【アンドラ旅行記】マイクロステートは面白い
そうだアンドラ、行こう
私がアンドラという国を知ったのは、2023年2月のこと。とある授業で”マイクロステート(ミニ国家)”の代表例として取り上げられていたことがきっかけだった。
マイクロステートとはなんぞやというと、
それまで恥ずかしながらアンドラという国の名前しか知らなかった私にとって、「フランス大統領とウルヘル大司教の2人を国家元首とするマイクロステート」などというものは全く想像がつかず、面白そうに思えたのである。
想像がつかないなら行ってみればいいじゃない!というわけで、2023年5月、私はひとりアンドラの首都であるアンドラ・ラ・べリャを訪れることにした。
アンドラってどんな国なのさ
旅行記に移る前に、私が行く前に下調べをして得た情報を簡単にまとめてみる。
アンドラはスペインとフランスの間、ピレネー山脈の中に位置するマイクロステート。公用語はカタルーニャ語で、この言語を国家の公用語としているのはアンドラだけという点も興味深い。
先述の通り、アンドラの国家元首はフランス大統領とウルヘル大司教(カトリック教会ウルヘル司教区の司教)の2人である。政治家、しかも他国の大統領と宗教界のリーダーが並び立っているなんて…と初めて聞いた時はかなり驚いた。
そんなアンドラは観光立国。
昔タックスヘイブンだった名残で首都には高級ブランドや香水店が軒を連ね、夏にはハイキング、冬にはウィンタースポーツを楽しむことができる。
スペインのバルセロナ、フランスのトゥールーズから直通バスが出ていることもあり、多くの観光客が訪れるそうだ。
いざ観光!ぶっちゃけどこが個性的なの?
いよいよ旅行記に入ろう。
首都アンドラ・ラ・べリャの観光スポットは博物館からショッピングモールまで様々であるが、それらの説明は既に他の方がされていることと思うので、今回は”実際行ってみて驚いたこと”に焦点を絞ることにする。
①入国…電波が通じない?
バルセロナからバスに乗り込み揺られること3時間弱。
いよいよ入国!というタイミングで、電波が通じないことに気がついた。
理由はすぐに判明。私はこの時”EU圏内用”のSIMカードを使用しており、アンドラはEUに加盟していないため、圏外になってしまったのだ。
スペインとフランスの間にある国ならいかにも加盟していそうなものだが、ヨーロッパのマイクロステートは経済的に豊かなためか、EUに加盟していないことが多いらしい。
なお、法定通貨はユーロなので、わざわざ両替をする必要はない。(ちなみに、ユーロ導入前はフランス・フランとスペインペセタを併用していたというから、これもまた面白い)
EU非加盟の影響は、意外なところにも現れている。至る所でメンソールタバコが売られているのだ。
日本では普通に売られているメンソールタバコは、2020年からEU圏内での販売が禁止されている…が、加盟していないアンドラは無関係ということらしい。EU圏内から来た観光客が、ここでメンソールタバコをまとめ買いして持ち帰る。
②郵便ポストが2つ?
街中を散歩していると、郵便ポストが2つ並んでいるのが目に入った。
よく見ると、左のポストにはフランス語、右にはスペイン語(らしきもの)が書いてある。後で調べてみたところ、アンドラは独自の郵便システムを持たず、フランスの郵便局とスペインの郵便局が両方存在するらしい。
先程の通貨にも同じことがいえるが、なるほどミニ国家だと独自のインフラを持つことが難しい、もしくは非効率な場合もあるのだという気づきがあった。
③「英語は話せません!」
アンドラ・ラ・べリャの観光スポットの1つであるスパ”Caldea”を訪れた時のこと。
入場するため受付の係員の方に話しかけようとした時、以下のようなやり取りがあった。
"Hello, I have a reservation for…"
ーこんにちは、今日予約を…
"Sorry, no English."
ーすみません、英語は話せません。
"Alors, le français ?"
ーそれでは、フランス語は?
"Bien sûr !"
ーもちろん!(「何を言ってるんだ?」という表情で)
アンドラの人に対して「フランス語を話せますか?」という質問は野暮であったらしい。
よく考えてみれば、アンドラを訪れる観光客はほとんどが隣国であるフランス又はスペインから。現地人にとっての言語学習の優先度は、カタルーニャ語(公用語)の次にフランス語・スペイン語であり、英語は4番目なのかもしれない。
旅行って面白い
たった2日間ではあったが、ほとんど何も知らない地域の訪問ということで、新鮮な驚きや発見が沢山得られる楽しい時間だった。
この旅行を機にマイクロステートへの興味が膨らんでしまい、次回はできればリヒテンシュタインに…と密かに計画を立てていたりする。
インターネットを使えばどんな情報にもアクセスできる時代にあっても、実体験として、「疑問を持つ→知る」というプロセスを経て得た気づきは一生の宝になる…と、少なくとも私は信じて旅行を続けている。
そんな旅の醍醐味を再認識できたアンドラ旅行であった。
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