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RAGを使った企業独自の情報に基づいた文書生成AI:募集要項の事例


はじめに

企業における生成AI活用の代表的な要望として、企業独自の情報に基づいた文書生成が注目を集めています。本記事では、過去の募集要項(JD)を参照しながら、ユーザーとインタラクティブに募集要項を作成できるチャットボットをご紹介いたします。このツールはRetrieval-Augumented Generation(RAG)技術を活用しChatGPTのような汎用AIでは難しかった、企業独自の情報を反映した文書生成を可能にします。

既存の募集要項作成業務における課題

企業における資料作成は多くの時間と労力を要する重要な業務の一つです。とくに、募集要項の作成はその典型的な例として挙げられます。人材採用に力を入れている企業では、それに伴い募集要項を頻繁に作成する必要があります。募集要項は求める人材のスキルセット、経験、責任範囲を明確に定義する重要な文書です。しかし、その作成の過程には3つの課題が存在します。

  1. ムリ(無理):過度の負担や無理な要求

    • 応募職種の専門知識を持たない担当者への作成タスクの割り当て

    • 短期間で大量の募集要項作成

  2. ムダ(無駄):不必要な作業や非効率的なプロセス

    • 類似職種の募集要項を一から作成し直す重複作業

    • 過去の募集要項の手動検索と参照

  3. ムラ(斑):品質のばらつき

    • 作成者によって異なる文書のフォーマット・表現方法・詳細度

    • 企業文化・価値観の反映度合いのばらつき

解決策:RAGを活用したチャットボット

これら課題を解決するために、「RAG技術を活用したチャットボット」を提案します。RAG技術の詳細な定義は他に譲りますが、本記事では、「RAGとは、外部情報の検索を大規模言語モデル(LLM)のテキスト生成に組み合わせることで、回答精度を向上させる技術」と定義します。

RAGアーキテクチャ全体像


RAGを活用した募集要項作成AIにより、ムリ・ムダ・ムラを解消します。

  1. ムリの解消:企業の固有情報を外部知識として参照することで、専門知識を持たない担当者でも、質の高い募集要項を作成できます。また、大規模言語モデルを活用し、短期間で多数の募集要項を生成できます。

  2. ムダの削減:RAGの外部知識検索機能を活用することで、類似職種や過去の募集要項を参照し、類似職種の募集要項を手動で探すという手間がなくなります。また、検索結果を再利用することで、類似職種の募集要項を一から作成し直す必要がなくなります。

  3. ムラの解消:LLMによって文書のフォーマット・表現・詳細度に一貫性をもたらすことができます。また、企業情報に基づいてテキスト生成するために全ての募集要項に企業文化や価値観を均等に反映させることが可能です。


活用事例

RAGを活用した募集要項作成AIは、募集要項以外にも、以下のような様々な文書作成タスクにも応用可能です。

  • 営業:営業先である顧客情報と過去の営業提案資料のフォーマットを統合し、受注に繋がりやすい営業提案資料の作成

  • マーケティング:新製品の情報と注目を集めた過去のプレスリリースを参照した、メディアの注目を集める製品ローンチプレスリリースの作成

  • カスタマーサポート:過去の問い合わせ履歴と製品の技術情報を統合し、ステップバイステップで問題解決できる製品のトラブルシューティングガイドの作成

  • 法務:企業の過去のNDA、業界標準の状況、契約内容などを統合した、抜け漏れのないNDA締結の契約書の作成

おわりに

これまで見てきたように、RAGを活用した募集要項作成AIは、募集要項の作成にとどまらず、様々な業務文書の作成に応用可能なソリューションであるため、多くの企業にとって価値をもらたらす可能性があります。
弊社のAI Transformation(AX)事業部では、ご紹介したRAGを活用した文章生成に限らない、AIを活用した企業の業務変革をご支援しております。事業に関するお問い合わせやご相談は、以下の連絡先までお願いいたします。

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