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創世のヴィクトリア 第3話

[第3話] BLADE OF SOUL

・ゲートが開き、元の世界に戻ってきた暁人と葵
・解除されたスーツは指輪となり、左手の中指にはまる

暁人「…指輪?」

葵「VEGAの力は指輪に隠しておける」
「他の人には見えないから安心して」

・深くため息をついた葵は歩き始める

暁人「!!…ちょっと待ってくれ!聞きたい事が山ほどあるんだ!…楓の事も!」
・暁人は葵を引き止めようとするが…

葵「今日はもう疲れたから無理…」
「指輪を介してアナタのVEGAとも話せるから、色々と聞いてみるのね…私は帰る」
・歩みを進める葵

暁人「……ちょ…」
「………はぁ…」
・暁人も深いため息をつく
「……………あ!忘れてた!」

葵「…?」

暁人「ありがとう!」

葵「……???」

暁人「勢いで戦ってたけど、キミがいなかったら、たぶん俺は死んでた…だから、ありがとう」

・立ち止まる葵
葵「………別に…」

葵「っていうか…楓って誰?」
「…高梨 葵……」
「それが私の名前…」
「私は他のキッドと仲良しするつもりないから」

・暁人はそれを聞いて驚く

暁人「……誰って…キミは楓の友達じゃないのか?…」

・何も言わずに立ち去る葵



・施設 流星にて

施設の子供「あ!アキトおかえりー」

暁人「…トモキか…ただいま」

トモキ「どーした?アキト、元気ないか?」

暁人「トモキ…」
・無意識にトモキを抱きしめる暁人

トモキ「?…痛いよアキト」

暁人「ごめん…トモキ…しばらく楓ねぇちゃんに会えないかもしれない…」
「お前の大好きだった…」

トモキ「?だぁれー?その人」

暁人「!?」
「……誰って…トモキ、楓…だぞ!?お前の大好きな…楓ねぇちゃんだよ!」
・暁人はトモキの肩を少し強めに掴む

トモキ「痛いって!もう暁人のバカ!知らないもんは知らないの!」
・トモキは走って逃げる

暁人「なんで…」
「なんで覚えてないんだ…」
「高梨 葵も…楓の事を…」

暁人「……そうだ…柳さん」
「柳さんに聞けば……」

・暁人は柳の部屋まで行き、ドアをノックする

暁人「柳さん!居ないのか!?聞きたい事があるんだ!」

・そこに施設のおばさんが通りかかる

「あら、暁人!柳さんなら居ないわよ、しばらく留守にするって!」
「まぁ、最近はほとんど帰ってきてなかったけどね…」

暁人『…マジか…』
『なんで…このタイミングで…』

暁人『…なんだよ…何が起きてる?』
『いや、今まで何が起きてた!?』
『俺を巻き込まないため?』
『…何に?』
『あの黒い渦と、知らない世界…知らない生物』

・指輪を見る暁人
暁人「VEGA…何なんだよコレ…」

暁人『…戦うしか…今の俺にわかる事は、コイツを強くすれば、楓を救えるってことだけ…』

エグゼ「あっきー、お前も大変だな!」

暁人「お前…確かエグゼ…」

エグゼ「そう、僕はエグゼ」
「これからあっきーをサポートする!よろしくね!」

暁人『なんでいきなりあだ名…』

暁人「エグゼ…」
「教えてくれないか?VEGAの事…あの星の事…」



・3日後 大学にて

・暁人は楓の事を数人に聞いて回ったが、誰も彼女の事を知る者はいなかった

暁人「やっぱり俺以外、楓の事を覚えている人がいない…なんでだ?」

暁人「…………」

暁人『…止まるな…俺…』
『…悲しんでばかりじゃ、楓は帰って来ない』

暁人『押し殺せ…絶望を…』
・暁人は拳を強く握りしめる

暁人『俺が今やるべき事は…』

・暁人が図書室の窓を見ると、葵の姿が見える

暁人「!」「やっと見つけた!」
「高梨 葵…どこにも居ないと思ったら…図書室か!」

・急いで図書室に向かった暁人は、葵の元へ

暁人「はぁ…はぁ…高梨 葵!探すのに苦労したよ!…」

葵「…うるさい…ここ図書室だよ?」

暁人「…ごめん!ちょ…ちょっと…葵ちょっと!」
・暁人は外を指差しながら、葵を図書室の外へ誘う
葵「………なんで呼び捨て…」

・近くの通路で話す2人

葵「…なんなの?」
・葵は腕を組み、見るからに不機嫌そうにしている

暁人「えっと…楓…じゃなくて…」
「…柳さん!」
「黒木 柳って人、知らないか!?」

葵「…うーん、知ってる…なんとなく」
「何でだろ?…」

暁人『…やっぱり!楓の事は覚えてなくても、たぶん柳さんとは会ってて、記憶がある!』

暁人「その人、どこにいるか知らないか?」
「柳さんもキッドなんだろ!?」

葵「…どうだろ…何度か話したような」
「でもキッドかどうかは分からない…」

暁人「…そっか………」

暁人『手がかり…なし…ですか…』

・ゾクっ…
暁人and葵「!!」
・2人はエボルの気配を感じる

暁人「…来たな」

・エボルはゲートを通じてこの世界に侵入し、人間をさらう
・VEGAの所有者キッドは、エボルがゲートを開く時に生じる磁気を感じる事ができる

・磁気の発生源に向かって走る2人

・発生源の近くには2人の男子生徒

暁人「…あそこか!」

・急いで男子生徒を助けようとする暁人を葵は止める

暁人「!?何で止める!?」

葵「あんたバカなの?」

暁人「はぁ!?」

葵「エボルがあの2人をゲートに引きずり込んだ後、食事中のエボルに奇襲をかけるのが狩の基本」

暁人「!!何言ってんだ!?それじゃ…あの2人は!」

葵「…前に言ったでしょ?キッドの目的はエボルを狩る事」
「目的はそこなのよ」
「いかに成功率の高い狩を繰り返すかが重要」
「……違う?」

暁人「…くっ…」

・ゲートが開き、エボルの腕が飛び出す
・エボルの腕は2人の男子生徒を掴もうとする

暁人「………あぁーーもう!!!!!」
・ゲートに向かって走り出す暁人
葵「!!!?」

・暁人は男子生徒の1人を助けるが、もう1人はゲートに引きずり込まれてしまう

暁人「クソっ!」
・暁人もゲートの中へ

葵「ったく…バカじゃないの?…」
・葵も後を追う


・ゲートから出た暁人の体は急に落下し始める

暁人「なっ!?いきなり落ちてるのか!?」

・引きずり込まれた男子生徒も暁人の先を落下中

暁人「くっ…彼も落ちてる!」

エグゼ「うわぁーあっきー!なんとかしろー」

・半径約300mの水位が低い湖、その中央にそびえ建つ古びた塔

・その塔の上、外壁付近にゲートは出現し、暁人達は落下

・これはエボルに存在を悟られた事で、ゲートの位置を操作されたためである

暁人「…死なせるか!」

・暁人の脳裏に楓が砂になった時の景色が蘇る

・暁人は左手から「創」のキューブを生成し砕く

暁人「創衣…変…身!」

・眩い光に包まれる暁人

・湖から少し離れた場所、塔の上から降下する一筋の光を見つめる存在
・フェーズ3のエボル、ギラ

ギラ「さぁて…どうなるかな?」

・暁人は塔の外壁を全力で蹴り、急降下

・光が着地した衝撃で周囲には大量の水飛沫が上がる

・暁人は男子生徒を抱き抱えながら立ち上がった

・銀色の生地に黒のライン、白騎士をモチーフにした暁人の創衣は、立ち込める水煙と相まって光り輝く

暁人「絶対に…死なせない…」

エグゼ「くぅ〜痺れるぜ、あっきー!」

ギラ「うっほー!やるじゃん、あのハンター」
・興奮したギラは暁人達に近づいていく

・葵も遅れてゆっくりと着地

葵「…はぁ、ホント無茶するよね?」

・男子生徒はショックで気絶している

暁人「アンタと同じやり方で楓を救っても…」
「アイツはきっと喜ばない…」

葵「…結果論よ、こんなこと繰り返してたら」
「アンタはいつか死ぬ…」

・ギラが暁人と葵の前に現れる

ギラ「見事だよ、銀色のハンター」
「…さぁ、殺り合おう…」
・ギラは体から大きな鎌を生み出す

暁人「武器を使う…装具タイプか」

・エボルには3つの戦闘タイプが存在する

・特化した能力はないが、とにかく基本の戦闘力が高い金剛タイプ(ライトニング)
・戦闘力は低いが、特殊な力を使う特能タイプ(ジード)
・戦闘力は並だが、武器を用いて多彩な戦闘を行う操具タイプ(ギラ)

・キッドは創衣を纏うことで全てのパラメーターが向上、アクターキューブの力で各タイプのエボルと戦闘を繰り広げる

暁人「葵…この人を頼む…」

・暁人は気絶している男子生徒を葵に任せる

葵「…呼び捨て」

暁人「まだ3日だが…戦い方は覚えた」

暁人「無謀かもしれない」
「それでも助けられる人は助ける」
「そして楓も救う…」

暁人「エグゼと一緒に…」

エグゼ「うむ!任せとけ」

・ギラに剣を向ける暁人

暁人「来い鎌野郎!」

暁人「魂の刃で道を斬り開く」


第4話へ続く

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