな町の思わぬ熱さに、
帰ってからも試合の余韻とぬくもりがいつまでも消えない。

試合前、円陣を組む湯郷belle

その後
代表選手宮間の引退や福元選手の移籍などを経て、
湯郷belleは今、なでしこリーグ2部にいる。

あの日、残留を喜んでいた湯郷のみなさんは
今もスタジアムに足を運んでいるだろうか。
試合結果を街中で気にしているだろうか。

今治。
地元のサッカーチーム。
レディースチームは多分に漏れず、
働きながらサッカーをしている。

11年前に揺れていたひまわりがここにもある。

そう気づいたから、
だれが在籍しているかも知らなくなった今、
あの風景があのままであるように願う。

どうか、あの日の熱はそのままで。

FC今治レディース バリィさんと
ありがとうサービス.夢スタジアム
トップチームの観客は、他スタジアムより平均年齢+10
満員率も上々。
女子チームを応援するサポーターも多い。

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