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映画『HELLO WORLD』感想・考察一覧

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自分なりの考察や感想を思いつくままに書いていきます。あくまで一つの解釈ということで。
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2020年3月の記事一覧

彼が「先生」と呼ばれる必然——映画『HELLO WORLD』における「先生」というパワーワード

(本記事は映画『HELLO WORLD』のネタバレを含みます。またいくつかの小説(野﨑まど『know』、夏目漱石『こゝろ』)の軽微なネタバレを含みますが、核心には触れないようにしています) 映画『HELLO WORLD』において、主人公の男子高校生・堅書直実の前にある日突然現れた、10年後の直実自身であると名乗る男、カタガキナオミ。未来の自分のことを何と呼べばよいかと尋ねる直実に対し、彼はこう答えます。 「ならば『先生』と呼べ」 ——「先生」。 教員でもないのに、自分

いつか京都マルイを幻視する日——映画作品における「失われた風景の記録と再現」、その真骨頂としての『HELLO WORLD』

(ネタバレあり)この記事は、映画『HELLO WORLD』の「クロニクル事業」に代表されるあるモチーフ、「失われた風景の記録と再現」を、昨今のいくつかのアニメ・実写映画に強引に見いだし、無理やり読み解いていくというと同時に「クロニクル事業」の意義を勢いのままに語る企画です。このモチーフを愛するあまり、あらゆる映画にその幻影を観てしまうイキリオタクの妄想力の成れの果てです。(2020年3月19日公開、2020年5月4日追記) 注意:この記事の解釈は、登場する作品に込められた意