元旦

元旦は最上位の概念であり、夕焼けの苦しさも、子どもと散歩した喜びも、仕事でなした達成も、生活、育児、労働と概念化されたうえでさらに「元旦」と概念化される。元旦のこの概念化の潜勢力は、元旦の日の出とともに始まり、曖昧な概念同士の発火を伴い、日の入りとともに終わり、概念たちの残骸をはるか遠くへと放り投げる。

誰が生きるべきか、誰が死ぬべきかなんて選びようがなかった。誰が孤独か、誰が幸福か、なんてただ怒ることしかできなかった。結婚して、子どもが生まれて、そこに数限りない言葉を費やして、それで何かを得たつもりにでもなっていたのか。

元旦は最上位の孤独であり、物質の孤独も、動植物の孤独も、人間の孤独も、孤独と概念化されたうえでさらに「元旦」と概念化される。元旦はすべての孤独を包含するので、人ひとりの孤独など取るに足らない。だがそのとるに足らない孤独が人ひとりにとって極めて重大な人格の核となることも包摂している。元旦の日の出とともに、獣が一人、孤独な怒りとともに首をもたげる。

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