ひっそりギャルゲーひとり談義


◆ギャルゲーと花言葉の小話◆


美少女と花言葉。

はい。素晴らしい組み合わせです。


ギャルゲーのキャラクターに花の名前が使われる確率は非常に高く、シナリオもその花の花言葉を土台にして作られていたりする事もざらです。

ギャルゲーマーは花言葉に詳しい。ギャルゲーに出てきたキャラクターに花の名前がついていると、取り敢えずその花を調べて花言葉を知る。

小難しく無く、ひけらかし易く、程よい非現実感がある。

ギャルゲーマーによる知識傾倒俳句を作ると、

花言葉
  エリック・サティ
         心理学


になると思う(個人の偏見ですが)。

何を隠そう自分も花言葉に詳しいです。エリック・サティも当然好きです。心理学も理解出来ずとも本持ってます。

多感な時期にギャルゲーに触れると、色んなものに触発されるのは最早宿命と言うか。まさしくギャルゲーに育てられると言っても過言では無く。

で、ギャルゲーマーが花言葉に傾倒するきっかけとなる作品は何か。

僕の世代だと確実にNavelの「SHUFFLE!」だと思われます。

自分は「SHUFFLE!」以前より詳しくなるきっかけがあったのですが(後述)、この作品はキャラクターの内面を知りたいなら花言葉を勉強しろという、花言葉の入門書的作品だと感じます。

自分は当時健全な高校生だったので、PC版から1年遅れてPS2版をプレイし人気爆発時より時期が遅れたのですが、これを先にやっていれば確かに花言葉で拗らせてしまうのも納得というか。

「SHUFFLE!」はプレイした方なら知っての通り、キャラクター全員に何らかの花の名前が付けられています。

リシアンサス、ネリネ、芙蓉に楓、プリムラ、タイム、麻、ユーストマ諸々。学園の名前もバーベナでしたしね。

花言葉に合わせたのかは分かりませんが、シナリオもその花の内面を色濃く反映している。キャラクターの名前と同じ花を好きになる事で手の届かない二次元への欲求を少しでも紛らわせる。

更に、ライター側も花言葉という文学的素材がある事でシナリオを作りやすい。花言葉は「清純」や「可憐」など一言で表す単純なものもあれば、「あなたと一緒にいると心が和む」「あなたの姿に酔いしれる」など、作り手の筆を乗らせる純文学のような甘ったるい台詞チックなものも多々あります。

更に、「希望」という花言葉だが、人に渡すと「あなたの死を望む」という意味に変わる裏花言葉。色によって意味合いが変わったり、誕生日に花があてがわれたり、素材には事欠きません。

花言葉の由来は大半が見た目、神話、花の生育環境や特徴などが元になっています。
いくつもギャルゲーをやってきて、キャラクターが花言葉の事を話すシナリオを多く見てきました。

ギャルゲーじゃないんですけど、エウレカセブンのアネモネが言った「消える希望」とかかなり印象に残ってます。

ギャルゲーのファンブックなどを見ても、裏話として花言葉の事が書いていたり、本当に書き手は花言葉に助けられているというか。困った時の花言葉というか。

キャラクターの名前に関しても同じで、女性キャラの名前を考える時、ついつい花の名前を参考にするのは常套手段だと思われます。

実際、自分も昔花言葉を用いたシナリオをエブリスタで書いていました。今読み返すと痛々しくて読めたものではありません...

なんというか、花言葉も出し過ぎるとただただクサい。蘊蓄が過ぎる。しかし、その欲求を抑えきれずどうも知識をひけらかしたくなる。

そういった魔力が花言葉にはある。

長年ギャルゲーをやっていると、花言葉を用いたシナリオなどが出てきたら「ああ、はいはい」と受け流すようになってしまいました。なまじ知識をつけると穿った見方をしてしまうのは、宜しくないですね。

花は昔から文学素材として欠かせない要素です。デュマの椿姫なんかもそうですし、神話なんて花と関連するものばかりです。

自作のミラサマでナルキッソスの話をキャラにさせましたが、ナルキッソスの神話も最終的には水仙の花に準えているんですよね。

しかし、ギャルゲーは半端な知識をひけらかしてナンボのもんだと思います。それに巧く説得力をもたせて、いかにもな感じでシナリオに組み込んでいく。僕みたいにアレコレ中途半端に知識を詰め込んでいるタイプからすると尚更です。

何人もキャラクターを作っていく上で、性格や趣味特技を考えていくと、自分の引き出しを増やさないといけない。

その辿り着く典型が、花と音楽と心理学なのかなぁ、と。

エロ特化型の作品に関してはその限りではありませんが。

最初に言いましたが、自分が花好きのきっかけとなったギャルゲは「SHUFFLE!」ではありません。SHUFFLE!をやる頃には既に「ああ、はいはい」状態になっていました。

だからですかね。「SHUFFLE!」にあまりのめり込まなかったのは(麻弓はめちゃくちゃ好きでしたが)。

自分が花好きのきっかけとなったギャルゲーは2000年に発売されたカクテル・ソフトの「Canvas 〜セピア色のモチーフ〜」です。

この作品、カクテル・ソフトの名作の一つなんですが、タイトルの通り"絵"をテーマにしたギャルゲーで、花言葉に関しては一人のキャラクターのみに焦点が当てられています。

続編の「Canvas2」に至ってはキャラクターの名前の大半に花の名前がつけられていた事から、案外そのキャラクターのシナリオの反響があった?のかもしれません。

それが先輩キャラである君影百合奈。トノイケダイスケさんがシナリオを担当されていますが、自分はこのシナリオが20年近く経った今でもかなり気に入っています。

恐らく他のプレイヤーからすると、そこまで記憶に残るシナリオでは無いかもしれません。「Canvas」自体が総合的な評価だと恐らく70点前後だと思うので、彼女のシナリオも数ある花を使ったシナリオとして埋もれてしまっているかもです。

彼女のシナリオは花を用いた言葉遊びが主なんですが、作品の雰囲気とシナリオが物凄く相性が良く、しつこくない。
百合奈先輩自体も静かなキャラクターなので、花言葉の蘊蓄もひけらかしさを感じない。

シナリオの肝である終盤の説得も、花言葉の認識違いと言ったトンチで攻めるのですが、これも主人公と彼女の波長の良さもあって素直に感動させられるんですよね。

シナリオに無駄が無く、プレイ時間もルート合わせて4時間程度。必要な会話だけを組み込んで無駄の無い良質なシナリオを作るやり方は、今の自分のシナリオ作りの根幹になっています。

君影百合奈のシナリオは、個人的には花言葉を用いた話のお手本だと今でも思っています。

ちなみに、君影は花でいう君影草の事で、=鈴蘭の花を指すのですが、地元神戸の北区(は地元ではありませんが)には鈴蘭台という地名があり、その中に君影町という町名があります。

昔知り合いの北区民に聞くと、この2つの繋がりを知っている人が殆ど居なかったので、ギャルゲーマー以外の花に対する関心の薄さが見て取れますね。

ちなみに、自分が好きな花は紫色の花全般です。
桔梗、シラー、竜胆、杜若、藤などなど

藤の花は鬼滅の刃で一気に知名度と人気をあげましたね。

最後に蘊蓄を述べると、藤の蔓は馬の鞭の材料に使われておるそうです(今でも使ってるのかは勉強不足のため不明)。

今流行りのウマ娘に乗っかった雑な蘊蓄でございました。

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