告知事項あり

あるお家を見に行った
”告知事項あり”と図面にあるお家
その意味は多くの場合
そのお家で誰かが亡くなったということ
そこにたまたま持ち主さんがこられた
若いとても誠実そうな方だ
聞くと去年から休みの日はずっと
このお家に通って片付けをしているという
４−５ヶ月かけて実家であるこの家の荷物を全部片付けて
いろんなところを綺麗に磨いて磨いて掃除して
やっと売りに出したところだという
その方の生まれ育ったお家
色んな思いが詰まったお家
住めば都とおっしゃるお家
そこで生まれ巣立って行った皆を思いながら
その家の主人は家の中で
ひっそり天に召されたという
わかることは全部話しますよ　と
いつどうなってどうしたということを
少し申し訳なさそうにトツトツと話してくれた
生きている人間は誰しもみんないつか死ぬ
それに申し訳ないもなにもあるものか
どこで死ぬかを選べるわけではないけれど
多くの人は病院のベットより自宅で静かに
逝きたいと願うのではなかろうか
懸命に働いて建てたその家に抱かれながら
ここには　きっと　愛　がある
建てた人にも住んだ人にも片付けた人にも
事件や事故じゃないのなら
僕はそんなお家を恐いとも
価値がないとも思わない
当たり前に　そこで生きた命　が
当たり前に　そこで自然と尽きたんだから
告知事項あり
と書かれそうなボクの人生だからこそ
そんなお家にもう一度あったかい灯りを灯したい
きっと愛あるその家にどうにかこうにか
ていねいに寄り添えるようなやりかたで
こういうことに日々出会えるこのシゴトは
有り難くてあったかくて切なくて　だけど
いっぱい生きる力をくれるから大好きです
日々精進して　励みます　はい　喜んで！
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今日は９ヶ月におよぶ家探しのゴールを迎え
愛ある親子に愛あるお家の鍵をお渡しできた日
ほんわり静かに嬉しくて
なぜだかちょっとセンチメンタルな気分です
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