バナナフィッシュにうってつけの日

いろんなひとに、吉田秋生の漫画『BANANA FISH』を読んでほしい。そしてわたしといっしょに泣きましょう。 という話。


わたしがこの漫画に出会ったのは結構前のことで、以来我が家の本棚の一番目立つ所に全巻揃えてどどんと置いたりしていたのだけど、 いかんせんとても骨太な漫画なので頻繁に読み返せるものではない……というかつまり最後に読んでからはもう何年も何年も経っていて

で、先日突然。来年ノイタミナでアニメ化されるというまさかまさかの報せをうけて、これはこれは……と思い立ち、数年ぶりに、数日かけて一気に読み返し、そして一気に最後まで味わい一気に泣いたところです。


大人になってから改めてこの物語に触れて思うこと。それは、オタク、うーん、オタク、というか、もっと広義、男性という存在に大なり小なりなんらかの夢をみている人は全員読んだ方がいい ということ。



ジャニオタ的な語法をつかうならば、シンメとは、やっぱり男の子だけに許された特権なんだろうか…みたいな。 シンメのいる人生。「自分がもってる何らかの能力をもたない相手」を完全に許すことは、「相手の持つ何らかの能力をもたない自分」、を、許すことにつながる。それを究極に削ぎ落とした形で書いてるから、決して甘ったるくはない。

80年代のアメリカが舞台、わたしが生まれる少し前まで連載されてた少女漫画ですが、とてもドライで、壮絶で、人がたくさん死ぬ漫画です。血なまぐさくて胸糞わるい描写もたくさんあります。文字にするのが憚られるようなワードもたくさん飛び交います だけど、漫画全体の中に、ひとすじだけ、光があって そのたったひとすじが めちゃくちゃに美しい漫画です


最初の数巻は絵柄がまったく少女漫画っぽくないのでびっくりします。なんならちょっと登場人物を見分けるのが困難です。話のバックグラウンドは麻薬取引とかマフィアの裏社会とか華僑の世界観とか国や警察との癒着とかそういう…ハードボイルドなやつ。歴史的背景などもちょっと絡んでくるので、ペースに乗るのにはエネルギーが要ります だけどしばらくぐっと堪えて読み進めると、ある瞬間からフッと、アッシュ・リンクスに恋をして、奥村英二が羨ましくてたまらなくなって、そこから、です。そこからは一息で、意識がNYに持って行かれる。男の子だけが描ける夢の虜になって、目が離せなくなります。

うちに全巻そろってます。貸します。貸すよ!!番外編も含めて文庫で12巻、結構長いですが、読む価値、時間をかける価値は、あると思います。


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