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わたし向きではなかったかな

赤松利市さんのことを知ったのはXのポスト。
「共産党員でれいわ新選組のフレンズです」

れいわを応援してくれる作家さん、というのが嬉しくてフォローした。赤松さんは毎日「出勤」という形で自宅とは違う場所に行って執筆。終わると帰る、というポストをしている。あとは食べたものとか。毎日ちゃんと書いている、というのがすごいなあと尊敬もしていた。

さらに「激レアさんを連れてきた」という番組に出る、というので見てみたら波瀾万丈の人生。ホームレスの状態の時に小説を書き始めてデビューしたという。

ここまで知ったのにまだ一冊も著作を読めていなかった。よし、読もう!と思って図書館へ。本当はデビュー作の「もずく蟹」を読みたかったのだが、なかったので「救い難き人」にした。

在日2世の話、なのだが、うーん、ぶっちゃけるとパチンコ屋をめぐる裏話という感じ。主人公は最愛の母を父にセックスの最中の首絞めプレイで殺され、父を恨んで復讐を誓う。父の経営するパチンコ屋を乗っ取り、父を追い出そうと計画する。

ここまではいいと思う。

でもこの後が、ちょっとついていけなかった。

お父さんの右腕とされる人物2人が邪魔である。

だから殺そう

え?

なんで?

どうしてそこにいくんだろうか。読み手混乱状態のまま決行。犯行に気づいた平社員の人も殺してしまう。合計3人。そして大金を払って死体を処理してもらう。

ここでまた混乱。

死体自体はいい。でも被害者の人たちにも家族や友人がいるはず。その人たちは突然いなくなったら不審に思うし心配して探すはずでしょう。警察に捜索願いを出すかもしれない。一度に同じ職場から3人も行方不明になるなんておかしい。調べるはずだよね。

でも警察は来ない。父親が警察に探してもらおうとするのもうまく言いくるめて止めてそのままになる。

ん?

さらにその後、店を流行らせるためにサクラの女の子たちを雇って大当たりの台で打たせる。その女の子の1人がスナックの客にうっかりサクラであることをバラしてしまう。

お仕置きだ

そう言って女の子を騙して船に乗せ、男たちにレイプさせ、挙げ句の果ては海に落として殺してしまう。これ、かなりエグいし、殺すまでのこと?と思ってしまった。

この死体もうまく処理してもらうのだが、この女の子の恋人は突然いなくなったことを不審に思ってあちこち話を聞き、主人公にたどり着く。主人公は女の子の恋人に襲われて命は助かったけれど両足を切断する大怪我をする。

え?

女の子1人でもいなくなってこれだけ大事になったのに、なんで前の3人はすっぱり綺麗に終わったの?

どうも解せないが話は続く。主人公はついに父親を追い出しグループを乗っ取り頂点に。しかしそれだけでは満足できず、不正なシステムで作った裏金を金の延べ棒に変えて国税に見つからないように山奥の小屋に隠す。そしてその山小屋で事件が。

1ミリも感情移入できないこの主人公。まさに救い難いクズで、例えば悪事がバレて逮捕、収監されたとしても、反省なんてこれっぽっちもしないだろう。

まあそれはいい。

いいんだけど、殺す理由、殺した後の状況がどうもスッキリしなくて。なんかただただパチンコ屋の玉数を誤魔化す方法だったり、社員を片端からクビにしてみたり、だとか、雑、というか派手派手しい展開が次から次へと、という感じ。

こういう小説きっと好きな人もいるんだろう。いわゆるダークサイドもの。でもわたしには合わなかった、という感じ。殺人がダメ、とかレイプがダメ、とかそういうんじゃないんだよね。

復讐叶った時も、両足失った時も別にこれといった感慨やショックもない感じで、いったい何が楽しくて生きているのかなあ、と思ったりした。

淡々と悪事を働き続けるだけ。

わたし的には「救い難き人」というより「救い難きロボット」みたいな感じだった。

(赤松先生、ごめんなさい。でも先生のポストはいつも楽しく拝見してます。お体大切になさってください)

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