ゆとり教育の勘違い

 マスメディアだけを批判するつもりはありませんが、やはり正しく伝えていないマスメディアの責任は非常に大きいと思います。それは、ショッキングで、面白いネタを世間が欲しているから、そういった要望に応えるかたちになるのでしょうが・・・・

①円周率は3でよい。

 全く事実と異なります。でも、ゆとり教育世代の学力低下論では必ず出てくるネタです。正しくは、「円の面積のだいたいの数値が知りたい、チップスターの入れ物のような円筒形の周囲にテープを巻きたいときに、だいたいの円周の長さを知りたい等、だいたいの数字を知りたいときには、計算上「3」として計算しても「よいですよ」、つまり、目的に応じて3で計算しても良いですよ、ということになったというわけで、円周率は今まで通り「3,14」を使います。使っています。アタリ前ですやん!世界共通の心理でっせ!

②台形の面積の公式を覚える必要がなくなった。

 半分当たっています。確かに、必須項目ではなくなっていましたが、発展として、台形や菱形の面積の求め方なども学習していました。教科書にも載っているものがほとんどだったんじゃないですかねえ。少なくとも私を含めて私の周りでは学習していました。

③かけ算の筆算は2桁×2桁以上の計算は計算機を使う。だから学ぶ必要はない。

 これも間違っています。「2桁×2桁までのかけ算の筆算を学ぶ過程で、その計算方法とプロセスをしっかりと理解させる事に時間をおいて、それ以上の桁数になっても同じ方法を使って計算ができるということを理解させること」というところに重きを置いていたのです。何桁になろうとも、手順や方法は同じですから、その手順の意味をしっかりと理解できる子になってほしい、それを活用できる子になってほしいということだったんです。(そのための「ゆとり」)そして、計算自体が目的や目標出ない問題の時には、計算機を使うことも考えましょうっていう趣旨の所だけを持ち出して、記事にしたんでしょうね。

④競争を避けて、みんな平等にという思想の下で、学芸会では全員主役、かけっこ競争では、みんな手をつないで同時にゴール。

 んなわけないと、現場の人間として思いたいのですが、どうも、そういう事をしていた「現場」もあるようですが、そんなところ、極々極々わずかだと思います。それは平等ではない。それは公平ではない。そんなことは誰が見ても当たり前な事ですが、こんな風に言われること自体、学校の質が低下している証拠なんでしょうね。とても反省しています。

 とかく、ゆとり教育についてはその弊害ばかりがクローズアップされていますが、やっぱりその「ゆとり」という言葉がよくない。メディアは「ゆとり」を「勉強内容と量をへらしてのんびりする時間を増やす」というイメージなんでしょうが、本来は「学ぶべき事を必要最低限にしてでも、試行錯誤したり、失敗したり、体験的に学ぶ時間を重要視しよう。そして、その中で活用する力や発展的に考えていく力を伸ばしていこう」というのが目的だったのですが、なかなか上手くいかなかった部分があるのは、私たち現場の責任でもあります。私自身大いに反省すべきです。

 でも、「詰め込み教育」の反動から生まれたものであり、そう考えれば、日本の教育に一貫性がないとも言えるでしょう。なんて、知った風に言ってみても仕方ないのですが・・・

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