先週の「半分、青い」

朝ドラ 半分、青い の台詞があまりにも美しくてすばらしいので、心に残った部分を書き留めていくことにしました。

4/24 火

すずめ「夏、またいつもみたいに律となおとブッチャーとわたしで、金華山のロープウェイって思っとったのにな。花火も。」
律「来年またな。」
すずめ「来年はないやん!来年は、バラバラや。」

寂しそうにするすずめに、律は少女漫画を貸す。登場する漫画はすべてくらもちふさこによる実在の作品だが、作中では秋風羽織という漫画家の作品ということになっている。

すずめ「その絵は、この世界がこんな風に見えるなら そのメガネをわたしにも貸してほしい、と思った。」

「律は、秋風羽織をいっぺんには貸さず、ひとタイトルずつ貸してくれた。もしかしたら、貸して返してを続ける限りは、ほんの5分でも わたしと律が会えるから?なんてことを考えるようになったのは、秋風羽織の漫画に影響されてるのだ、とわたしは思った。律が秋風羽織をわたしに貸そうと思ったのは、夏の間わたしが暇を持て余すだろう、いや、秋風羽織チックに言えば、わたしが寂しくならないように、だと思う。」

「わたしは、本当は四人で遊びたかった。これは私が子供でいられる最後の夏なのに」

4/25と6 水、木

すずめ「みんなさ、夢っていうか やりたいことしっかりあって驚いた。私何にもないんやよね。就職していけばいいって思っとった。」
律「お前明日と明後日のことしか考えてないもんな」
すずめ「普通はしあさってまで考えるか?」
律「うーん、もうちょっと先までな。」

すずめ「秋風羽織の漫画にはわたしの思ってることがみんな描いてある!わたしは世界がわかった。わたしの中の何かが開いたような気がする!」

4/27金

律に、お前漫画描いてみれば?とけしかけられたすずめが本当に漫画を描きあげる。すずめは律にいちばんにそれを見せたくてその日の早朝に律の家に見せにいくが、受験勉強で疲れている律くんは、窓からすずめの顔を見た瞬間に再び寝落ちしてしまう。結局漫画はその日の夜、喫茶ともしびでいつものみんなにみせることになる。

なお「すずめがいちばんに律に原稿もってったのは、6時になる前の5時半過ぎの早朝にいきなり叩き起こして許される相手が律だけやったってことやよ!」
律 「そんだけか!」

その日の夜。すずめの家に電話がかかってくる。

すずめ「はいもしもし、楡野でございます」
律「あ、えーーと、」
すずめ「ばーか、わしじゃ!どうした?電話代がもったいないぞ。要件を早く。」
律「人んちの電話代まで気にしてもらって申し訳ないな。実は今日ともしびでも言おうと思ったんやけど」
すずめ「ん?告白か?」
律「好きだ、すずめ」
すずめ「冗談だな?」
律「うん、冗談だ。あのさ、」
すずめ「はいさ。」
律「東大やめようと思うんだ 京大にしようと思って」
すずめ「ごめん、どっちも私にとっては行ったことのない惑星で、あんまり違いがわからん」
律「え?」
すずめ「ほやし、それブッチャーにきいとった」
律「うわ、口軽い」
すずめ「梟会に秘密はないぞ」
律「梟会ってなんだ」
すずめ「ふふ、いま命名した。律と私となおとブッチャーで梟会だ。青春っぽいやろ?」

律「俺はすずめがもうちょっとショックを受けると思って言い淀んどった」
すずめ「東大を?」
律「うん、俺が東大行ってノーベル賞取るのはすずめの夢でもあるかと」
すずめ「律、頭が間違えとる それわこおばちゃんの夢や 私やない」
律「そやけど なんかみーーんなが 世界中が俺にそう期待しとるような」
すずめ「わこおばちゃんの威力ハンパないな…わこおばちゃんには言ったのか?京大にするって。そこやないか?1番高い山は」
律「わかっとる、これから言う。これは景気付けの電話だ」

4/28 土

すずめの就職祝いにおうちの食堂を臨時休業し、商店街の人や友達が集まってささやかなパーティがはじまる。
すずめのおじいちゃんのギター演奏により、律やブッチャーをふくむ商店街の男子たちが、すずめの生まれた年と同じ年のヒット曲ということで「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌う。

2番の「赤とんぼの歌を歌った空は何にも変わっていないけれどあのときずっと夕焼けを追いかけていった二人の心と心が今はもう通わない あの素晴らしい愛をもう一度」を歌う律の顔を見て、すずめは涙を流す。

パーティがおわり、家の外で律はすずめに、秋風羽織のトークショーのチケットを就職祝いとしてプレゼントする。 ほんなら、と帰ろうとする律に、すずめが「律!忘れんなよ、京都行っても!」と呼び止める。律はすこしだけ間をおいて、 斜め上を見上げたあと、「赤とんぼの歌を歌った空は〜…」と口ずさみ、片方の口の端だけをあげて笑い、すずめの方を見つめ、そして去っていく。すずめは、笑いながら、なんで歌う!!と叫んで律を追いかける。

四月第四週の副題は「夢見たい!」高校三年生、それぞれ受験に就職にと道が分かれていく瞬間、すずめはこの夏を「子供でいられる最後の夏」と言い表している。すずめには、世界のよさをまっすぐ捉える力がある。第三週、律が弓道部の美少女と運命的な出会いを果たし、みんなで「これは運命や!」と騒いでいたことがあった。(しかしその後すずめが隣の高校の男子とデートした時、律くんはあからさまに落ち込み沈んでいた。)元々絵の得意なすずめは、その相手の女の子を絵に描いて、律にプレゼントしていた。すずめにとって律はまだ、異性ではない。だけど、大事なひとだという認識はある。 だから、「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌う律を見て泣いた。 律はすずめが泣いたところを見ていた。 この歌は悲しい歌だ。 「心と心が今はもう通わない」って歌う歌だ。 あの時ふたりは同じことを考えていたのだと思う。 すずめが律に「忘れんなよ!」と言った時、返し方はほかに何通りもあったと思う。確固たるものにするのに手っ取り早い手段は、異性になることだ。だけど律はそれをしなかった。「忘れないよ」なんて言わない。簡単にそんなことは言わない。その代わりに、「赤とんぼの歌を歌った空は…」と口ずさんで、すずめの目を見てニヤリと笑って、去っていった。 わたしは律の叙情性に惚れた。 すずめのような清い女の子の横に、律くんのようなこの世の機微をまもる男の子がいる。最高だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?